患者のアウトカム向上へ
エクスペリエンスを支援
江川世界で今、インクルーシブ(包摂的)な経済や成長が求められています。収益だけでなく、優れた顧客体験を意味するエクスペリエンス、持続可能性(サステナビリティー)、タレント(人材育成)が評価指標として重視され、企業の将来価値を決めるのはむしろこうした指標といえるほどです。そこでアクセンチュアは「360度バリュー」を提唱しています。その中には、売上収益やコア営業利益率などで目標とする指標を達成し、2025年度に株式時価総額7兆円以上と評価されることを目指すアステラスの「経営計画2021」と関わる部分があります。例えば、「戦略目標」にある「患者さんのより良いアウトカムの実現」はエクスペリエンスの向上とつながります。
安川アステラスは研究開発の戦略として「Focus Areaアプローチ」という考え方をとっています。具体的には3つの構成要素、(1)病気の根本原因との関連性が確かで最先端のバイオロジー(2)その効果を最大化するモダリティ(治療手段)/テクノロジー(3)開発の実現可能性と将来にわたるアンメットメディカルニーズの高い疾患――の組み合わせの集合をFocus Areaとして定義し、このFocus Areaに独自の専門性とプラットフォームを構築することで、革新的製品の継続的な創出を目指しています。その中でも、新しいモダリティの挑戦において、従来の対症療法から根本治療へと提供する価値が大きく変わります。20世紀から人類が使ってきた低分子合成薬だけでなく、細胞医療や遺伝子治療の先端技術を使い、根本治療をもたらすことを目指しています。当社が今後十数年にわたり患者さんや社会に提供できる大きな価値です。
江川価値の共通定義を作りましたね。
安川アステラスの価値を分数式で定義しました。分子は、我々が提供する薬や治療法、サービスにより、患者さんが得られる成果としてのアウトカム。分母は、そのアウトカムを作るために医療機関や介護者など、社会が負担するコストです。患者さんがより大きな恩恵を受ける、または社会の負担が減れば、価値は大きくなります。根本治療を提供すれば、患者さんは再び働けるようになり、介護者も不要となる可能性があります。例えば、細胞医療では網膜色素変性症。網膜の細胞が脱落して起きる病気なので、そこにその機能を持つ細胞を入れて復活させることができれば、失明の危機を脱せます。
江川根本治療の社会的価値を広く知ってもらう必要があります。患者さんのQOL(生活の質)や経済的価値がどう変わるのか定量的に測れるようにし、その価値が世間に認知されて薬価に反映できるようにするために、コーポレート・アドボカシー(企業の意見表明)が必要です。この一連の活動には私たちも全力で取り組ませていただいており、根本治療薬を世に出すアステラスの活動が評価される社会を一緒に作っていきたいと思っています。
アステラスの再生・細胞医療の研究開発拠点であるAstellas Institute for Regenerative Medicine