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受賞企業各社の中心メンバーへのインタビュー

2023.03.02開催の受賞式に先立ち、受賞各社の中心メンバーに、受賞の喜びや対象となった活動の概要などについて聞きました。

NIKKEI BtoBマーケティングアワード2022


大賞

フォト:前川氏、桐山氏、石川氏

写真左から前川氏、桐山氏、石川氏

旭化成

旭化成 デジタル共創本部CXテクノロジー推進センター センター長
石川 栄一

旭化成ファーマ 医薬営業本部デジタルマーケティングプロジェクト デジタルコミュニケーショングループ長
桐山 泰明

旭化成ファーマ 医薬営業本部 デジタルマーケティングプロジェクト デジタルコミュニケーショングループ
前川 学

「繋がる」をコンセプトに顧客へ価値提供

旭化成グループは、グループの強みである多様性を生かし、デジタルの力でビジネスモデルを変革し、新しい価値の提供を目指してDXを積極的に推進しています。そのような中、今回の受賞は非常に光栄なことであり、また自信にも繋がっています。

大賞をいただいたのは、医療関係者向けWebサイト「Pharma DIGITAL」を中心としたデジタルマーケティングの取り組みです。従来、医薬品のプロモーションは、フィールドセールスであるMR(医薬情報担当者)が中心でした。しかし、コロナ禍の影響でMRによる医療関係者への接触機会が半減しチャネルの転換に迫られました。そこで医療関係者に途切れることなく情報提供し、患者様の命と健康に貢献することを目的としてWebサイトをリニューアルしました。

コンセプトは「繋がる」。Webサイトを通じて医療関係者同士、医療関係者とMRが繋がることを目指しました。特徴的な機能として会員医師がサイトに訪問すると、顔写真付きで担当MRが表示され、写真の下にある『このMRにメールで連絡する』を押下するとメーラーが起動し、担当MRのメールアドレスを知らなくても連絡が取れる仕様となっています。「大学病院の医局紹介」や「先進的な取り組みを行っている施設」「留学体験談」など月に5件以上の取材記事を掲載。また整形外科医師向けの「手術手技動画」やウェビナー配信といったコンテンツの充実も図り、リニューアル前と比較して月間のユーザー数は10倍、直帰率は60%低下、ページビュー数は2倍となりました。製品によっては、情報提供の対象となる医師のうち約半数に会員となっていただいています。これまでコンタクトできなかった医師からの問い合わせがあり情報提供の幅が広がったとMRからも高い評価を得ています。

現在、会員のデモグラフィック属性に加えてWebサイトの行動ログデータを機械学習により分析しています。この結果を基にセグメント化し、会員のニーズに沿ったプロモーションが可能になると考えています。今後OMO(Online Merges with Offline)の実現によって、医療関係者とのさらなる信頼関係構築へと繋げ、人びとの“いのち”と“くらし”に貢献します。

NIKKEI BtoBマーケティングアワード2022


デマンドジェネレーション賞

フォト:金氏、松原氏、長畑氏、奈良氏

写真左から金氏、松原氏、長畑氏、奈良氏

ヤマハ

ヤマハ ブランド戦略本部 マーケティング統括部 CX戦略部 CXマーケティンググループ 主事
金 成典

ヤマハ ブランド戦略本部 マーケティング統括部 CX戦略部 CXマーケティンググループ
松原 徳美

ヤマハファインテック FA事業部 FA営業部 営業グループ 主事
奈良 晃寛

ヤマハファインテック FA事業部 FA営業部 営業グループ
長畑 渓心

ヤマハブランドを活用した戦略でリード5倍増

超音波ヒートシール検査機「ULTRASONICA」は未知の領域への新規参入製品であり、当社の活動が外部で高く評価されたことは、一緒に働く仲間たちのチャレンジを後押ししてくれる意義のある受賞と感謝しています。

