高級時計の高級たる理由は、丁寧な手仕事にある。「ザ・シチズン」に搭載するムーブメントは、優れた性能を発揮させるために、組み立てはマイスターと呼ばれる熟練の専任時計技術者が担当している。さらに針が完璧にインデックスの上に乗るように、慎重に針を取り付ける。こういったさりげない細部に、時計の品質が現れるのだ。

針やインデックスのキレのあるカット面も、職人の手仕事から生まれているが、何よりもこだわりが深いのが、ケースの鏡面磨きだ。まずはザラツ研磨と呼ばれる特殊な機械で、丁寧な下地を作り、そこからバフ掛けをして歪みのない鏡面を作っていく。ステンレススティール素材はもちろん、加工が難しいチタン素材でも美しい鏡面仕上げが実現するのは、熟練職人のおかげなのだ。

何かが突出しているわけではないが、心に染み入るのは、こういった丁寧な手仕事があるから。「ザ・シチズン」は控えめだが、その実とても深いブランドなのだ。