GMOあおぞらネット銀行、ITシステム管理の自動化・効率化でサービスを拡充 「IBM Observability by Instana APM」を選んだ3つのポイントとはGMOあおぞらネット銀行、ITシステム管理の自動化・効率化でサービスを拡充 「IBM Observability by Instana APM」を選んだ3つのポイントとは

提供:日本IBM

「No.1テクノロジーバンク」をコーポレートビジョンに掲げるGMOあおぞらネット銀行は、様々なシステムの内製にこだわってきた。同行が重視するのはスピードだ。次々と新しいアプリケーションをリリースし、変化する顧客ニーズに対応しなければならない。しかし、それだけ運用負荷は増大する。そこでアプリケーションの稼働状況などを可視化するAPM(アプリケーション・パフォーマンス監視)が必要と判断し、「IBM Observability by Instana APM」(以下、Instana)を導入した。同行がIBMのソリューションを導入したポイントは何か、また同行が目指す「運用の高度化」とは。GMOあおぞらネット銀行執行役員の金子邦彦氏とテクノロジー&プロセシンググループの園田耕嗣氏、日本IBM上野亜紀子氏に今回の取り組みの背景と効果について聞いた。

アプリケーション運用の自動化・効率化を目指す

金子 邦彦 氏
GMOあおぞらネット銀行株式会社
執行役員
テクノロジー&プロセシンググループ長金子 邦彦

 GMOあおぞらネット銀行は、基本的にシステムを内製する方針を貫いている。同行の執行役員 テクノロジー&プロセシンググループ長の金子邦彦氏は「自分たちでシステムを開発・運用するという内製にこだわっています。内製により開発スピードを高め、開発と運用の効率化を図る。その成果をお客様にお届けしようという考え方です」と語る。

 同行は個人向け、法人向けともにビジネスを展開しているが、主力は後者だ。特に「組込型金融(エンベデッド・ファイナンス)」に注力しており、企業は同行が提供する銀行API(Application Programming Interface)などの各種サービスパーツを活用することでDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進することができる。例えば、振込業務の自動化、入金消込業務の自動化などに同行の銀行APIを活用する企業も増えている。

 こうした事業の優位性をさらに高めるためのキーワードは「スピード」である。高品質のアプリケーションを次々とリリースし、短いサイクルで改善することが求められている。ただ、アプリケーションが増えれば当然、運用の負荷も高まる。

 「銀行に限らず、ネットビジネスの存在意義は低コストだと思います。できるだけ人手をかけずに高品質のサービスを数多く提供するためには、運用負荷の軽減が不可欠です。そこでシステムの可視化や自動化、高度化に向けた取り組みを推進しています」と金子氏は話す。

園田 耕嗣 氏
GMOあおぞらネット銀行株式会社
テクノロジー&プロセシンググループ
運用チーム チーム長園田 耕嗣

 このような背景から運用現場で必要とされたのがアプリケーションのパフォーマンスなどを管理・監視するためのAPMだった。同行のテクノロジー&プロセシンググループ 運用チームの園田耕嗣氏はこう説明する。「アプリケーションをリリースするたびに人手で設定などを行うのは負荷が大きい。また、お客様の利用状況やシステムのパフォーマンスなどの確認も人手に頼っていては限界があります。できるだけ自動化、効率化できるAPMを求めていました」

 こうしたニーズに対応するソリューションとして、同行はいくつかの選択肢を比較検討したうえで「Instana」を導入した。

APM製品の比較検討で重視した3つのポイント

 GMOあおぞらネット銀行は2021年9月ごろからAPM製品の検討を始め、同年12月にInstanaを選定。約1カ月後の2022年1月に稼働を開始している。

 「まずはスモールスタートで少数のアプリケーションをAPMに取り込みました。今後は徐々にその数を増やしていく予定です。当行には現時点で50~100程度のアプリケーションがあり、その数はこれからも増えていきます。一部適用外のものもありますが、基本的にこれらのすべてがAPMの適用対象になります」(園田氏)