マーケティング統括部はBtoCでは多くの知見があるものの、BtoBでの実績は少なく、ステークホルダーの多い今回のBtoBtoB業界の構造を把握するために、まずは独自の業界地図を作成することから始めました。その上で、社内の設備購買部門へのインタビューに基づきターゲットを充填機メーカーではなく食品メーカーに定め、ヒートシール検査市場とターゲット市場の規模などを試算し、カスタマージャーニーを設計しました。また、ヤマハブランドを前面に出すことで顧客との信頼関係構築に高い効果があることも確認できました。超音波を活用した「ULTRASONICA」は音と音楽を事業のコアとするヤマハの理念と親和性の高い製品であるため、ヤマハブランドを活用した戦略を立案しました。

市場トップの企業がとっているポイントを押さえながらも、「音のヤマハが作った超音波検査機」を認知頂くために、インパクトのあるフル3DCG動画で競合他社との差別化を図りました。「音でしか見えないものがある」というヤマハらしいタグラインを採用し、最適な広告手法としてのリスティング広告も展開した結果、FOOMA JAPAN 2022において、通常200件程度のリードが1000件を超え、5倍増の成果につながりました。

プラットフォーム上での顧客情報活用等の課題はまだありますが、BtoCで培った顧客視点でのインサイトをUVP(独自の価値の提案)に落とし込む手法はBtoBでも活用できることが分かりました。食品業界への参入を果たしたばかりであり、より汎用性を高めた製品での他業界への展開も視野に入れ、今後の協業体制の構築にもつなげていきたいと考えています。

NIKKEI BtoBマーケティングアワード2022


ブランディング賞

フォト:飯干 恵利子氏

飯干 恵利子氏

パナソニック コネクト

パナソニック コネクト
マーケティング本部 企画管理部 企画管理課 兼
コーポレートブランディング部
ブランディング課 課長
飯干 恵利子

パーパス策定から全員参加で企業ブランディング

パナソニックグループの持株会社制への移行に伴い、当社はBtoBソリューション企業として2022年4月に誕生しました。私たちにとって初めての企業ブランディングの取り組みがこのように評価されたことは、とても大きな喜びです。

100年以上続くパナソニックのグループ企業ではあるものの、新会社「パナソニック コネクト」は知名度がなく、ゼロからのスタートでした。設立に際し、当社では会社の存在意義である「パーパス」、そして行動規範となる「コア・バリュー」を作成することにしました。これまでパナソニックが創業以来大切にしている考え方や創業者の精神を受け継ぎながら、コネクトらしく、また現代風にアレンジした言葉にしました。

決定したパーパスは「現場から 社会を動かし 未来へつなぐ」。多様な製品・サービス群を扱う中で、社員全員が腹落ちする「現場」という言葉、コネクトらしさ、覚えやすさを重視しました。社員こそが重要な企業を代表するメディア、との考えからインターナルブランディングに注力。ボトムアップとトップダウンのバランスを取りつつ全社員を巻き込んでプロジェクトを推進しました。

並行して取り組んだのは、多層的な発信で一貫性のあるメッセージ、ステークホルダーの共感と期待を得るためのコミュニケーションです。例えば、自律的なサプライチェーンが人々の思いをつなぐ幸せな世界を描いたパーパスCM「かなえよう。」は、YouTube再生回数のKPI 300万回に対して2,000万回以上もの反響があり、社名検索でも高いサーチリフトを獲得できました。様々な活動を通して、パナソニック コネクトが何のためにこの社会に存在し、どんな企業価値観を持っているのかをステークホルダーに伝えることができたと思います。

今回のプロジェクトは、多くの方々の積極的なサポートがなければ実現出来ない、質的にも量的にも大変なチャレンジでした。今後も様々なチャレンジを続けながら、企業変革をドライブしていきます。そのことが、日本のBtoBマーケティング全体の向上に少しでもお役立ち出来れば嬉しく思います。

