リコーリース、Wevox導入で現場の主体性を引き出し循環創造企業へ「社員のハピネス」が既存ビジネスの強化と新規ビジネス創出のカギにリコーリース、Wevox導入で現場の主体性を引き出し循環創造企業へ「社員のハピネス」が既存ビジネスの強化と新規ビジネス創出のカギに

提供:アトラエ

「循環創造企業へ」というビジョンのもと、金融分野に限定することなく社会課題を解決する事業創出に取り組んでいるリコーリース。既存ビジネスの強化と新規ビジネス創出のカギを握るのは「社員のハピネス」であると考える同社では、社員の幸福(well-being)を業績向上につなげるための様々な施策が行われており、エンゲージメントを見える化するアトラエの「Wevox(ウィボックス)」も活用されている。同社はなぜWevoxを導入したのか、またWevoxによってどのような効果がもたらされているのだろうか。代表取締役社長執行役員の中村徳晴氏と人財本部 人事部 人材開発課長の森下忍氏に話を聞いた。

エンゲージメントでハピネスの見える化を

 同社は2020年度からの中期経営計画で「循環創造企業へ」というビジョンを打ち出し、そのベースに「個を中心に据えた経営」を掲げている。同社の代表取締役社長執行役員である中村徳晴氏は「当社の競争力の源泉は人です。社員一人ひとりが社会に貢献しようと思わなければ、社会課題の解決につながる新しいビジネスは生まれません」と話す。

中村徳晴氏

リコーリース株式会社
代表取締役社長執行役員
中村徳晴

 この考えを基に同社が力を入れているのが、社員の「ハピネス」向上だ。社員が幸せであれば、広い視野を持って社会の困りごとにアンテナを張り、困っている人を助けたいと思うようになる。しかし、ハピネスの度合いを見える化できなければ、向上しているかどうかを確認できず、施策が正しいかどうかの判断もできない。

 そこで同社が注目したのが、社員のエンゲージメントを見える化することだった。中村氏は「ハピネスを定量化したくても人によって幸福の感じ方は違います。しかし、エンゲージメントであれば見える化することができます。組織に対するエンゲージメントが上がっていることと幸福度の向上には近いものがあると考えました」と語る。

 以前実施していた従業員満足度調査は年1回の調査であり、アナログで結果が出るまでに時間がかかる。「しかも不満を抽出するもので、モグラ叩きのようにそれを解決することが繰り返され、部分最適の構造になっていました。それでは社員の主体性を引き出すことはできません」と人財本部 人事部 人材開発課長の森下忍氏は語る。

森下忍氏

リコーリース株式会社
人財本部 人事部 人材開発課長
森下忍

 森下氏は同社の社員として働く傍ら、エグゼクティブコーチとしてクライアントにコーチングを提供し、組織開発コンサルタントとしての一面も持つ。それだけに意識を変えることが行動変容につながることを熟知していた。

全社にデータを開示し現場の気づきを促す

 エンゲージメントを見える化するツールをいくつか検討した結果、同社はアトラエが提供する「Wevox」を選択した。選定の決め手となったのは、プロダクトの指標の中に求めている項目が網羅されていたこと、UX(ユーザーエクスペリエンス)およびUI(ユーザーインターフェース)が優れていた点だった。

 「例えば健康に関する指標。当社は4年連続で健康経営銘柄に認定されています。Wevoxではそれに沿った指標も設定されていました。質問もシンプルで現場に負担をかけることなく実施できそうでした」と森下氏は話す。 

 森下氏が会議の際に中村氏へWevoxの導入を提案したところ、中村氏の「まずはやってみようよ」という一言で導入に向けた動きは一気に進んだ。「すでに他社のデータも蓄積されていて、比較できることにも興味をそそられました。他社とどう違うのかを知ることは必要ですし、何よりも定点観測することに意味があると考えました」(中村氏)。

 同社は2020年1月にトライアル的にサーベイを実施し、事務局がサーベイの捉え方をきちんと理解したうえで、7月以降は全社員を対象に3カ月に1度のペースでサーベイを実施した。実施にあたっては丁寧な説明資料を用意し、結果の振り返りと改善のためのアクションプランのためのフォーマットも提供している。

 さらに本格的な展開に向けて説明会を開催。説明会は組織長を対象にオンラインで行い、約1時間のうちWevoxの概要や使い方に30分、残りの時間を本質的な理解を促すための質疑応答に充てた。これまでに5回ほど実施され、多くの組織長が参加しているという。

