リモート時代が選んだ、移住先No.1静岡の理由

首都圏からの移住先希望を毎年調査している「認定NPO法人ふるさと回帰支援センター」の2020年移住希望地ランキングで、静岡県が初の1位※に輝きました。移住、テレワーク、Uターン・Iターンなど、「静岡に住むこと」を選択するカタチはひと様々。
リモート時代になぜ静岡が選ばれ、愛されるのか? その理由を、静岡にゆかりのある各界の皆様にお聞きしました。

※NPO法人ふるさと回帰センター調べ

2020年 ふるさと回帰支援センター窓口相談者が選んだ移住希望地 年代別ランキング

2020年 ふるさと回帰支援センター窓口相談者が選んだ移住希望地 年代別ランキング

vol.1

移住先No.1静岡の魅力とそのわけ

小和田哲男さん

徳川みらい学会会長も務める権威が語る、
歴史が息づく静岡市の魅力と楽しみ方。

小和田哲男さん

1944年静岡市生まれ。静岡大学名誉教授。専門は戦国時代史。大河ドラマをはじめ、テレビ番組などでの時代考証や解説も数多く手掛ける。城めぐりと日本酒が好き。

歴史をひもとく面白さあり。
駿府城下町の面影を感じさせる静岡市。

駿府城を中心に、今川氏が230年間治め、つくり上げた、そして家康がそれを受け継いだ駿府、今の静岡市。城下町らしさが残りますが、その1つが町名です。大工町、紺屋町、呉服町、両替町......と職業や商売を表す町名がついていますが、これは、すぐに集まれて効率が良いと集団で職人街、商人街をつくっていた近世城下町の特徴です。今でも残っていることが、静岡市は素晴らしいと思います。ほかのところだと、新しい町名に変えてしまっていることも多いですから。金沢は、一時期新しい名前をつけていたんだけれど、今、古い名前を残そうともう一度昔の町名に戻そうとしています。変わらず残っているということはとても貴重です。

駿府城公園

駿府城公園

そして町名が残っていることで、大工町には大工が住んでいたんだ、呉服町には呉服屋さんが多かったんだろうなと想像し、歴史をたどるきっかけになると思います。家康がつくった駿府96カ町を訪ね歩いている人がいますよ。伝馬町小学校はまさに昔の町名がそのまま学校名についているわけですから、子どもたちにとっても歴史が身近に感じられますよね。
鷹匠は、昔は鷹匠町と言いましたが、その名の通り、鷹を育て、訓練する鷹匠たちが住んでいました。家康の一番の趣味である鷹狩を支える重要な存在が住んでいた町ということになります。

徳川家康がほれ込んだ、
現代にもつながる駿府の魅力。

また、家康がこの駿府を隠居の地に選んだのには5つの理由があり、それは今の静岡市にも通ずることが多いです。
1つは、今川氏の人質として幼少時代を過ごした思い出の地だから。竹千代少年は雪斎から教育を受けるなどして過ごし、人質と言えど悪い思い出はあまりなかったんです。
2つ目、冬が暖かいこと。老を養うに良しと考えていました。今も他県の人からよく言われますが、雪の降らない静岡の冬は本当に過ごしやすいですよね。
3つ目は、ちょっと不思議なんだけど、米がおいしいという記述があるんです。現代では、米と言えば新潟や秋田のイメージですが、当時の駿府の米はおいしかったみたいです。

駿府城公園

駿府城公園

4つ目は富士山がある環境。家康は富士山が大好きですから。また、大御所として駿府に入ってきた頃、大坂の豊臣との一戦を想定していたのですが、もし大坂が攻めてきた時には大井川・安倍川があることでこの駿府で守れると考えていたんです。
5つ目は、大名たちが将軍に挨拶に行くうえで、西の大名たちがこの駿府なら遠回りせずに済むと考えたようです。アクセスの良さは私も実感するところです。仕事で東京にも、名古屋や大阪にも行きます。もし東京に住んでいたら西に行くには遠いですが、静岡市に住んでいると、どちらにも同じくらいの時間で行けます。
家康は大好きな鷹狩に出掛けやすかったことも良かったのだと思います。富士山が見えて、鷹狩にもすぐ行けて、食べ物もおいしくて、冬暖かくて、自由に住む場所を選ぶとなったらここしかなかったんでしょう。

歴女や城マニアに知ってほしい。
素晴らしい城跡や史跡を誇る静岡。

歴史好きにはたまらない街だと思います。家康は、自分の健康をすごく考えていたのですが、薬草園を持っていて、薬を育て自分で調合までしていました。静岡高校前の長谷通りに跡地の標識があります。久能山東照宮の博物館には、薬研やガラス瓶など調合の道具が重要文化財として保存されています。瓶の中には家康が調合したとされる薬も残っているんですよ。

