第一生命がWevox活用で「社員ウェルビーイング」を推進 エンゲージメントサーベイ結果をもとに、対話を繰り返して組織風土を変革第一生命がWevox活用で「社員ウェルビーイング」を推進 エンゲージメントサーベイ結果をもとに、対話を繰り返して組織風土を変革

提供:アトラエ

「一生涯のパートナー」という使命を掲げ、「社員一人ひとりが健康で誇りとやりがいをもって、仲間とともにイキイキわくわく活躍できる」会社を目指す第一生命保険では、社員の状態を定期的に確認して施策を講じ、効果を見ながら改善するPDCAサイクルを回している。そこで活用されているのが、アトラエが提供するエンゲージメントサーベイ「Wevox(ウィボックス)」だ。実際にどのように活用され、どのような効果が上がっているのか。第一生命保険 人事部長の井口早苗氏、大宮支社長の坂口太氏、主計部長の山崎浩氏にそれぞれ話を伺った。

数字を追うのではなく、変化の背景を理解する

 「行動を変えることで風土を変えていきたい」と第一生命保険 人事部長の井口早苗氏はWevox導入の狙いを語る。エンゲージメントサーベイは9つのキードライバーで個人や組織の状況をスコアで見ることができるが、井口氏は「数字の変化に一喜一憂するのではなく、アクションにつなげていくことが大事です」と話す。

井口 早苗氏

第一生命保険株式会社
人事部長
井口 早苗

 エンゲージメントサーベイ導入前、同社では毎年従業員満足度調査を行っていた。しかし、アンケートの項目が多く回答する現場に負担をかけていたのに加え、結果がまとまるまでに3カ月程度かかっていた。「タイムリーに結果が得られないことで、各所属にフィードバックするタイミングでは所属の状況や課題が変化しているケースもあり、適時適切に打ち手を実行できていない可能性がありました」(井口氏)。

 金銭不正取得事案の発覚を受けて経営品質刷新プロジェクトを発足させ、組織風土の変革に取り組んでいた同社には、実効性のある施策を打つことが求められていた。そこにフィットしたのが、アンケートの回答が簡単で、リアルタイムに結果が得られるWevoxだった。井口氏は「他社と比較できるデータがそろっているところも魅力でした」と話す。

 同社は2021年8月にエンゲージメントサーベイを導入し、現在では、全社的に活用している。「会社の風土は年度の切り替わりや人事異動、繁忙期など、ちょっとしたことで変化します。変化が見えることでいち早く施策を打てることを期待しました」と井口氏は語る。

 人事部ではWevoxの活用に向けて3種類の支援を用意した。導入時の概要の説明、サーベイの結果の見方、そして事例の共有だ。以前から全社で行ってきた役員層やライン部長向けの「トップマネジメント塾」でもエンゲージメントをテーマにした。サーベイの結果を見て、できていることとできていないことを明らかにして参加メンバーで共有している。

 結果を共有することで「同じ悩みを持つ人たちがいる」という連帯感や、「こういうやり方もあるな」という気づきが得られる。参加者にとっては社員のことを考える時間をつくるきっかけにもなり、マネジメントの意識に大きな変化が生まれているという。

 また、任意回答のフリーコメント欄には、約4000件のコメントが寄せられ、Wevoxの定着が進んでいるとともに、社員が声をあげやすい風土醸成が進んでいる証しでもある。

 「社員がイキイキわくわく働いている状態をつくるには、自ら声を出し手を上げて、仲間と一緒に取り組んでいることが大事です。そのために従来掲げていた『人財育成方針』を、社員と組織の関わりを示すものとして範囲を拡げて定義しなおし、社員ウェルビーイングとして新たに打ち出しました。そのなかで中心的な概念としてエンゲージメント向上を位置づけています」と井口氏は語る。

(参考)ありたい状態とエンゲージメントの関係性

エンゲージメント向上の先の景色を見に行こう

 第一生命保険の大宮支社は先行してエンゲージメント向上に取り組んできた組織の1つだ。社員600人の大組織で、その多くがお客さまへのコンサルティング営業を担う。支社長の坂口太氏は「エンゲージメントを向上させることで生産性が上がり、離職率が下がり、コンプライアンスが強化されると考えました。営業手法まで変えてしまうほどの成果が得られるはず、と信じて取り組んでいます」と語る。

坂口 太氏

第一生命保険株式会社
大宮支社 支社長
坂口 太

 坂口氏は2018年に大宮支社長に就任してすぐ、社員満足度の向上に取り組み始めた。当時実施していた従業員満足度調査では、坂口氏就任前の大宮支社は平均以下の水準だった。「働きやすい組織をつくる」意識が極めて強かった坂口氏は、その水準を全社トップクラスに向上させた。エンゲージメントサーベイ導入後すぐにエンゲージメントに向き合うことを決めた坂口氏は、メンバーと接するたびに「エンゲージメントが向上するとどんな景色になるのか一緒に見よう」と話しかけた。

