Baker McKenzie. TOKYO 50 YEARS

ベーカー&マッケンジー法律事務所
共同代表パートナー2人に聞く

――企業法務の最先端を見る――

日本における50年の実績と
世界最大級のネットワーク生かし
日本企業の
グローバル展開を強力サポート

日本における50年の実績と世界最大級のネットワーク生かし日本企業のグローバル展開を強力サポート

ギャビン・ラフテリー
共同代表パートナー

高田昭英
共同代表パートナー

世界有数のビジネスローファームの日本拠点ベーカー&マッケンジー法律事務所は、日本での活動を開始して50年という歴史の節目を迎える。昨年7月、共に40代と若くして共同代表パートナーという日本での指揮官に就任した高田昭英さんとギャビン・ラフテリーさんに、法律事務所の現状、今後を見据えた展望などについて切り込んだ取材を決行。現在の日本企業が置かれた状況、そしてM&A(合併・買収)のトレンドから見えてくるものとは?半世紀にわたり蓄積された知見・経験をもとに日本企業のグローバル展開をサポートしてきたベーカーマッケンジーの真摯な本音を聞きだした。

仕切り線

ベーカー&マッケンジー法律事務所 1949年に米国で誕生したベーカーマッケンジーの日本拠点として、72年に東京青山法律事務所を母体に活動を始める。95年の外弁法(外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法)施行に伴い特定共同事業を開始。2012年から現在の名称に。世界46の国と地域に76オフィス、6,000人以上の弁護士を擁する世界最大級の国際総合法律事務所。

めざす仕事ができる
唯一無二の場所
日本とグローバル両方の
視点を武器に

――数ある法律事務所の中から、ベーカーマッケンジーを選んだ理由を教えてください。

自分に一番合っていると感じたのがベーカーだったんです。数十年後の自分の姿を想像できる事務所だった点が、一番の決め手になりました。以前は東京にある別の事務所で働いていましたが、さらなる機会や可能性を求めていたら、ベーカーに巡り合えました。入ってみると、思っていたとおり人間関係がとてもよく、尊敬できるめざすべき先輩が何人もいました。ロンドンのオフィスで経験を積む機会ももらい、グローバルファームとしての魅力も実感しました。これまで20年以上もベーカーで仕事を続けているのも、日本というローカルとグローバルの両方の視点をバランスよく生かし、自身を成長させられる環境だからでしょうね。

私にとってベーカーというプラットフォームは、唯一無二。自分がめざす仕事ができる法律事務所はほかにないと思っています。企業法務を志した理由の一つは、日本企業の海外での事業展開を法律事務所がどのようにサポートできるのか興味があったからです。私がベーカーに入った2000年当時はM&A法制が大きく進化していた時期。米国法の影響を大きく受けていたこともあり、海外法制度や実務の勉強に努めていました。既にベーカーは東京で日本企業と長きにわたる関係を築き、グローバルネットワークで蓄積したノウハウを提供できる事務所でした。当時から国籍やバックグラウンドに関係なく、多様な人材をフラットに受け入れる文化を持つグローバルファームであったという点でも、唯一の選択肢だったと言えると思います。

日本における50年の実績と世界最大級のネットワーク生かし日本企業のグローバル展開を強力サポート

ギャビン・ラフテリー 共同代表パートナー
金融取引、規制問題について幅広いリーガルアドバイスを提供する。弁護士登録は豪の2州、豪最高裁判所、イングランド、ウェールズ、日本(外国法事務弁護士)。豪ボンド大学卒業、カレッジ・オブ・ロー卒業、シンガポールマネージメント大学フィンテック&イノベーションコース修了。

ESGの視点から経営戦略を
日本企業固有の課題とは?

――日本企業が現在直面している固有の課題についてどのようにみていますか。

最近は、DX(デジタルトランスフォーメーション)とサステナビリティーの話をしない日はないといっても過言ではありません。私の専門である金融業界では、5年ほど前に金融とテクノロジーの融合、いわゆるフィンテックが大きく取り上げられ、今回新型コロナウイルス感染症の影響でDXへの動きは社会全体で一気に加速しました。今では金融のみならずすべての業界で生き残りを懸けた関心ごとになっていると感じています。一方、サステナビリティーでは、ESG(環境・社会・企業統治)のE(環境)が特に注目される中、ほかの2つの視点からも、経営戦略や企業文化をどう変えていくべきかといった相談が増えています。

DXやサステナビリティーなどグローバルな環境変化の中で、日本企業固有の課題だと感じているのは、グループ企業ごとにガバナンスの仕組みに違いがある点です。例えばデータ管理一つとっても、買収した海外企業のシステムが以前のままで、グループ内で管理の仕方がバラバラなことがあります。個人情報保護法制の新しい動きに対応する場合や、データが最大価値を生み出すためのデータシステムの最適化を考える場合に、グループ全体でのガバナンスやコンプライアンス(法令順守)といった総合的かつ統括的な下準備が、いま必要になっていると感じています。

ESGの視点から経営戦略を日本企業固有の課題とは?