駿府城を案内している小和田さん

駿府城を案内している小和田さん

ほかにも年に2回だけ入れる臨済寺をはじめ、家康ゆかりのお寺や史跡などがいっぱいあります。そして、全国的に見ても良い城跡がある。市内だと、丸子城が良いですね。もともと今川氏のお城ですが、武田氏が手を入れた城。土塁などがそのまま残っています。県外の人から行きたいと言われて案内することがよくありますよ。市外では旧金谷町の諏訪原城、三島の山中城、沼津の興国寺城など。静岡市からも気軽に行けます。お城歩きは、体力づくりと歴史の知識を深めることが同時にできておすすめです。博物館だとガラスケース越しに見るしかないけれど、史跡では、「昔の武将もこの道を歩いたんだ」「この石垣を家康もさわったかも」と思いをはせながら、歴史を体感できます。年配の方なら、静岡市に住んで史跡巡りに余生を使う過ごし方は良いのではないでしょうか。
また最近は、「歴女」という歴史好きの若い女性たちが増え、若い人たちの歴史、史跡人気が高まっています。わかりやすい解説を用意するなど工夫次第で若い人にもっと静岡市に興味を持ってもらえるはずです。あとは、今ちょうど、青葉小学校の跡地に歴史文化施設をつくっている最中で、2023年に完成予定です。その年のNHK大河ドラマ「どうする家康」の放送に合わせて一緒に盛り上げたいですね。

公言するほどの日本酒好きとして
おすすめしたい静岡の地酒。

静岡県の地酒はだいたい飲んでいます。静岡市の酒蔵だと由比の正雪、臥龍梅が好き。市外だと、掛川の葵天下が、まさに家康という名前で気に入っています。価格が手ごろだから熱かんにもオススメ。最近飲んでおいしいと思ったのは、沼津の白隠正宗ですね。

小和田哲男さん
PREMIST 鷹匠
榎戸教子さん

国内外、様々な場所を見てきたアナウンサーが伝えたい。
静岡市の魅力と、PRに必要なこと。

榎戸教子さん

全国で活躍するアナウンサー。静岡市出身、清水東高校・常葉大学卒。東京在住。一児の母でもある。

国内・海外の様々な場所に滞在。
各地を知ってなおひかれる静岡の魅力。

留学したスペイン北西部の町、サラマンカ。1カ月バックパックで放浪したインド。兄の住んでいたタイには何度行ったことか......これまで訪ねた国は35カ国ほどになりました。アナウンサーになってから、さくらんぼテレビ時代は山形、テレビ大阪時代の大阪。劇団でお芝居の稽古生活をしていた東京。その時々で、その場所が最高だと思って過ごしてきましたが、私にとって静岡は特別な存在です。原点であり、メンテナスやエネルギーチャージに戻る"港"のような帰る場所。東京を拠点にこれからも仕事をしていくつもりですが、静岡は気軽に帰れて精神的にも"近い"ところ、そして最終的に落ち着きたい場所でもあります。私は富士山が大好きなので、いつか「富士山の見えるところに住む」ことは譲れない夢です。

日本平からの富士山

日本平からの富士山

県内、特に静岡市内のあちこちから富士山が見えることはたまらない魅力です。パワーをもらえると同時に落ち着く、よりどころのような存在です。富士山を見ると、静岡に帰ってきたなと感じます。あの美しさは世界共通のものですよね。日本平からの富士山は最高です。清水の街と港、そして富士山……私にとって日本一の景色です。

自分と向き合う時間をつくる「自分らしく働く、自分らしく生きる」

40才を超えてから、自分らしく生きるために、どう心地良く毎日を過ごすかを考えるようになりました。仕事もプライベートも好きなことに時間を使いたい! あれもこれもと欲張りな性格なのですが、自分らしく過ごすためには、大切なことを見極めることが必要だと、最近ようやくわかってきました。そして最近はプロに頼ることも覚えました。住環境についてインテリアコーディネーターや整理収納アドバイザーに頼ったおかげで、リビングは子供の遊び場が広がっただけでなく、自宅で仕事をする環境が随分と改善しました。無駄な動きが少なくなりました。自分のこだわりたいところに時間をかけられるようになったからこそ新しいチャレンジも。

