スペシャルセミナー 宝塚歌劇団の元トップスター、登壇

提供:ハースト婦人画報社

早霧せいなさんから学ぶ、チームが輝くコミュニケーションの秘訣~観客をとりこにした“最強雪組”のマネジメントとは~

女性たちの夢とあこがれ、華やかで麗しい宝塚歌劇団の舞台――。キャリアデザインを考える女性のための実践的学習講座である「丸の内キャリア塾」のスペシャルセミナー。2017年12月1日、エレガンスを愛する全世代の女性に支持される『25ans(ヴァンサンカン)』の協力のもと、宝塚歌劇団元雪組トップスターの早霧せいなさんを迎えて開催された。

華麗な舞台で観客を魅了する一方、雪組トップスターとしてチームをけん引、史上初の5作連続宝塚大劇場集客率100%超えという、輝かしい実績を残したチームをまとめたコミュニケーションの秘訣とは。2部構成のトークショーで、そのマネジメント思考や、リーダーの在り方を聞いた。

第1部 トップの背中がみんなを導く信じる力が創る最強チーム

早霧せいなさん
早霧せいなさん
女優、元雪組トップスター

2001年宝塚歌劇団に入団、宙組に配属。06年「NEVER SAY GOODBYE」で新人公演初主演。09年雪組へ組替え。13年「Shall we ダンス?」でヒロインのダンス教師を演じた。14年9月雪組トップスターに就任。「ルパン三世」「星逢一夜」「るろうに剣心」「ローマの休日」など。17年7月「幕末太陽傳/Dramatic“S”!」にて退団。18年5~6月、退団後初の主演ミュージカル「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」に出演予定。

竹下さん
早霧さんは2001年に入団、宙組を経て09年に雪組に組替えになりました。一般企業では異動ともいえる組替えでは、どんな苦労がありましたか。
早霧さん
宙組は自由な雰囲気だったので、伝統も歴史もある雪組になかなかなじめず、ニューヨークから京都に行ったくらいの感覚でした。早くなじみたい一心で、必死に先輩についていき、日々学んでいました。
竹下さん
トップは目指していたのですか。
早霧さん
トップになるための苦労も、(トップに)なってからの苦労も下級生時代に見ていたので、簡単に目指すことはできないと思っていました。先のことを考える暇もない日々の中、2番手で過ごしていくうちに「応援してくれるファンの皆さんの気持ちを裏切りたくない。自分だけの早霧せいなではない」とトップになることが恩返しと思うようになり、覚悟を決めました。
竹下さん
雪組のトップスターとして、80名以上の個性的な生徒をどのように指導し、まとめたのですか。
早霧さん
指導はしていません。みんな音楽学校で同じ教育を受けてきた生徒たちですから、最高の舞台を創るという目標へ指を差すだけで、その方向に向かってくれるんです。違う方を向いてしまう生徒も、頑張っている生徒を引っ張り上げたり背中を押したりするうちに、こっちを向きたくなるようです。
竹下さん
コミュニケーションを心がけた声がけはしていましたか。
早霧さん
仲間を信頼するスタンスなので、あらたまっての声がけはしていません。プライベートや生き方には突っ込まず、やるべきことは分かっているという前提で日常会話の中で、コミュニケーションを取るようにしていました。年齢差のある若い生徒とも、世代ギャップを楽しんでいました。
竹下さん
娘役の咲妃みゆさんとのコンビはどのように創り上げていったのでしょうか。
竹下典子さん
竹下典子さん
フリーアナウンサー(元フジテレビ)

「スター千一夜」(フジテレビ)、「3時にあいましょう」(TBS)などの司会をはじめ、テレビ、ラジオで活躍。現在、演劇関係のトークショーの司会などを担当。

早霧さん
コンビを組むとき、「2人が目指す景色をお客様にも見てもらおう」と約束をしました。そのために、どんな状況にあってもコミュニケーションを取ることは諦めませんでしたね。
竹下さん
早霧さんといえば、5作連続集客率100%超えという記録がありますが、プレッシャーは感じなかったのでしょうか。
早霧さん
100%超えの数字やプレッシャーよりも、とにかく面白い作品にしたいという気持ちで、私もみんなも必死に舞台に挑んでいました。ひとつの舞台にかける真心と情熱が、その組の強さを創るのではないかと思います。
竹下さん
作品に取り組む上で、何かこだわっていたことはありますか。
早霧さん
こだわらないことがこだわりです。こんな役をやりたい、と自分で幅を決めるのではなく、こだわりなしで挑戦してきました。
セミナー会場 第1部

第2部 輝くことが一番の支え 情熱が創るチームの強さ

夢乃聖夏さん
夢乃聖夏さん
元宝塚歌劇団雪組男役

2001年、早霧せいなと同期入団。星組に配属。10年「摩天楼狂想曲(ニューヨークラプソディー)」で単独初主演。12年雪組へ組替え。数々の公演に出演し、15年3月「ルパン三世」銭形警部役「ファンシー・ガイ!」東京公演千秋楽をもって退団。

第2部は、早霧さんの同期で、同じ元雪組の男役・夢乃聖夏さんも登壇。在団中の思い出や、退団してからの気づきについて語ってもらった。

竹下さん
現役時代を振り返って、気づきはありましたか。
早霧さん
在団中は、「お客様が望む早霧せいな」というイメージを作り、役を演じていました。男役を演じることは大好きでしたが、男役という“鎧(よろい)”は重たかったですね。退団して鎧を脱いでからは、とても楽になりました。でも、他のものを忘れられるほど集中できたことは、私の誇りです。
夢乃さん
退団して、普通に生きていくことがこんなに楽だということに感動です。何もしていないのに1日がとても早くて。全てを捨てて集中したからこそ、味わえる感覚だと思います。
竹下さん
夢乃さんは、どのようにトップの早霧さんを支えたのでしょうか。
夢乃さん
支えようとはこれっぽっちも思わず、やりたいことをやっていました。というのも、星組でトップだった柚希礼音さんから「支えなくていいよ、みんなが輝いてくれたら、それが一番の支えだから」と教えてもらっていたからです。
早霧さん
支えようと思ってもらいたくなかったんです。ともみ(夢乃聖夏さん)がやりたいことをやって、雪組のみんなが輝いていることが、一番の支えになったからです。でも私は柚希さんのようには恥ずかしくて言えなかったです。(笑)
セミナー会場 第2部
竹下さん
生まれ変わっても宝塚に入団しますか。
夢乃さん
しないと思います。生まれ変わったら、今度は男性になってバリバリ働いてみたいですね。あれだけ集中できたからこそ、(入団)しないと言えるのかもしれません。
早霧さん
在団時代の記憶がなかったら入団するかもしれませんが、今はまだ記憶が生々しいので入団しないという気持ちですね。男役をやりきったという思いの方が強いです。
竹下さん
お二人の人生の第二章を応援します。本日はありがとうございました。
セミナー会場 第2部