 同行がInstanaを選んだ理由はいくつかある。園田氏はこう続ける。「第1に、自動化の観点です。ログ収集など多くの機能を備えていることはもちろんですが、運用の自動化に役立つ点を高く評価しました。開発したアプリケーションをインストールすれば、後は自動で運用することができます。まだ使いこなせていない部分もありますが、搭載されたAI(人工知能)機能にも期待しています。第2に可視化。アプリケーションの相互依存関係や設計資料などを可視化するとともに、各アプリケーションの稼働状況などをリアルタイムで確認することができます。第3に費用対効果です」

 Instanaにはオンプレミス版とクラウド版があるが、同行が採用したのはクラウド版。クラウドに対する抵抗はまったくなかったようだ。「セキュリティーは大前提ですが、それさえ担保できれば最適なものを使いたい。かつては『銀行ならオンプレミスで』という固定観念があったかもしれませんが、私たちはそういった考え方を打破したいと考えています」と金子氏は言う。

上野 亜紀子 氏
日本アイ・ビーエム株式会社
テクノロジー事業本部 Data AI・オートメーション事業部
Strategy & Solution部長 Automation Leader上野 亜紀子

 一方、Instanaを提案した日本IBMの上野亜紀子氏は「私たちが提案するうえでもスピードがキーワードでした。短期かつ容易に導入できることがInstanaの大きな特長の1つ。これを実環境でどのように活用できるのかを体験していただきながら製品の説明などを行いました」と語る。さらに導入プロジェクトにおいては、製品を熟知するIBMビジネス・パートナー、Airitech(エアリテック)がサポートし、これが短期間での導入・稼働開始につながったという。

APMが実現する「可視性」と「可観測性」

 Instanaを使い始めた感想について金子氏は、「可視化や自動化をさらに進めていくうえでAPM導入は重要な節目になると思います。今後、一層のレベルアップを目指します」とし、これが重要なステップになると手応えを感じている。また園田氏は現場視点で次のように抱負を語る。

 「アプリケーションをできるだけ小さな負荷で安定運用するのが私たちの役割です。そのための仕組みが整いました。また、APMによってビジネス部門との連携もしやすくなるでしょう。例えば、どの時間帯にどれくらいのユーザーが各アプリケーションを利用しているかといった状況を可視化すれば、利用度の高いサービスをさらに伸ばすための施策を考えやすくなる。逆にあまり使われてないサービスについては、改善のヒントが得られるはずです」(園田氏)

 顧客向けだけでなく、事務部門が利用するサービスにも同様のことが言える。例えば、特定の時間帯に利用が集中して非効率を招いているシステムがあれば、その状況を可視化して平準化のためのアイデアを検討することもできるだろう。

 さらに、今後は可視性から可観測性の強化への道筋も見えてくる。システムの稼働状況やトラブルなどの把握に重点を置いた可視性に対し、可観測性は一歩踏み込んでアクションをガイドすることを含めた概念である。

Instana概念図

 「特に金融機関においては、可視化はもちろんですが、可観測性を高めようとする動きが強まっています。一般の企業にも言えることですが、オンプレミスとクラウド、あるいは新旧のテクノロジーが混在するシステムの複雑性は高まっています。従来のドキュメントベースのやり方では運用の高度化や効率化は難しいでしょう。その鍵を握るのは、システムが生成するデータです。データを収集・活用することで運用を高度化し、IT部門のリソースをより高付加価値な分野に投入することができます」と上野氏は言う。

 例えば、トラブルが生じた後に対処するのではなく、トラブルの予兆を検知して即座に対策を講じるようにする。あるいは、不正が疑われる決済の要求を即座に検知し、取り引きのリスクを回避するシステムを構築しているクレジットカード会社もある。いずれもアクションにつながる可観測性をベースにした取り組みだ。Instanaは可視性だけでなく、可観測性をも備えたソリューションである。

 「近年はフィンテック企業も続々と生まれており、一方では事業会社のDXも加速しています。こうした動きに対応するためにも、全自動のオペレーションを目指して運用の高度化を進めていきたいと考えています」と金子氏。同行の挑戦を、IBMはこれからもサポートしていく考えだ。

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