「インクルージョン&
ダイバーシティー」
デューデリジェンスの必須項目

――海外の企業と比べ、日本企業がもっと認識すべき課題はありますか。

日本企業はSDGs(持続可能な開発目標)に近年非常に積極的に取り組んでいる一方で、ダイバーシティー&インクルージョン(多様性と包摂)の面ではまだ海外とのギャップがあると感じています。ダイバーシティーはLGBTQ(性的少数者)、人種や国籍、障がいなどさまざまな多様性を含みます。海外市場に進出する際には、それぞれの地域でどのような影響があるか、優先事項は何かなど、きちんと認識しておかねばなりません。私たちのファームでは最近、「インクルージョン&ダイバーシティー(I&D)」とインクルージョンを先にもってくるように順番を変えました。個々を認め合う社会的包含なしにしてダイバーシティーは成り立たないという発想です。

日本でも、若い世代が率先し社内で声を上げていく動きはありますが、決定権を持ったシニア層との間に認識の差があると思います。しかし、M&Aの場面でも、これまでのデューデリジェンス(資産査定)の範囲にとどまらず、I&Dやサプライチェーンにおける人権など、事業のサステナビリティーの観点から、非財務情報の分野がより重要になってきています。

「インクルージョン&ダイバーシティー」デューデリジェンスの必須項目

高田昭英 共同代表パートナー
M&A、組織再編、証券取引を専門にコーポレートガバナンス、コンプライアンス等に関する案件を含み、企業法務一般を担当する。シカゴ事務所での勤務経験も。弁護士登録は日本、米ニューヨーク州。東京大学法学部卒業、ハーバード・ロースクール修了。

10年・20年先を見据えた
M&Aに期待
世界から注目集める
日本のマーケット

――2022年、M&Aではどのような動きがあると考えていますか。

コロナ前、日本企業が盤石なグローバル企業へ変身するために必要な技術やリソースは何なのかを考え、会社組織が変わるようなインパクトのあるトランスフォメーショナルなM&Aの機運がありました。21年は国内を中心にM&A活動が活発になりましたが、今年以降、コロナ後の世界経済、10年先、20年先を見据えた、トランスフォメーショナルなM&Aに期待しています。昨年秋ニュースが飛び込んできたような東芝と米GE(ゼネラル・エレクトリック)の会社分割や、SPAC(特別買収目的会社)の導入・活用に代表される、新しい形のM&Aという流れが出てくると感じています。日本におけるM&Aという点では、外為法や経済安全保障等の動向に留意は必要ですが、海外のプレーヤーが同じ土俵で参加できる環境が整ってきており、グローバルPEによる積極的な活動をはじめ、日本のマーケットが多角的に世界から注目されていると感じています。

私たちのファームとしても、グローバル戦略の中で、7~8の国や地域に焦点を当て注力しているのですが、その中に日本が含まれています。日本企業の海外展開はもちろん、海外企業の日本進出にもいろいろな可能性があり、引き続き楽しみしかありません。

10年・20年先を見据えたM&Aに期待世界から注目集める日本のマーケット

サービスプロバイダーから
パートナーへ
法律だけでなく
経営のためのソリューションを

――50周年を迎え、ベーカーマッケンジーが今後めざす方向性を聞かせてください。

以前クライアントの多くは、「問題が起きたから弁護士に相談しよう」という姿勢でしたが、今は問題が起こらないように事前に相談する流れになっています。問題が起こると情報はすぐに広まり、企業の評価に大きく影響します。だから私たち法律事務所も、早い段階からクライアントと一緒に検討し、最適な方法を見いだすサポートをしています。ただし重要なのは目的だけではなく、目的までの道のりです。法律事務所はサービスプロバイダーから企業活動の旅を共にするパートナーに変容・進化し、重責を担っていると認識しています。

10年ほど前から日本企業の経営陣の間でも、コンプライアンスや法務知財が、リスク対応という側面から、企業価値を生み出す経営戦略上の不可欠な要素として認識されるようになってきました。私たちが取締役会に呼ばれて議論することも頻繁にあります。弁護士側の考え方も変わってきました。以前は訴訟対応や消費者対応がメインでしたが、今はグローバル展開において競争優位性を維持するための戦略とはといった、経営課題に貢献する役割も担うようになっています。もちろん法律問題が専門であることは変わりませんが、様々なグローバル企業の経営をサポートしているノウハウを生かして、法律という枠を超え、経営のためのソリューションを提供する観点で、私たちも自分たちのサービスを見直していかねばなりません。

ベーカーの評価システムには、仕事のスキルやクライアントへのサービス提供といった業績評価項目だけではなく、どういう人間になってほしいかを伝える項目があります。これは人格の話ではなく、皆が同じような姿勢でクライアントをサポートできるよう、一人ひとりの成長を促すための仕組みです。ベーカーマッケンジーという事務所全体としては、クライアントのビジネスが成功するよう、比類ないグローバルネットワークを生かし価値のあるサービスを提供し続けることが何より重要です。そのためには、さまざまな環境変化に対する私たち自身の柔軟性が必要。変化は怖いものではなく新たな機会と捉え、スタートアップのような気持ちで共に成長する関係を築いていけるよう臨みたいと思っています。

日本でのこれまで50年の歴史を後ろ盾に、これから進化が加速するであろう今後の10年を見据え、共に肩を寄せ合い成長していけるベストパートナーを目指します。ベーカーのフラットかつ多様な企業文化を大切にしつつ、メンバー皆が互いに切磋琢磨することでファーム全体としても成長し続けていきたいですね。

高田さん&ギャビンさん

高田さん&ギャビンさん 他己紹介

「高田さんは、僕の家族とバーベキューをしているときの顔も、仕事をしているときの顔も全然変わらない。フェアで人との関係構築がうまいですね。ファームの仲間も彼の話にはきちんと耳を傾ける。もちろんクライアントからの信頼も厚い。優秀な弁護士であり心強い仲間です」

「ギャビンはオーストラリア人ですが、日本人的な気質もあり、まさに『ザ・ベーカー』という人です。すごく優秀な弁護士であり、どんなに忙しくても家族人間。しかもゴルフ・テニスとスポーツ万能。何でもできて羨ましい」