ラジオNIKKEI「ソウミラ」月曜20時20分放送

ラジオNIKKEI「ソウミラ」月曜20時20分放送

2021年6月にスタートしたラジオNIKKEI「ソウミラ」は私にとって人生初のラジオのレギュラー番組です。その他、アナウンサーの仲間たちとオンラインでつながり、就職活動をしている方を応援する無料のセミナーを企画・開催したり、ナレーションの練習会を開くなど、能動的な活動も増えています。
ただただのんびりする時間も大切にしています。静岡に帰った時は、県立大学や県立美術館周辺の緑の中で深呼吸。海を眺めながら久能街道沿いを車で走れば気分爽快。人気のオクシズは緑が濃く、温泉もあって心身ともにリフレッシュできます。車があれば海にも山にも静岡市街地から30分程で行けますので、思い立ったその日に出掛けられる日常の選択肢が豊富なことはありがたいですね。

新幹線通勤する人も多数。
関東・関西へのアクセス良好な静岡市。

同級生や私の兄など、静岡へUターンする人が私の周りに多く、その理由に「自然豊かなところで暮らしたい」「新幹線で東京~静岡はあっという間」と話しています。私も約10年間、常葉大学の非常勤講師をしていたため、毎週のように静岡へ帰っていたことがありました。現在は平日夜の報道番組を担当しているため難しいですが、終電の制約がなければ静岡に住んで通勤したいくらいです。

三保の松原で迎える初日の出は毎年の恒例行事

三保の松原で迎える初日の出は毎年の恒例行事

静岡全市民、観光大使化!
一人ひとりの「静岡のここが好き」をクローズアップ。

静岡市を本気でPRするには、住んでいる全員が観光大使という感覚が必要なのではないでしょうか。「私がどう思うか」という個人の感覚が求められる時代。自分が見つけた絶景スポットや自分が落ち着ける場所など、自分の生活圏内の濃い情報を発信できることが大切だと思います。超ローカルな「好き」こそ、市外、県外の人にとっては貴重な情報であり、行動するきっかけになります。

静岡浅間神社から賎機山(しずはたやま)をトレッキング

静岡浅間神社から賎機山(しずはたやま)をトレッキング

かくいう私も、若い頃は「静岡から出たい」という気持ちが強く、静岡が良いところだと気が付くことができませんでした。海外や東京と比べて"ないもの"を数えていて、劣等感があったのだと思います。でも今は、"あるもの"を数えることの大切さに気が付きました。富士山、海、気候、人。全てが素晴らしくて、こんなに恵まれた場所はほかにないと思いますから。静岡の人は奥ゆかしいので、自分から発信するのはハードルが高いかもしれませんが、もし人から尋ねられた時に自分の大好きな場所をおすすめしてみてはいかがでしょうか。

PREMIST 鷹匠
桜田和之さん

時代の流れを作ってきた敏腕テレビマンが提案。
"のんびり屋"静岡が他県に差をつける方法。

桜田和之さん

元日本テレビの敏腕プロデューサーで、名だたる人気番組を世に送り出した。2014年から静岡第一テレビ副社長として来静。現在は代表取締役会長。

初めて訪れてカルチャーショック。
街中で感じた、のんびり穏やかな県民性。

遡ること7年前に静岡第一テレビに副社長として着任、社長を経て現在は会長を務めています。それまでは日本テレビに在籍、長らくプロデューサーとして番組作りをしていました。
静岡は東京から近くて気候温暖、しかも食べ物がおいしくゴルフ場も近くにたくさん、日本テレビから着任する先としては札幌、福岡と並んで人気があります。ただ、私にとってそれまで特に接点もなく静岡駅に降りたことすらありませんでした。
最初の頃、印象に残っているのは、信号が青になっても車がすぐに動かない時に後続の車がまずクラクションを鳴らさないこと。前の車が動き出すのを黙ってじっと待っています。下手したら黄色から赤になりそうな時すらあります。

桜田和之さん

桜田和之さん

しびれを切らして私が鳴らすと、周りの歩行者や自転車の人に驚いた顔をされてジロジロ見られたりしたものです。目の前を急に自転車などが横切った時も同じです。
「クラクションの音を聞かない街」と気付いたのはだいぶ後の事。
たまに聞くとしたら、かなり危ない時の私のクラクションの音。しかも限りなく優しく(笑)
それから、街中(まちなか)の通りを歩くとしばしば渋滞ができちゃう。横に広がっているのに皆さん歩くスピードがゆっくりで、後ろの人も追い越そうとしないから。東京なら、「すみません」と言って、間を縫って抜かして行きますよね。もはや大名行列。とはいえ今や私も、東京の人と歩くと「桜田さん、早く来てください!」と言われますのでいつの間にか歩くのが遅くなったみたいです......。
そういう「争い事が嫌いでのんびり穏やか」、この辺りが静岡の県民性のひとつかもしれません。

