社員のエンゲージメントを高めるために組織・文化を変革したJT製品開発センター Wevoxで社員と会社のつながりを可視化し、メンバーの力を引き出す社員のエンゲージメントを高めるために組織・文化を変革したJT製品開発センター Wevoxで社員と会社のつながりを可視化し、メンバーの力を引き出す

提供:アトラエ

国内外で高いブランド力を誇る日本たばこ産業(以下、JT)では、既存のたばこ製品に加え、加熱たばこを含むRRP(※1)のラインアップを強化し成長を続けている。それを支えるのが同社の製品開発センターの製品開発力である。約250人のメンバーで構成される同センターでは、社員のエンゲージメントを高めるために組織・文化の変革に取り組み、アトラエの「Wevox(ウィボックス)」を活用してその成果を可視化している。それによってどのような効果が表れたのか、同センターの取り組みを紹介しよう。

※1Reduced-Risk Products(RRP):喫煙に伴う健康リスクを低減させる可能性のある製品

250人が力を発揮できる組織、文化をつくりたい

 「所長として自分ができることを突き詰めて考えたら、組織と文化をつくり、外からそれを守ることに行き着いたんです」と、JT製品開発センター所長の小原禎英氏は就任当時を振り返る。

小原禎英氏

JT製品開発センター 所長
小原禎英

 小原氏が所長となった2019年7月、組織的に大きな変革があった。それまで2つに分かれていた技術開発部隊と既存たばこ製品(紙巻等)の製品開発部隊が統合されたのである。しかし、伝統はあるものの時代の変化によって紙巻たばこの市場が縮小してきており、製品開発部隊のメンバーの士気が下がっている状態だったという。

 「軍隊的な風土で『自分の考えを口に出すことがリスク』という雰囲気でした。ロイヤリティ(忠誠心)が高く論理的な思考ができる人たちでしたが、言われたことをやっているだけの人が多く、多様性を活かせていませんでした。やることがはっきりしていた時代ならばそのほうが効率的でしたが、今は違います」と小原氏は話す。

 もっと自由闊達な組織にしてメンバーの力を引き出そうと考えた小原氏は、就任スピーチで「所長に考えさせちゃイヤ」、「ユーやっちゃいなよ」とメンバーに語りかけた。

 しかし、それでも風土は簡単には変わらなかった。自ら行動できず、やりたいことをやれない人がほとんどだった。悩んだ小原氏が行き着いたのが冒頭の「組織と文化をつくり、外からそれを守る」という言葉だった。そこから新しい組織と文化をつくる小原氏の組織変革が本格的に始まった。

負担なく気軽にできるWevoxで可視化に挑戦

 小原氏が組織変革への取り組みを開始したのと時を同じくして、社内の意識調査の手法にも変化があった。それまでは毎年人事部主導で行われていた大がかりな従業員満足度調査の頻度を減らし、各部署のニーズに合わせて自主的に行うことになったのである。人事部からは6つのツールが選択肢として示され、その1つがアトラエの「Wevox」だった。

 ツールの選定を担当した小泉綾子氏は「約30項目の質問(※2)だけで気軽に意識調査できるWevoxであればみんなの負担にならないのではないかと思いました。分析結果をどう活用するかをサポートする機能があったのもポイントでした」と語る。所長を含めた幹部メンバーにレポートしたところ、すんなりと導入が決まった。2019年8月のことである。

※2Wevoxの質問数は頻度によってアレンジされる(例.4週間ごとなら毎回16問)

小泉綾子

小泉綾子

 しかし、「最初の分析レポートを管理職に示してアクションプランを要求したところ、『忙しいときに』と険悪な雰囲気になってしまったのです」と小原氏。それを受けて小原氏は「やりやすいことで構わない、大事なのはチームの状態を知ること」と伝え直した。

 カスタマーサクセス(以下、CS)からアドバイスをもらったり、Wevoxのサービス内で用意されているノウハウから、活用法の情報を収集したりして、メンバーの負担を減らすための改善策にも取り組んだ。これにより次第にサーベイを実施し改善に取り組むというサイクルが定着し始め、3カ月に1回実施するということで落ち着いたという。