NIKKEI BtoBマーケティングアワード2022


プロダクトマーケティング賞

フォト:写真左から津田氏、大川氏、深田氏

写真左から津田氏、大川氏、深田氏

ミスミ

ミスミ ID企業体 IDマーケティング推進室 ジェネラルマネジャー
大川 英恵

ミスミ ID企業体 IDマーケティング推進室 ブランド戦略チーム チーフディレクター
津田 奈都葵

ミスミ ID企業体 IDマーケティング推進室 データマーケティングチーム チーフディレクター
深田 武晴

製造業支える世界No.1プラットフォーマーを目指す

meviy(メビー)は機械部品調達の時間を92%も削減する、AI搭載の受注生産プラットフォームサービスです。第9回ものづくり日本大賞で内閣総理大臣賞を受賞しましたが、今回、meviyのBtoBマーケティング活動をプロダクトマーケティングとして評価していただいたことは、この上なく光栄です。

meviyの稼働は2016年からですが、BtoBマーケティングの本格展開は19年から。過去3年半でユーザー数は10倍、3DCADデータアップロード数も累計で1100万点を突破しました。欧州、北米に続き今年は中国・アジア市場でもサービスを開始します。

マーケティングの基本コンセプトを私たちはMDMS(meviy DX Model of Selling)と呼び、「提供するのは部品ではなく時間価値」と表現しています。ミスミの従来のECサイトとmeviyでは顧客層や使われ方が異なるため、ECサイトとは別の顧客データベースを構築し、社内各領域とのDX連携を加速させています。

具体的なマーケティング活動としては、認知拡大のためにTVCMやYouTube動画を活用。Webコンテンツマーケティングや製造業向け展示会出展とデータマーケティングを組み合わせて顧客にアプローチしています。

デジタル広告経由では22年度は対前年比で新規ユーザー数が29%増。顧客獲得単価もマイナス10%と成果を挙げています。

欧米や中国では部品サプライヤーを束ねたマッチングサービスが台頭してきていますが、製造と流通を兼ねるmeviyの強みを生かし、グローバルとローカルに適したマーケティング活動を通じて、製造業を支える世界No.1のプラットフォーマーを目指していきます。

NIKKEI BtoBマーケティングアワード2022


顧客ベネフィット創出賞/ 
協賛社特別賞 共創(コミューン)

フォト:写真前列左から濱野氏、増尾氏、矢野氏、後列左から久保氏、岩川氏、吉岡氏、藤田氏

写真前列左から濵野氏、増尾氏、矢野氏、後列左から久保氏、岩川氏、吉岡氏、藤田氏

三井住友カード/
三井住友銀行

三井住友カード マーケティング本部 部長代理
増尾 速哉

三井住友カード マーケティング本部 部長代理
久保 拓也

三井住友カード マーケティング本部 部長代理
濵野 奈緒

三井住友銀行 リテールマーケティング部 マーケティング企画グループ 部長代理
矢野 圭章

三井住友銀行 リテールマーケティング部 マーケティング企画グループ 部長代理
藤田 健太

三井住友銀行 リモート決済営業部 企画グループ グループ長
吉岡 毅彦

三井住友銀行 リモート決済営業部 企画グループ
岩川 隼太朗

会社の垣根を越えた協働で成約率を向上

決済プラットフォーム「stera」をより多くの店舗で使っていただきたい。その想いで、三井住友カードと三井住友銀行が協働して取り組んだプロジェクトが、顧客ベネフィット創出賞と協賛社特別賞 共創をダブル受賞できたことは大変光栄です。

steraを中小事業者への拡大するにあたり、当初は競合製品より優れた機能や手数料の安さをメインに訴求しましたが、端末・サービスの魅力を伝えきれず、リード獲得に苦戦していました。そこで、stera導入が会計時の課題解決につながることを想起させるアプローチへと戦略を転換。ブランドメッセージを「あなたのお店にゆとりを。」に変えました。

サイトも、会計時の接客での悩みを解決するストーリーを用いて、お客様へのベネフィットの理解を促す内容へ。店舗の課題に徹底的に寄り添うことで、リード獲得のCV率は約3倍になりました。

しかし、リードを成約に結びつけるには、非対面でのコミュニケーションだけでは不十分でした。お客様の経営に直結する製品なので、ウェブの情報だけでは導入を決断しにくく、実際多くのお客様が対面での説明を必要としていました。

そこで、三井住友銀行と会社の垣根を超えて協働し、架電や往訪によるフォローアップ体制を構築しました。資料請求してくれたお客様に素早く接触することで、アポイント獲得率は11倍にアップ。さらに対面による詳細説明やデモ機の体験などにより、導入メリットを実感してもらうことで、資料請求後の申し込み率も2倍以上に改善しました。