 「まず自分自身が納得するためにエンゲージメントのメリット、デメリットを腹落ちできるまで調べました。トップが腹落ちしないとメンバーを説得できません」と坂口氏。管理職、メンバーを含めたエンゲージメント向上委員会を立ち上げ、毎月1回サーベイの結果を検証し、それぞれの悩みを共有して改善・向上のための意見交換を行ってきた。

 「真剣に取り組み、しっかりと実証していく姿勢を見せることにより、メンバーも真剣に応えてくれるようになります。スコアの高低ではなく持ち場で行動を起こすことを求め、その結果、変化があったかどうかを見ることが重要です」と坂口氏。打ち手によって実際にスコアが上がると達成感が生まれ、腹落ちするメンバーも増えてきたという。

 その結果、職場に変化も生まれてきた。坂口氏は「まずお互い積極的に声を掛け合うようになり、職場が明るくなりました。また、決められたこと以外にも取り組むマルチプレーヤーが増えています。自分たちで考えてトライアンドエラーを繰り返すようになってきました。コンプライアンス面での質の向上にもつながっています」とその効果を語る。

 また、効果は職場内に限らず、これまで注力してきた地域貢献活動にも好影響をもたらしている。エンゲージメントが高まることで活動に拍車がかかり、さらにはお客さま一人ひとりへ寄り添う姿勢も今まで以上に強まっているという。結果として業績も向上していくのではないだろうか。

「自分ごと化すること」が個々の成長につながる

 第一生命保険の主計部は、数理専門の若い人財が多い50人ほどの組織で、主な役割は財務と収支の管理、商品事業部と共同で商品開発のための保険料のプライシングをすることだ。保険会社のコアとなる部分を担当するだけに、すべての業務が全社ビジョンにつながっている。

 「エンゲージメントの取り組みもそうですが、問題は若いメンバーがどこまで腹落ちしているかということです」と主計部長の山崎浩氏は話す。同社ではDSR(Dai-ichi's Social Responsibility:第一生命グループの社会的責任)経営という経営品質を高める施策に取り組み、各支社では「支社DSR委員会」を通じてDSR経営を実践している。しかし、顧客との距離が近くない本社部門ではどうしても業務遂行に重きが置かれがちだ。

山崎 浩氏

第一生命保険株式会社
主計部長
山崎 浩

 「だからこそ組織として目指す姿を共有し、その中で自分がどうなりたいかを考えていくことが重要なのです」と語る山崎氏は、人財育成と組織風土を「業務を遂行するための2つの土台」に位置づけ、テーマごとにプロジェクトチームを立ち上げ、独自に主計部DSR委員会を設けて仕組み化に取り組んできた。

 そんな山崎氏にとってエンゲージメントサーベイの導入は腹落ちできるものだった。「Wevoxの活用動画等を視聴し分かったのは、問題解決のためのアプローチではなく、未来創造型のポジティブなアプローチ(※)が必要で、数字は結果としてついてくるということです。大事なのは、自分たちがどうなりたいのか明確にしていくことです」(山崎氏)。

 当然、数字は上がることも下がることもある。山崎氏はエンゲージメントの重要性を繰り返し説く一方で、口を挟みすぎず、結果の分析や仮説検証は各チームに任せることで、自分ごと化を促す方針を貫いている。

組織・職場を改善していく上での2つの思考

※ 未来創造型のポジティブなアプローチ:現状の深掘りだけでなく、理想状態や目標とのギャップから改善方法を考える思考(Wevox では企業の自主的な活用を促す学習動画を提供)

 「新型コロナウイルス禍でオンラインのコミュニケーションが増え、対話や雑談の機会が減っています。サーベイを1on1のツールとして活用して対話を増やすことにより、関係性の質が向上しています」と山崎氏。今後は関連部署に業務の共創・協働取組に関するアンケート評価に協力してもらい、部内でディスカッションし、各課、各チームがどうなりたいのかをより明確にしていくという。

 最後に山崎氏は「成果はすぐには得られません。メンバーが成長していく姿を楽しみに、トライアンドエラーを繰り返すしかありません」と決意を語った。

 風土改善などを踏まえた組織改革のためにエンゲージメントサーベイを活用する同社。現場の活用に重きを置きつつ、各メンバーの腹落ちを重要視し、自律的な改善サイクルを回している。この一貫したチームワークこそ、同社の強みであり、今後、さらなる組織改革が推し進められていくことを確信するインタビューだった。

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