Workstyle 日本発の創造的ワークスタイルが世界をリードするWorkstyle 日本発の創造的ワークスタイルが世界をリードする

ワークスタイルを改革するためには会社だけでなく、家族を含めた周囲の協力が不可欠だ。制度だけが先行するのではなく、企業文化が制度をサポートし、協力企業や家族もそれを尊重する。何よりそうした環境を手に入れるためには、これまでのワークスタイルと同等の質を確保するインフラの整備が欠かせない。企業文化、制度、インフラ整備の3要素が化学変化を起こしたとき、「お互いの違いを認め合うだけでなく、積極的に受容していく」というインクルージョンの世界観が実現する。シスコでインクルージョン的ワークスタイル改革を実現している4人を動画とリポートで紹介する。

田村亜弓氏大野秀記氏内山誠彦氏ガドギル・ニランジャン氏
田村亜弓氏、大野秀記氏、内山誠彦氏、ガドギル・ニランジャン氏
田村亜弓氏
田村亜弓氏

出産ぎりぎりまで仕事ができて職場復帰もしやすい

 田村氏がインタビューに応じてくれたのは、出産予定日のわずか2日前。ウェブ会議を使っての対面だった。

 田村氏は入社9年目。営業職を経て、2年前からパートナー企業である通信事業者と共同でマーケティング施策の推進に当たってきた。産休を取得するのは今回が2回目となる。第一子は間もなく3歳になる。

「会社には子供を育てながら仕事をしている社員も多く、社外のパートナー企業の皆さんもそれを受け入れてくれています。こうやってぎりぎりまで仕事ができるのは、どこでも仕事ができるインフラと職場の文化とお客様の理解のおかげです」と田村氏は語る。今回も臨月までこれまで通り仕事をすることができた。

 ただ、会社がすべてを用意してくれるわけではない。田村氏は「自分でそうした環境をつくっていくことが大事」だと話す。産休を取得して職場に復帰した先輩に話を聞き、自分なりのワークスタイルを確立した。出産を控えたこの1カ月は、自宅でウェブ会議や資料の作成に臨みながら仕事をして出社時間をずらし、早めに帰宅して保育園に迎えにいくという日々を過ごした。

「いつでも会社と連絡が取れる環境があるということは、つながっているという安心感があります。産休中は疎外感を持ってしまいがちですが、つながっていると思えば精神的に楽ですね。また自宅から打ち合わせにも参加できるので、本格的に職場に復帰するための準備も自宅で進められます」と田村氏。

 今回の産休の予定期間は半年から1年。保育園の事情もあるが、遅くとも来年4月には職場に復帰する予定だという。

大野秀記氏
大野秀記氏

自由なワークスタイルは人間力を向上させる

 大野氏は35歳。3歳の男児の父親である。家事と育児は夫人と半々で担当している。「1年間の育児休暇中は家事と育児は妻がメインでしたが、妻が職場に復帰してからは、完全にフィフティー・フィフティーです」という。夫人も同じ会社で働き、仕事に全力投球している。お互いが同じ立場で育児の負担を分け合っているのだ。

「まず1カ月先までの“担当日”を振り分けます。私は営業職なので、お客様の都合に合わせて私の予定が先に決まることが多いのですが、基本は同じ日数を担当します」と大野氏。担当した日は、7時に起きて8時半に子供を保育園に送り、打ち合わせがあればそのまま直行する。

「外での仕事がなければ在宅ワークになります。家事もその間に片付けて、午後、必要があれば外出します。18時半には保育園に子供を迎えに行き、ご飯を食べさせてお風呂に入れ、21時頃に寝かせつけます。その後また、24時くらいまで仕事をするといったイメージです」(大野氏)

 こうした生活が週2、3日はある。そのうち1日はフル在宅ワークになる。「フル在宅ワークを除く4日間は、7割が取引先、3割が自宅という感じです。気分転換にカフェで仕事をすることも多いですね。人混みの中の方がかえって集中できるんです」と大野氏は語る。
 入社8年目となる大野氏の仕事は電話会議やビデオ会議などコラボレーション製品の営業支援。こうしたワークスタイルを取り入れてからも業績は変わっていない。成績は常に上位で、優秀セールスマンとしての表彰も受けている。

