提供:東光高岳

株式会社東光高岳

総合エネルギー事業プロバイダー
として
急速充電器を核に、
EV社会を支える

新野昭夫 石村将章

(左)新野昭夫 東光高岳 執行役員GXソリューション事業本部長
(右)石村将章 東光高岳GXソリューション事業本部EVインフラ推進室長
*同時に2台のEV充電ができる東光高岳の大容量・マルチ出力急速充電器(コーナン厚木下萩野店の駐車場で)

高岳製作所(創業1918年)と東光電気(同1928年)が経営統合し誕生した東光高岳は今春、完全統合から10周年を迎える。両社が培ってきた技術力を生かし、EV(電気自動車)用急速充電器の分野では今、国内累計販売台数トップ*を誇るなど総合エネルギー事業プロバイダーとしての存在感を発揮する。EV社会を支えるインフラ事業のこれまでの取り組みや今後のビジョンを、東光高岳の新野昭夫 執行役員GXソリューション事業本部長と石村将章 GXソリューション事業本部EVインフラ推進室長に聞いた。

*2023年3月末時点。東光高岳調べ

「高岳」と「東光」の技術を生かし
約20年前から急速充電器に取り組む

高岳製作所が得意としてきたのは、変電所の集中制御など高い電圧の分野。一方、東光電気は監視制御機器やエネルギーマネジメントなど低い電圧の分野。経営統合で高圧から低圧まで電力ネットワーク全体を総合的に構築・運用できる体制が整った。

EV用急速充電器の分野に取り組み始めたのは、今から20年ほど前にさかのぼる。「EV社会の到来をにらみ急速充電器を作りたいという主要株主、東京電力からの打診と、高岳がその開発の基礎となる交流電力と直流電力とを相互に変換するインバーター技術を持っていたことが根っこにある」。端緒について明かすのは、東光高岳の石村将章GXソリューション事業本部EVインフラ推進室長だ。

設置数が多い容量帯の50kW/30kWの急速充電器。
設置数が多い容量帯の50kW/30kWの急速充電器。
カーディーラーや高速道路のSA・PA、公共施設、道の駅などさまざまな場所に設置

東光高岳の急速充電器は2024年3月現在で国内累計販売台数が約5000台となり、国内メーカートップの座にある。製品の納入先は主に各自治体や公営バスの事業者、国内のEV車ディーラーやコンビニなどで、高速道路のサービスエリア・パーキングエリア(SA・PA)や道の駅の駐車場の急速充電器は多くが同社製という。

充電の速さがカギを握る
高速道路のSA・PA、道の駅での
「経路充電」

EV用の充電器には時間をかけて行う普通充電と短時間で済む急速充電の2種類のタイプがある。東光高岳は急速充電器に特化している。EVユーザーの充電シーンを大別すると3つ。自宅での「基礎充電」と、ショッピングモールやホテルなど滞在先での「目的地充電」、それに高速道路のサービスエリアなどでの「経路充電」だ。

比較的時間をかけられる基礎充電や目的地充電と異なり、経路充電はなるべく時間を短縮したいというニーズが高い。だから「充電の速さ」がカギになる。急速充電器に東光高岳が特化するのは、そこに自社の技術を生かせることと、EV社会実現に向けてインフラの面的整備を図る国の方針にも沿うからにほかならない。

石村将章 GXソリューション事業本部EVインフラ推進室長
石村将章
GXソリューション事業本部EVインフラ推進室長

同社の強みはズバリ信頼性だ。日本のEV黎明(れいめい)期から伴走し、豊富な知見と開発ノウハウを蓄積している。「納入先からは『壊れず、安心して使える』といった声が寄せられています。公共インフラで一番大事な安定性には絶対的な自信を持っています」と石村氏は胸を張る。その自信は数多くの試行錯誤を重ねてきた同社の歴史にしっかりと裏付けられている。

石村将章 GXソリューション事業本部EVインフラ推進室長
石村将章
GXソリューション事業本部EVインフラ推進室長

同時にEV2台充電できる大容量器
中容量の薄型壁掛けタイプも

国は今後のEV普及とともに急速充電器の設置台数を2030年に現在の約3倍近い3万口に増やす方針を掲げる。そこで同社が今、注力する製品の一つが大容量(120kW)・マルチ出力で同時にEV2台に充電できる急速充電器だ。2台同時に充電できれば、経路充電などでの「充電待ち」解消にも役立つ。もう一つが中容量(15kW)でコンパクトな薄型壁掛けタイプの急速充電器。こちらは、もっぱら企業側のニーズを踏まえ開発された製品だ。