 副所長の田中晴久氏は「CSのアドバイスなども参考に、簡単にできそうな細かい打ち手をたくさんそろえました。たばこ原料、香料など6つのグループがあり、その下に約30のチームがあります。チームごとにキャラクターが違うという前提に立ち、みんなで考えたのがよかったと思います」と振り返る。

田中晴久氏

副所長
田中晴久

自走し始めたらスコアも次第に向上した

 「私は2020年の春からWevoxを担当するようになりました。使い始めて半年以上がたち、スコアにばらつきが出始めていました。どう手当てをしようかと考えて、実施の目的や意義、数字の意味について勉強し、CSから教えてもらったことも分かりやすく伝えるようにしました」と馬場真太郎氏は話す。

馬場真太郎氏

馬場真太郎

 重要だったのは、エンゲージメントは成績表ではないということだった。あくまでも個人と会社のつながりを示す数字であり、お互いの要望を出していくことでつながりが強まっていくものである。その意味合いの正しい理解を推進することもエンゲージメントを高めることになる。

 2020年6月の異動で「受ける側」から「使ってもらう側」に立場が変わった春田麻美氏は「受ける側のときに感じたのは結果の解釈が難しいことです。そこで、どの質問項目のスコアがどの評価項目の数字に影響を与えているのかが分かる対応表を作成して、より理解を深めてもらうようにしました」と話す。

春田麻美氏

春田麻美

 こうした事務局サイドの努力もあり、毎回のサーベイは順調に行われてきた。2021年11月のサーベイ回答率は97%になり、スコアは多くの項目で上昇、全体的なスコアは右肩上がりに推移し、1回目の74ポイントから80ポイントまでアップした。

 「サーベイの結果を受けて1on1で話し合ったりしています。効果は出ていると思います。ただ、効果がすぐ出なくても構わないと思っています。地道に取り組んでいくことが重要です。大事なのはマネジメント主導ではなく、自走し始めたことです」と小原氏。メンバーに聞いても「やらされ感」はなく、チームの雰囲気は盛り上がっているという。

エンゲージメントスコアと推移

2021年11月に実施した製品開発センターのエンゲージメントスコアと推移

承認に特化した工夫でさらなる効果が得られた

 産休・育休で約2年休み、2021年5月に職場復帰した𠮷﨑茜氏は「戻ってきたら組織がすっかり明るくなっていました。近くに座っている新卒メンバーが所長とフランクに話をしていて、以前よりも組織がフラットになっていて驚きました。Wevoxも従業員満足度調査と違い、すぐに終わって負荷が少なかったです」と変化を語る。

𠮷﨑茜氏

𠮷﨑茜

 2021年、同センターが重点テーマに挙げているのが「承認」におけるエンゲージメントを高めることだ。そのために同年5月に手軽に社員同士が感謝を伝え合うツールも導入した。「ツールによってお互いを褒めやすい環境を提供しました。タイムリーに投稿できてそれが公開されるので、メンバーも活用してくれ、それがWevoxのスコアに結びついています」(小原氏)。

 また、小原氏は「組織状態が見える化されているので、まわりの納得感も得られて、組織を守るという目標は達成できています」と変革の成果を語る。この変革の流れを止めることなく、加速させたいところだ。小原氏は今後の目標について次のように語る。

 「2022年度からは、海外たばこ事業と国内たばこ事業の運営体制が一本化されて、それに伴って組織改変が行われる予定です。そうした中でもWevoxを活用しながら、様々な取り組みを行うことで、組織・文化をここまで浸透させることができたので、新組織になってもスピリッツは残したいですし、むしろこの文化を広めたい」

 「仕事もプライベートもライフ。仕事が楽しくないと人生も楽しくないでしょう」と語る小原氏。Wevoxでエンゲージメントを可視化することで、仕事を楽しくするために必要な「やりがい」も可視化できると言えるのではないだろうか。

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