 「限られた時間で成果を上げるタイムマネジメント力がつきましたね。妻との信頼関係もできて、お互いの自由を許容できています」と大野氏。
在宅ワークで人間力そのものも向上したようだ。

内山誠彦氏
内山誠彦氏

趣味との両立でリフレッシュして仕事に臨む

 39歳になる内山氏の趣味はコーラス。東京交響楽団専属のアマチュア合唱団に所属しているのだから、半端な趣味ではない。高校生から合唱部に入り、大学でも合唱サークルでコーラスに打ち込んできた。内山氏は「私にとってコーラスは生活の中で欠かせないものになっています。ただ、社会人になってからは思うように練習に参加できなくなっていたんです」という。

 練習は通常、土日に週一回程度のペースだが、演奏会が近づくと平日の夜にも実施する。演奏会では高いレベルが求められるため、練習に参加してレベルアップする必要がある。

「平日の練習は夜19時からですが、会社を休んで参加する人もいます。以前の職場ではなかなか参加できなくて“不良団員”になっていました」と内山氏。しかし、シスコシステムズに入社してからは、ウェブ会議やモバイルワークによって時間をつくり、練習会にも参加できるようになった。

 入社2年目となる内山氏の仕事は、インターネット関連のソリューションの立ち上げからパートナー開拓、営業トレーニングなど多岐にわたる。「今日中に終わらせなければならない仕事があっても、練習が終わった後でカフェで対応したりします。他のメンバーとの打ち合わせもウェブ会議で実施することができます」(内山氏)

 今では内山氏自身がこうした働き方を推進する社内のボランティアグループ「Flexible Workstyle Practices」のリーダーも務めている。「練習で無心になって声を出すことは、リフレッシュにもなります。気分もすっきりして、仕事のパフォーマンスも上がる気がします」(内山氏)
仕事に趣味に充実した日々を過ごしているようだ。

ガドギル・ニランジャン氏
ガドギル・ニランジャン氏

自由な環境だから夫婦が助け合って生活できる

 奨学生として来日してから20年以上日本で仕事をしてきたニランジャン氏は、IT企業での勤務を経て、2010年10月からシスコシステムズで働いている。仕事は企業向けのサービス営業。主に外資系金融機関を担当する。

 ニランジャン氏には98年に結婚したインド人の夫人との間に二人の子供がいる。「インドにいる時と違って、家族や親戚のサポートが全くないために子育ては妻に頼ってきました」とニランジャン氏。しかし、インド学校で日本語教師として働く夫人の仕事が忙しくなってきたことで、ライフスタイルに変化が訪れた。

「妻はもともとフルタイムで働いていなかったので比較的時間に余裕がありました。でも、インド学校の生徒の数が増えてきて、時間のアレンジが難しくなってきたんです」(ニランジャン氏)
生徒数は9年前の設立時の50名から600名へと増加し、それとともに夫人の仕事も忙しさを増してきた。

 そこでニランジャン氏の生活を支えたのが、シスコのワークスタイル環境だ。「どこでも仕事ができるツールがあり、働き方が選択できるので、出先からカフェでウェブ会議をしたり、在宅ワークで時間を自由に使うことができます」とニランジャン氏。子供が病気になったり、夫人のシフトが動かせないときに、ニランジャン氏がフォローに回ることができる。

 ニランジャン氏の仕事内容も働き方を選択するうえではプラスに働く。「海外のお客様が多く、一緒に仕事をしているチームも海外にいるので、電話会議やウェブ会議は当たり前。時差もあるので、自宅から参加することも珍しくありません」とニランジャン氏。
日本人でも親族から離れて夫婦で働いているケースは多い。今後こうしたワークスタイルが広がって行くはずだ。