今回の活動では、steraのベネフィットを伝えるメッセージ開発、ウェブとリアルを融合したカスタマージャーニーをつくることができました。今後もお客様の課題に寄り添い、互いの持つ強みを最大限に生かし、steraの成功体験を積み重ねていきたいと思います。

協賛社コメント

本賞は、企業とステークホルダーが協力して課題を解決し、より素晴らしい未来を共に創造することをたたえるものです。今回、三井住友カード・三井住友銀行様は、直接のお客様への課題を解決するだけでなく、その先のユーザー様の体験向上も含めるアプローチを実施されるとともに、既存の枠組みにとらわれることなく、組織を超えた協力体制を構築する野心的な挑戦をされました。このような「共創」を体現するマーケティング施策に対し、心より称賛を申し上げるとともに、今後ともステークホルダーとともに歩むことで、事業を持続的に発展させていくことを心より願っております。

commmune

NIKKEI BtoBマーケティングアワード2022


協賛社特別賞 マーケティングオートメーション活用
(セールスフォース・ジャパン)

フォト:藤原氏、土屋氏

左から藤原氏、土屋氏

リンコム

取締役シニア・バイス・プレジデント
土屋 敏彦

営業部 部長
藤原 寧之

「実行力」をコアコンピタンスに事業転換

この度の受賞は「店番長」をご導入いただいたお客様をはじめ、ご支援いただいた皆様のお力添えのお陰と感謝しております。

店番長は、チェーンストア向けのクラウドソリューションです。弊社でこれまで長く主力を務めたグループウエア製品が伸び悩む中、収益安定化のため、新しく立ち上がった店番長事業を軌道に乗せることが不可欠でした。

そこでまず、マーケティングオートメーションやCRMなどのクラウドサービスを活用して、スケーラブルな組織の枠組みをつくりました。自社内でシステムの実装から運用までを行い、改善サイクルの迅速化も図りました。これにより少ないメンバーで大きな効果を生み出し、それが成長へと繋がり、理想とするデマンドセンターを構築することができました。

次に行ったのが、ブランディングです。店番長という名称はインパクトが強い一方、初期のロゴデザインやパンフレットでは先進性や信頼感が想起されにくく、商品の良さがうまく伝わっていませんでした。そこでブランドカラーを先進的なクラウドサービスと同系の「ブルー」に変えロゴもチェンジし、さわやかで印象的なイメージを訴求。さらに製品への信頼感を伝えるため、オウンドサイトに導入事例をクローズアップしました。コンテンツ拡充とともに製品価値向上へとつながり、事例が次々と増え大手チェーンストアにも導入が広がりました。

もう一つこだわったのが「実行力」の訴求です。店番長の事業パーパスは「実行力に悩みを持つチェーンストア企業をゼロにする」ことです。導入企業の取り組みからも店舗ごとの実行力と売上に相関があることがわかってきており、実行力をはじめとする活用状況をKPI化し、お客様のビジネス価値向上へとつなげる支援を行いました。

こうした取り組みで、店番長は順調に売上を伸ばし、当初目的としていたビジネス転換による収益の安定化を達成しました。今後も実行力をコアコンピタンスに、マーケティング活動をより強化し、開発〜営業〜カスタマーサクセスまで一気通貫体制で挑戦し続けていきます。

協賛社コメント

革新的なマーケティングオートメーション施策を実行し、事業を成長された企業に贈られる本賞の受賞おめでとうございます。リンコム様はチェーンストア向けクラウドソリューション事業のマーケティング施策で、限られた社員数でSFAやMAを戦略的にフル活用し、成果をあげられました。また、先進性や信頼感を醸成するために「店番長」のブランディングを大幅に変更するなど、お客様の声に常に耳を傾け新しいことに果敢に取り組み、事業を大きな成長に導かれました。この一連の活動と成果を称えると共に、今後もテクノロジーを活用しビジネスに変革をもたらすTrailblazerとしてのご活躍を心よりお祈りいたします。

salesforce

NIKKEI BtoBマーケティングアワード2022


ファイナリスト

凸版印刷、リンナイ

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