 エンゲージメントスコアについては最終的には全社に開示することを前提に、現場からの心理的な抵抗感を和らげるため段階的に開示範囲を広げていった。現在では組織の最小単位である課レベルのスコアを全社員に開示している。

主体性を重視して現場に運用を任せる

 同社が最も重視しているのは、現場の主体性である。「組織の課題は様々です。組織の持つ課題に自ら気づき、組織全員でアクションプランに取り組んでもらうことが最も大事だと考えています」と森下氏は話す。アクションプランのフォーマットも回収せず、現場に運用を委ねている。

 ただし、フォローは手厚い。エンゲージメントスコアを全社に公開していることは、組織長にとってはプレッシャーとなる。「スコアの低い組織については個別にサポートしています。事務局側は管理をするのではなく、伴走型で一緒に改善策を考えることが重要です」と森下氏。その効果もあり、2021年12月には最低のDランク(※)の組織は皆無となった。

※スコアランク:エンゲージメントスコアをA~Fの指標でランク付けを実施しております。

森下忍氏

「組織の課題は様々です。組織の持つ課題に自ら気づき、組織全員でアクションプランに取り組んでもらうことが最も大事だと考えています」

 スコアの公開は組織長だけでなく社員の意識変革にもつながっている。森下氏は「当社は上司とメンバーの定期的なコミュニケーションの場として1on1(1対1のミーティング)を導入しているのですが、メンバーの主体的な組織の課題解決策として、メンバー同士の横の1on1も行われるようになりました。ボトムアップの主体的な動きであり、とてもうれしかったですね」とその変化を指摘する。

 こうしたボトムアップの取り組みが組織を大きく変えていく。エンゲージメント向上のためにエンゲージメントスコアを活用している組織については定期的に事例として社内に発信し、グッドプラクティスから自主的な学びを促している。

 「強い組織とは、頭で考えているのと同じことを細胞レベルでも感じていて自律的に動いてくれる組織です。サッカーの試合中に選手同士が集まって戦略を確認し合うように、現場の一人ひとりが課題感を持って仕事に臨むことが重要です」と中村氏。

 同社では、業績とエンゲージメントスコアの相関関係の研究も始めている。「データもたまってきたので、業績や360度サーベイの結果と合わせて新たな指標をつくろうと考えています」と森下氏は語る。現在、Wevoxのデータサイエンスチームと共同研究を進めているという。

 中村氏は「エンゲージメントスコアに一喜一憂するつもりはありませんが、『業績がいい企業はスコアが高い』ことが多いということには納得できます。その意味でスコアを高めていくことは大切です。企業としてのサステナビリティ経営を推進するためにも長期的な視点で取り組んでいきたい」と語る。

中村徳晴氏

「強い組織とは、頭で考えているのと同じことを細胞レベルでも感じていて自律的に動いてくれる組織です」

熱い思いに共感してアカデミーの講師に

 森下氏は現在、アトラエが2020年12月に開校したエンゲージメント向上のためのオンラインアカデミー「Engagement Run!(※)」の外部特別講師でもあり、特集クラスを担当している。

 「導入事例をイベントで発表させていただいたことがあり、アカデミーができるときに講師の話をいただきました。アトラエWevoxチームの皆さんの“エンゲージメントの高い企業を増やして社会に貢献したい”という純粋な思いに共感し、参画させていただくことにしました」と森下氏は語る。

 講師として森下氏が感じているのは、エンゲージメントスコアに捉われて悩んでいる担当者が多いことだ。「エンゲージメントスコアを向上させることは手段であり、本来の目的はエンゲージメントが高い状態や空気を創ること、社内に自由闊達なコミュニケーションが生まれ、自身の仕事にやりがいを持って活き活き働く社員があふれることです。スコアというKPIから解放されて、楽しみながら取り組むことが、結果的にスコアアップにもつながります」(森下氏)。

Engagement Run!

※ Engagement Run! = エンゲージメントや組織づくりに関する知識、ノウハウをオンラインで自発的に学べる場

 エンゲージメントスコアを高めるカギは現場の主体性にある。森下氏は「社員自らが自発的に行動するためには内発的動機付けが生まれることが一番重要です。自然と行動できるような施策を考えたり、『一緒にやろうよ』と声をかけてメンバーを巻き込んだりする環境づくりが人事や推進役には求められています」と語る。「会社をよりよくしていくこと」それは企業にとっても社員にとっても同じ目標である。エンゲージメントを向上させて、活力あふれる組織にすることは、「個を中心に据えた経営」をベースに考える同社の目標達成に向けた重要な取り組みの1つである。

中村徳晴氏、森下忍氏
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