そうそう、街中の話をしましたが、街中を歩くと老若男女を問わず実にオシャレな方が多い。様々な面で感度の高い方が多いと思います。
環境的にも大手の百貨店やファッションビル、センスの良いセレクトショップ、さらに飲食のナショナルチェーンなどはほとんどあります。
ちなみに「静岡の代官山」とも呼ばれている「鷹匠」地域。代官山? 最初ウソでしょ、と思いましたが(笑)
実際レベルの高いフレンチやイタリアンなどが多数軒を並べています。東京や大阪辺りで修業をし、故郷でお店を開いている方も多いですね。海や山の幸など食材も日本有数、私の感覚ではミシュランで星を獲得できる様なお店も何軒かありますよ。
県内では他の業種でも全国トップレベルのお店や企業が実は山ほどあります。
ただ特徴的なのは「私たちはこれが身の丈なんです」と言う方が多いこと。ちょっともったいないと思いますが、自分たちのキャパシティー超えてしまって品質が落ちることを心配し無理や冒険はしない。
穏やかで、身の丈で、お互いを傷つけることなく過ごす。そういう県民性が、今や私はとっても心地良く感じています。

鷹匠の街並み

鷹匠の街並み

テレビ局での桜田さん

テレビ局での桜田さん

穏やかさにも理由あり。
数字で見る、静岡県民の裏の顔、心の内。

静岡へ来るにあたって、様々な数字を調べてみました。1人当たりの県民平均所得に関する統計を見ると毎年ほとんどが全国でも5位以内。寒暖差が少ないうえ日照時間も長く、年間平均気温は鹿児島県などとほぼ同じ。健康長寿のランキングでも大体がベスト5に入っている。恵まれた気候風土の中、余計な争い事をしない穏やかな県民性はその辺りからも育まれて来ているのかもしれませんね。

新静岡駅前の街並み

新静岡駅前の街並み

テレビ屋の視点として視聴率から県民性を見てみましょう。主要な県における月間のテレビをつけている世帯数ランキングで、静岡県は2020年6月ではどの時間帯でも1位か2位。全日(6:00~24:00)は1位、ゴールデンタイム(19:00~22:00)は2位、プライムタイム(19:00~23:00)は1位。テレビをつけている世帯が減っていると言われている時代ですが、静岡はほかの県に比べて減少率が圧倒的に低いです。週や月によっては逆に増えている場合もあります。また見ている番組からも県民性がうかがえます。全国的に人気がある番組はこぞって見ていて、圧倒的に好奇心が強い、新し物好きと言えます。そしてスポーツもの、特にサッカーをよく見ています。静岡の人にとって、勉強ができる人よりサッカーができる人の方が尊敬される感覚は思い当たるのではないでしょうか。あと、警察密着ものや衝撃映像ものも他の地域に比べると断トツに高い視聴率を取ります。普段の日常にはないハラハラドキドキするものを見ることを心の内で求めているのかもしれませんね。刺激は娯楽の中に求め、実際はのどかに生きているという感じでしょうか。

キーワードは"Slow&Mild"ガツガツしたくない、
自分をじっくり見つめたい人に打ってつけの静岡市。

そこで静岡の魅力を発信する為のキーワードはズバリ"Slow&Mild"静岡でのんびり、やさしく生きようということ。「人生、もう1回振り返りませんか?」「無理しなくても心地良く生きられます。仲間に入りませんか」というやさしく穏やかなメッセージ。ターゲットを絞ってきちんと発信できれば注目する人たちは自然と増えるでしょう。

富士山を背に写る桜田さん

富士山を背に写る桜田さん

ただキャンペーン自体はノンビリしてる場合じゃないのでコンセプトとは裏腹にプロの手を借りガツガツしたたかに、です。一般の方々に「Slow&Mild」というコンセプトが伝わらなければ全く意味がありませんから(笑)ちなみに弊社の来年の新入社員は、全員静岡県出身で東京をはじめ県外の大学を卒業するUターン学生です。県外に出てやっぱり静岡がいいと思った若者たちです。
特に静岡市は東京からも近く、車で30分も行けば海や川で魚釣りができる、山の中で深呼吸ができる。温泉もある。数え上げたらキリがありません。都会の魅力と田舎の魅力が絶妙なバランスの静岡市。
こんな良いところだと、みんな知らないだけなんですよ。

PREMIST 鷹匠