人生の事業計画書に書いた集大成としてのカフェ経営。石川県金沢市・ひがし茶屋街という見知らぬ土地へ切り込み、前例のない道を切り拓く──それがタレントとしての幅を広げることにもつながったMEGUMI氏の挑戦をきく。
── こちらの「Cafeたもん」を開かれるまでの経緯についてですが、このひがし茶屋街は、県外の方が出店するにはなかなかハードルが高かったそうですね。
ものすごく難しくて、特に当時は県外からお店を出される方が一人もいらっしゃらない状況でした。「ひがし茶屋街を守る会」という組織から認証をもらわないと、不動産屋さんからも物件をお借りできない厳格な環境だったんです。企画書を持って伺って、会のみなさんに4回、5回とプレゼンを繰り返して、ご了承をいただくのに1年半ぐらいかかりました。今思えば、地方の方はその土地の歴史や風土を大切にするからこそ、関係性や信頼関係を紡いでいって、そこから出店が許可されるというのは当然のことで、とても勉強になりましたね。
── 食材や食器などは、地元のものにこだわってご自身でいろいろ探されたそうですね。
地産地消で石川県のものを多く使いたいと思っていました。パンケーキに使う米粉は、農事組合法人Oneという金沢市の農家さんと契約して使っています。循環型環境農法という手法で生産されている農家さんで、普通なら破棄される米を活用させてもらい、自分達で製粉して米粉にしています。
自分たちだけが幸せになっても、そこには限界がある。それが誰かのためになることがモチベーションになりますし、スタッフもすごく幸せそうです。お客さまも、そのストーリーを感じて食べてほしいと思うので、何をやるにもポジティブな循環を意識していますね。

── いろいろご苦労もされましたが、実際に出店してみていかがでしたか。
何もしないよりは、何かしているほうが学びがありますよね。例えばうまくいかないことがあっても、人の意見を参考にしたり、失敗した理由を考えたりとか、ものすごく成長したと思います。
「たもん」で企画書や事業計画書を書いて、人を巻き込んで、こうやってお金を集めればできるんだ、というのが何となく見えたというか。自分はエンタメの世界にずっといますから、「たもん」の経営で得たノウハウをまた循環させて、エンタメの世界でも生かすということに勝手に使命感を持っています。
── 経営者としては、どのような姿勢を心がけておられるのでしょう?
新型コロナウイルス禍でお客さまが1日2組というときもありましたが、そのときに経営者としての自分の器量、役目みたいなものがすごく明確になったんです。このタイミングをチャンスと捉えて、「じゃあパンケーキミックスをつくってECをやってみよう」とスタッフに提案したら、「楽しそうかも!」とみんなが一生懸命やってくれて、結果、結構売れたんですよ。それがまた喜びになり成功体験になったんです。だから、どんどん新しい地図を見せることが、自分の仕事かなと思っています。


