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渡辺 真理さん フリーアナウンサー
横浜市医師会 会長/ 水野クリニック 院長 水野 恭一先生

今もっと知りたい帯状疱疹と予防接種

コロナ禍は生活スタイルや働き方にも大きく影響し、ストレス増加の要因にもなっている。ストレスなどにより免疫力が低下することで、体内に潜むウイルスが再活性化する引き金にもつながる。帯状疱疹(ほうしん)も、そうした疾患の一つだ。帯状疱疹とその予防法について、横浜市医師会の水野恭一先生とフリーアナウンサーの渡辺真理さんが対談した。

痛みを伴う帯状の皮疹
疲労やストレスが引き金

フォト:水野 恭一先生

水野 恭一先生
横浜市医師会 会長/水野クリニック 院長
1976年日本医科大学卒。81年港北区(現・都筑区)に内科・小児科の水野クリニック開設。介護老人保健施設や高齢者グループホーム、病児保育室も運営。2017年6月に横浜市医師会会長就任。

渡辺高齢の母と義母が、この数年で帯状疱疹を経験しました。痛みに苦しむ姿を見ていますので、帯状疱疹は私にとっても身近な病気です。どのような病気なのか、教えていただけますか。

水野帯状疱疹は、子供の頃に感染した水ぼうそうと同じウイルスである水痘(水とう)・帯状疱疹ウイルスが、体の中で再活性化することで発症する皮膚の病気です。特に50歳以降は加齢により免疫力が低下するため、帯状疱疹の発症率が高くなります。

渡辺具体的にどんな症状があるのでしょうか。

水野顔や体幹部の神経は左右に分かれていますから、症状として多いのは、胸やお腹や背中などの体幹部の片側にできる痛みを伴う帯状の皮疹です。しばしば灼熱(しゃくねつ)感、発赤、または刺すような痛みを伴うこともあります。顔や頭部に発症する場合は、三叉(さんさ)神経領域に沿って発症し、それが目の周辺だと視力低下、耳の中だと難聴やめまい、耳鳴りの原因になったり、顔だと顔面神経麻痺(まひ)等の合併症を引き起こすこともあります。また、皮膚症状が治った後も、帯状疱疹後神経痛(PHN)とよばれる痛みが数か月続く場合もあります。その痛みは人それぞれですが、「電気が走るような痛み」「焼けるような痛み」などと表現され、日常生活に影響を及ぼします。

50歳過ぎたら
ワクチンが接種可能

渡辺誰でも発症する可能性のある病気なのでしょうか。

水野日本人成人の9割以上が帯状疱疹の原因となる水痘・帯状疱疹ウイルスを持っており、加齢や疲労などで免疫力が低下すると発症しやすくなります。このため、誰でも発症する可能性のある病気と考えるべきでしょう。

渡辺免疫力の低下やストレスが引き金になるわけですね。

水野免疫力の低下する持病がある方や、免疫力を低下させる薬を使用している場合も注意が必要です。また、新型コロナウイルス(COVID―19)に罹患(りかん)した50歳以上の人は、帯状疱疹の発症リスクが高まるという米国の報告もあります※。

渡辺成人の帯状疱疹を予防するためにはどうすればよいですか。

水野50歳を過ぎたら帯状疱疹ワクチンを接種することができます。帯状疱疹ワクチンには不活化ワクチンと、生ワクチンの2種類があります。また、栄養バランスに配慮した食事、適度な運動、良質の睡眠など免疫力を低下させないよう日ごろから体調管理を心がけることも大切です。

グラフ:年齢別の帯状疱疹発症率
イラスト:帯状疱疹

調査の対象と方法
2009~2015年に帯状疱疹を発症し、宮崎県皮膚科医会に属する医療機関(皮膚科診療所36施設、総合病院の皮膚科7施設)を受診した患者34,877例の性別および年齢を調査した。

Shiraki K., Toyama N. et al.,:Open Forum Infect Dis. 4(1). ofx007. 2017より作図

※Bhavsar A. al.: Open Forum Infectious Disease. 9(5), 2022, ofac118

望まれる
公費助成制度の充実

フォト:渡辺 真理さん

渡辺 真理さん
フリーアナウンサー
横浜雙葉学園、国際基督教大学卒。1990年TBSにアナウンサーとして入社。98年からフリーに。テレビ朝日「ニュースステーション」などに出演。現在は、テレビ東京系列「知られざるガリバー」などを担当。両親の介護歴24年。

渡辺50歳を過ぎたら帯状疱疹ワクチンを接種することができるのですね。帯状疱疹ワクチンの公費助成はあるのでしょうか。

水野帯状疱疹ワクチンについては、予防接種法に基づく国の定期接種とするかどうか厚生労働省で継続的に検討されています。現在は、希望者が各自で受ける任意接種ですから、公費助成が実施されている一部の地方自治体を除き、全額自己負担となり、費用の高さから接種をためらう人も多いかもしれません。このため、助成金を支給する自治体が出始めていますが、普及するのはまだこれからという段階です。横浜市医師会としても、多様なデータを横浜市行政にお示ししながら、助成制度の創設のために尽力しているところです。帯状疱疹の発症率をできるだけ早く下げるためにも、予防接種法に基づく国の定期接種の実現や自治体の助成制度の充実が望まれます。

渡辺世界的に帯状疱疹ワクチンの現状はどうなっているのでしょうか。

水野米国など海外の主要国では接種が推奨されており、保険制度は様々ですが、国や地域単位で公費助成が積極的に実施されています。日本では一部の地方自治体で公費助成が実施されている状況です。帯状疱疹は80歳までに約3人に1人が発症すると言われており、高齢化が進む日本でこそ、ワクチンを積極的に接種することができる環境は重要だと思います。発症後の治療や後遺症の治療にお金がかかるだけでなく、働く世代であれば休業による経済的損失も考えられます。公費による助成を充実させて帯状疱疹の発症を減らしていくことは、接種を希望する個人だけでなく、医療費を負担する自治体や国にとっても大きなメリットになるといえるでしょう。

渡辺身近に帯状疱疹でつらい思いをしたご家族やお友達がいらっしゃる方なら特に、ワクチン接種の必要性を実感されているかもしれませんね。

水野帯状疱疹は、50歳代から発症率は高まりますし、加齢や疲労などによる免疫力の低下に伴い、誰でも発症する可能性のある病気です。ですので、帯状疱疹およびその予防法について、まずは医師に相談してみましょう。

渡辺そうですね。今日のお話をうかがって、私も近くのクリニックの医師に相談をしようと思いました。ありがとうございました。

80歳までに約3人に1人が発症

Shiraki K., Toyama N. et al.:
Open Forum Infect Dis. 4(1), ofx007, 2017より作図

GSK

NP-JP-NA-ADVT-220011 作成年月2022年9月

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