カルティエ ウーマンズ カンファレンス開催
経済、紛争、貧困、教育、高齢化、地球環境をはじめ、日本、そして世界は今、様々な課題を抱えている。
それらの解決に有効な一手として注目を集めるのが「empowerment」(エンパワメント)、
一人一人が本来持つ力を最大限発揮できるよう「権限委譲」「能力開花」させることだ。
特に日本で大きく遅れている「女性エンパワメント」の重要性と方法論などをテーマとして、
カルティエが開催したカンファレンスをレポートする。
世界経済フォーラムが発表する、各国の男女格差を測る「ジェンダーギャップ指数2021」において、日本の総合指数は0.656、順位は156か国中120位だった。この指数は「経済」「政治」「教育」「健康」の4データから作成され、0が完全不平等、1が完全平等を示す。日本は先進国で最低レベル、アジア諸国の中でも韓国や中国、ASEAN諸国よりも低い。この結果は、日本の大きな遅れを表すとともに、その改善によって様々な可能性が広がり、多くの課題解決に役立つことを意味する。一方、現状の日本社会においては「頭ではわかっているが、組織や制度が追いつかない」「十分努力はしている」という声も多い。
こうした状況に一石を投じるように、日本で開催されたのが「カルティエ ウーマンズ カンファレンス」だ。各界のリーダーたちによって、「芸術・文化」、「社会・政治」、「経済」、「次世代育成」の4分野について、活発なディスカッションが繰り広げられた。
SESSION 3
BUSINESS & INNOVATION
村上由美子氏(MPower Partnersゼネラル・パートナー)
轟麻衣子氏(ポピンズ 代表取締役社長)
小室淑恵氏(ワーク・ライフバランス 代表取締役社長)
LEAD
秋元玲奈氏(フリーアナウンサー)
今回特に注目したのは、「経済」をテーマにした第3セッション。世界の投資市場で活躍する村上由美子氏、働く女性の支援を続ける轟麻衣子氏、日本の働き方改革をリードする小室淑恵氏、フリーアナウンサーの秋元玲奈氏が登壇した。
MPower Partners ゼネラル・パートナー
村上 由美子氏
今回特に注目したのは、「経済」をテーマにした第3セッション。世界の投資市場で活躍する村上由美子氏、働く女性の支援を続ける轟麻衣子氏、日本の働き方改革をリードする小室淑恵氏、フリーアナウンサーの秋元玲奈氏が登壇した。
まず、リードの秋元氏から、近年のダボス国際会議や経済産業省の調査として「ジェンダー多様性は事業の業績に大きく貢献するだけでなく、成長に不可欠なイノベーションを創出する」という結果が紹介され、意見が求められると――。「イノベーションとダイバーシティーには大きな相関性がある。ジェンダーだけでなく、異なる考えに対して“面白い”“聞いてみよう”と耳を傾けるのがイノベーションのセオリー。その先にGDP向上も期待できる」(村上氏)。
一方、日本の現状に対しては、「女性就業率は70%超えだが、非正規雇用が多い。育児や介護が難しい状況も“仕方ない”とあきらめている。意識改革=“自分のいる世界から飛び出す練習”がもっと必要」(轟氏)。「男性管理職は“そうだね”と話を聞いてくれるようになったが、最も変化していないのは政治の世界。意思決定ゾーンに長時間労働を当たり前と考えてきた世代しかいないことが問題」(小室氏)との声も。
ポピンズ 代表取締役社長
轟 麻衣子氏
女性に対する男性の理解やサポート「He For She」だけでなく、女性から女性に対するサポートや協力体制の強化を促す「She For She」の不足が、課題として挙げられると――。「産休・育休、保育園などの制度は、日本のほうが欧米より進んでいるケースもあるが、ロールモデルは少ない。全く同じにできなくても“この人のここを見習おう”という複合モデルがさらに多く必要」(村上氏)。「自然分娩、母乳育児など、日本は“神話”が多い。様々な選択肢のある、ウェルビーイングな社会が求められる」(轟氏)。「女性上司などからよく聞かれる“自分はこんなに頑張ったのに”という声は間違っていないが、社会はどんどん変わっている。皆で新しい社会に飛び移る必要がある」(小室氏)との意見が続き、会場を埋めた満員の聴衆からは、共感する声や拍手が起こった。
ワーク・ライフバランス 代表取締役社長
小室 淑恵氏
世界的なESG、SDGs市場の拡大における、エンパワメントの可能性について話が及ぶと――。「ESGやSDGsは世界的に有望。市場は変化を求めているが、日本はここ20~30年間は新しいことができず、経済活動につながっていない。まだまだ伸びしろがあるのに、もったいない。日本人は同一性を尊重してきたが、これからは異なる発想や考えを持つ人材、起業家が日本を変える」(村上氏)。「当社は“働く女性の支援”を通じて、日本初のSDGs-IPOとして東証一部に上場した。上場や企業価値は資金調達だけではなく、ソーシャルビジネスでも評価される時代。ロールモデルとなる会社がもっと社会に増えてほしい」(轟氏)など、活発な意見が交わされた。
LEAD
フリーアナウンサー
秋元 玲奈氏
最後に、ジェンダーギャップを乗り越えるための心構えについて聞かれると――。「夢を描くのは自由。野球に例えれば、まずはボックスに立つことが重要。3、4回失敗すればボールに当たるようになる」(村上氏)。
個人も企業も社会も、今すぐ一歩踏み出してみる。その先には、全てが自由に交差する真のダイバーシティーが実現するはず。それこそが、社会や経済の閉塞感を打ち破り、可能性を広げるのではないだろうか。
河瀨直美氏(映画作家)
永山祐子氏(建築家)
LEAD
スプツニ子!氏(アーティスト/東京藝術大学デザイン科准教授)
田淵良敬氏(Zebras and Company共同創業者/代表取締役)
能條桃子氏(NO YOUTH NO JAPAN代表理事)
LEAD
浜田敬子氏(ジャーナリスト)
村上由美子氏(MPower Partnersゼネラル・パートナー)
轟麻衣子氏(ポピンズ 代表取締役社長)
小室淑恵氏(ワーク・ライフバランス 代表取締役社長)
LEAD
秋元玲奈氏(フリーアナウンサー)
ウスビ・サコ氏(京都精華大学 前学長/全学研究機構長)
キャシー松井氏(MPower Partnersゼネラル・パートナー)
森理世氏(ミスユニバース2007/5 Crowns Japan会長)
LEAD
羽生祥子氏(日経BP編集委員/日経xwoman創刊編集長)
4月19 日に開催された「CARTIER WOMEN'S CONFERENCE」のダイジェスト映像(1分19秒)。
各界の第一線で活躍する登壇者たちが集まり、さまざまなアプローチで日本のジェンダー平等のための議論が行われた。
「JOIN US TO CROSS ALL BORDERS」というキーメッセージのもと、上記の4つのセッションが設けられた。
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