── 人生の事業計画書を書いてマネージャーさんと共有されているそうですね。
はい。共有するようになってからは6・7年ぐらいですが、自分では10年以上前からつくってきました。母として、妻として、女性として、いろんなカテゴリーで書いています。
芸能界ってお仕事をいただいてから始まるスタイルなので、どうしても受け身の部分が大きくて、「このままで私は良いんだろうか……?」なんて悩んだ時期もありました。一方、経営は自分で努力して取り組んだことが形になります。経営者は事業計画を書きますよね。それって「夢」なわけで、それに向かって動くことはすごく前向きで、健康的な生き方だと思ったんです。
── 経営者として、今までいろいろ手がけてこられましたが、実店舗を経営することは集大成だともご発言されています。
当時、芸能生活15年ぐらいのタイミングで、メンターのような方から「これから先、経験値を上げていくために商売がすごく勉強になるからやってみなさい」とアドバイスをいただいていたんです。人が行き交って、そこで出会った人からまた何か生まれて、実店舗の経営は本当に集大成というか。館があるということは、空間の中に建築、出会い、もてなし、食、アート……すべてがあるなっていうのはお店をやってみて感じています。
── アメリカン・エキスプレスでは今年、MEGUMIさんのような女性のショップオーナーを応援する「RISE with SHOP SMALL」を展開していて、挑戦を支援する資金やメンター提供、無料オンラインセミナーを配信しています。女性オーナーの活躍についてどうお感じですか。
女性経営者への周りの視線が、まだ厳しいなと感じることがあります。挑戦している人に対して、「何かあの人すごいよね…」っていう冷たい声というか、そこはちょっとやりづらいよねとは思います。自分も「またなんかやるの?」、「生き急いでるよね」というような反応ばかりでした。が、そういう声があるということは、誰もやってないということ。前例がないことには怖さもありますが、チャンスでもあると思っています。
── 実際、アメリカン・エキスプレスのビジネス・カードならではの特徴として、一人ひとりに専任の担当者※がつくというサービスがあります。業務の効率化やさまざまな経費についてなど、気軽に相談できてアドバイスをもらえる。そういった不安への支えとなりそうでしょうか。
はい、頼もしいです。もっと早くつくっておけばよかったなと。私も起業したものの不安は大きかったですし、女性の経営者の数はまだまだ少ないこともあり、相談できる相手はあまりいなくて孤独でした。そこにビジネス・カードの手厚いサポートがあると、「とりあえず相談してみよう!」と、気持ちが少し楽になりますよね。
※アメリカン・エキスプレスのビジネス・カードを持つと、入会から1年間、コールセンターと別で専任の担当者が付き、ビジネス・カードの活用方法や経費に関する疑問について、気軽に相談に乗ってくれる(条件によっては希望に添えない場合もある)
── 経営の実務の場面で、仕入れや経費処理など何が大変でしたか。
仕入れは請求書をもらって現金振り込みで処理していたので、データ化が手間になります。ビジネス・カードだったら振込みの手間はないですし、支払日も一定です。経費に関して、私は東京と石川の往復など出張がとにかく多いので、個人カードで立て替え、申請…とかなり面倒です。ビジネス・カードで支払いをまとめれば、自動で会計ソフトに取り込めるのでそういった経費をいちいち手入力で帳簿に計上して記録していく必要もない。また、そこが信頼にもなります。融資を受ける局面になったときに、私たちはきちんとデータを持っていますと言えるのは、相当信頼に関わってくるかと。


── これから、こんな場面でもビジネス・カードを活用したいということはありますか。
国税の支払い※ですね。窓口での書類のやり取りは大変なんですが、そこをオンラインで省力化できてビジネス・カードで支払いができると最近知りました。だいぶ簡易化できる上に、額が大きいからポイントもたまっていいですよ。
※税金の支払いには、納付税額に応じた決済手数料がかかる場合がある。
スタッフ用の追加カードも活用していきたいです。お店では日々、備品など細かい買い物が必要なんですよ。物販もやっていると、材料費とかなんだかんだお金の流れは激しいので、スタッフは助かります。他にも、ECサイトの運営や有線放送の契約とか、機器のリース、広告プロモーションなど様々な契約も、もう全部の支払いをビジネス・カードに一括していきたいですね。アメックスは他のカードによくある、“一定の限度額”がなくて、相談に応じて支払額の融通が効きやすい※ので、うまく活用していきたいです。
※アメリカン・エキスプレスのビジネス・カードは、事前に一定の可能枠を設定せず、申込時の情報や入会後の利用資産状況・支払い実績などをもとに、利用可能枠をカード会員毎に設定。通常よりも高額の利用時にも相談でき、ビジネスを後押しする、柔軟な対応が可能な点が特徴の一つだ。
── 最後に、実際に起業を悩まれている方に向けて、メッセージをお願いします。
大人になっても大きな心の動きが経験できるというのは、経営の得難い部分でそれが人としての深みにつながると思います。今はYouTubeでもできるし、ECもインスタグラムで何かモノを売ったりと、すごく始めやすい時代になってきています。アメックスのビジネス・カードのようなサポートも充実していて相談もできますから、とりあえずやってみたら扉は開けるのでぜひチャレンジしてみてほしいなと思います。心を動かす体験を、ぜひ!

タレント・経営者
岡山県倉敷市出身。2001年デビュー。09年の第一子出産を経て俳優業に本格復帰すると、2019年出演の映画『台風家族』『ひとよ』にて第62回ブルーリボン賞助演女優賞受賞。22年11月にはドラマ『完全に詰んだイチ子はもうカリスマになるしかないの』(テレビ東京)を企画プロデュース。また、WEBメディア「+コラボレート」の運営やコスメのプロデュース、16年10月には金沢に古民家パンケーキカフェ「Cafeたもん」をオープンするなど、経営者としての顔を持つ。