EVを社有車などで保有する企業は増えている。だが都市部ではオフィスの駐車場に急速充電器を設置したくても、出力30kWや50kWなどの場合、そのための電源確保がままならなかったり、手狭で設置スペースが確保できなかったりすることも多い。15kW程度なら電源確保に支障はない。薄型壁掛けタイプの充電器は厚さ200ミリと極薄で、設置工事の際、駐車場の輪止めの移動なども必要なく、施工性に優れる。1日で設置は完了するので、コストダウンも図れる。

薄型壁掛けタイプの充電器は施工性に優れ、1日で設置完了。コストダウンも図れる
薄型壁掛けタイプの充電器は施工性に優れ、1日で設置完了。コストダウンも図れる

後付けでの設置も楽になり、従来には無い画期的な製品といった点も評価され、薄型壁掛けタイプの急速充電器は一般財団法人新エネルギー財団の23年度(令和5年度)新エネ大賞の「新エネルギー財団会長賞」や、第71回電設工業展製品コンクールで「日本電設工業協会奨励賞」などに輝いている。この充電器の場合、軽のEVなら1時間程度で満充電になる。昨今の軽のEV普及とともに、関心の高さはうなぎ登り。国の補助金を使えば製品の半分、工事費の半分以上がまかなえる*。検討してみる余地は十分あるだろう。

*2023年の補助金利用の一例

保守・メンテナンスでも信頼性が強み
万全のサポートサービス整える

東光高岳の強みである「信頼性」は、製品技術だけに限らない。保守・メンテナンスに関しても同様の強みを持つ。急速充電器にまつわるちょっとした困りごとに電話で応じるサポートから、もしもの時はすぐに駆けつけるフルサポートまで、顧客ニーズに応じて4種類の保守プラン(有料)を完全子会社のミントウェーブが提供。24時間365日年中無休で自前のコールセンターで対応、全国にメンテナンス網を配備する体制も整えている。万全のサポートサービスを可能にしているのも電力インフラ由来の企業だからである。

「今後、EVやEV用急速充電器などが普及すると、電力系統への影響が無視できなくなってくる。太陽光など再生可能エネルギーも積極的に取り入れながら、系統を制御し安定化させる実証はこれまでも重ねてきた」と東光高岳の新野昭夫GXソリューション事業本部長。急速充電器もEVのバッテリーも太陽光・風力も系統とのつながりという点ではすべて一致する。それらをうまく安定・制御させるためのGXソリューション事業本部のさまざまな取り組みは「すべて脱炭素社会や地球温暖化対策への貢献を目指したもの」と力説する。

サポートの流れ

「Charging on your side」の精神で
EVシフト進め脱炭素社会に貢献

EVインフラ事業で東光高岳は2021年から「Charging on your side(チャージング・オン・ユア・サイド)」という事業理念を掲げている。快適なEV充電をいつでも、どこでも提供し、常にあなたに寄り添いながら、脱炭素社会の実現や地球温暖化対策にも貢献しようという決意を込めた、社内外に向けたメッセージだ。

新野昭夫 執行役員GXソリューション事業本部長
新野昭夫
執行役員GXソリューション事業本部長

来たるべきEV社会に向けて、同社はさらなる大容量の急速充電器など製品ラインアップの拡充を図ることにしている。同時に「製品とクラウド環境を組み合わせたデータサービスなど付加価値の高い提案をし、モノ(製品)だけでなくコト(サービスやソリューション)も含め多様な取り組みを実施していくことが今後のテーマと考えている」(新野氏)と意気込みを見せる。

新野昭夫 執行役員GXソリューション事業本部長
新野昭夫
執行役員GXソリューション事業本部長

脱炭素社会を実現するためには、CO2(二酸化炭素)を排出するガソリン車をいつまでも使い続けるわけにはいかない。そんな機運がバスやタクシーなど運送業界を中心に高まっている。EVシフトが進めば、顧客ニーズも多様化し、インフラメーカーとしてはその一つ一つにしっかり応えていく必要がある。EVを何百台単位でまとまった数として見れば、大きな容量の蓄電池のような捉え方もできる。それをうまく活用・制御していけば、新たな可能性も広がる。総合エネルギー事業プロバイダーとして東光高岳が果たすべき役割は、これから先も大きい。