提供:日本IBM

マイクロソフトとIBMの協業エコシステムで日本のDXを加速

マイクロソフトとIBMが日本社会や企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)支援に向けた協業を強化している。オフィスソフトやクラウドサービスなどを提供してきたマイクロソフトと大手企業の基幹システムを構築・運用してきたIBMでは、それぞれの特徴は大きく異なる。一方では、両社ともにイノベーションを繰り返して自らのビジネスを変革し続けてきた実績を持つ。こうした両社が連携することで日本社会や企業にどんなメリットが提供できるのだろうか。日本マイクロソフトの法人営業部隊で業務執行役員を務める五十嵐毅氏と日本IBM 専務執行役員IBMコンサルティング事業本部長の加藤洋氏に話を聞いた。

次のDXのフェーズは
企業全体でのデータ活用

--日本企業の現在の課題をどう見ていますか。

五十嵐 失われた30年の間に、多くの企業でIT部門はコスト削減を迫られ続け、攻めのIT活用の面で海外に遅れをとっていたと言われていますが、一方で、この厳しい状況の中でも継続的に成長されているのは、デジタルテクノロジーを積極的に活用している企業だと思います。このような状況で新型コロナウイルス禍により、いつでもどこでも仕事ができるようにする当社のモダンワークプレイス領域のソリューションなども活用され、各方面でDXは加速したと思います。

五十嵐 毅 氏

日本マイクロソフト株式会社
業務執行役員
エンタープライズ事業本部
インフラストラクチャー&サービス営業統括本部長
五十嵐 毅

 しかし、全社規模でのDXという観点では、コアとなる基幹システムを含めたDXや新しい事業を推進するためにデジタルテクノロジーを活用されている企業と、まだそこに踏み出せていない企業がいらっしゃると思います。

加藤 当社のお客様も状況は同じです。この2、3年はDX案件が増えていますが、特定の部門でのモバイル活用など部分的な取り組みも多く、本質的なビジネスモデルの変革に至らないケースもあります。

加藤 洋 氏

日本アイ・ビー・エム株式会社
専務執行役員
IBMコンサルティング事業本部長
マネージング・パートナー
加藤 洋

 次のフェーズは基幹システムを含めたエンド・ツー・エンドのDX推進です。基幹システムをモダナイズ(近代化)し、分散しているデータをつないでいかなければなりません。その実現を1社で支援することは現実的ではなく、協業エコシステムが必要です。今回のマイクロソフトとの協業はまさにそのためのものです。

--どのように日本企業のDXを支援しているのでしょうか。

五十嵐 DXで鍵となるのは、データをいかに活用するかです。当社ではデータを融合させて、そこで得られたインサイトを業務改善や製品開発に生かしていくデジタルフィードバックループを提唱しています。

デジタルフィードバックループ
デジタルフィードバックループ

ビジネス全域における「データ」を接続し、それを中核に「継続」的な改善アクションや価値創造を「加速」させるため、マイクロソフトが自身のトランスフォーメーション経験から学びえた考え方、フレームワーク。

 データは当社のソリューション上だけでなく、データセンターや他のクラウドなど様々な場所に分散しています。それをセキュアに活用するためにID管理やセキュリティーの機能を提供し、その上にデータモデリングのソリューションを提供しています。

加藤 DXはお客様のビジョンと組織改革力、そしてIT基盤の成熟度によってどこから着手するか変わってきます。当社では、それらを診断するフレームワークを用意しており、グローバル5000社の調査データに基づいたベンチマークが素早くできます。また、アーキテクチャーの構想については、ゼロから考えるのではなく、業界別の次世代アーキテクチャーをそろえており、これを参照してスピーディーな目標の姿の実現を支援しています。

 DX人材の育成プログラムやアウトソーシングサービスも提供し、人材リソースの課題についても支援してきました。

協業エコシステムで
DXジャーニーに寄り添う

--ともに幅広い領域をカバーしています。今回の協業によってどんな価値が生まれるのでしょうか。

五十嵐 両社それぞれ、ビジネスの成り立ちが違います。当社はソフトウェアから始まり、クラウドへとシフトしてきました。一方、IBMはミッションクリティカルな基幹システムの第一人者です。それぞれの強みを足し算することで、スピード感や柔軟性を持ったソリューションを届けることができます。

 クラウド化は進んでいますが、すべてがクラウドになるわけではありません。オンプレミス(自社運用)にもデータは残ります。そこではハイブリッドクラウドに強いIBMの知見が大きな価値を持っています。当社の強みとするフロントエンドから入ってデータの本丸であるバックオフィスまでつなぐことで全社レベルのDXが実現できるのです。

加藤 お客様が求めているのはIBMの製品かマイクロソフトの製品かという二者択一ではなく、イノベーションです。それを支援していくためには、パートナーと協業エコシステムをつくり、既存のシステム資産を生かし、スピード感を持ってアジャイル(迅速)に進めていくことが重要です。

 大きなシェアを持つマイクロソフトは数あるパートナーの中でも大きな存在です。共創することでお客様に大きな価値を届けられます。ある金融機関では1000台規模のサーバーの基幹業務システムを当社がMicrosoft Cloud上に移行した実績もあります。今後は一緒にRFP(提案書)を出してほしいというご要望にもお応えしていきます。

加藤氏

「お客様が求めているのはIBMの製品か
マイクロソフトの製品かではなく、
イノベーションです」(加藤氏)

グローバルな知見を生かして
日本企業のDXを加速させたい

--ともに大手グローバル企業です。それによって日本企業に提供できるメリットもあるのでしょうか。

加藤 両社が持っている事例は膨大にあります。そこにあるグローバルで成功しているアプローチを参考にすることで、日本企業にとっての選択肢を大きく広げることができるはずです。

 マイクロソフトとの協業の事例も数多くあります。メインフレーム上にある基幹システムのデータとマイクロソフトのフロントエンドのデータや業務プロセスを連携させた事例もあり、そのための道具立てもそろっています。

 グローバル規模で投資をしていることで、幅広いソリューションをスピード感を持って充実させることができるのも大きな強みです。その意味でも両社の立ち位置は似ています。

五十嵐 すでに実証済みの機能も日本では、時間をかけてPoC(実証実験)を実施することが多いのですが、グローバルで両社が持っているベストプラクティスをうまくご利用いただくことで、日本のお客様に最短コースをご提供できると思っています。

 サステナビリティー(持続可能性)についても同じです。当社は2030年までにカーボンネガティブを実現するという目標を立て、実践したことをベストプラクティスとしてMicrosoft Cloud for Sustainabilityを提供開始しました。その知見を日本企業にもお届けしていきます。

加藤 当社は50年前から環境に配慮した取り組みを行ってきました。今ではブロックチェーンを活用してバリューチェーンを見える化するサステナビリティーのプラットフォームを提供しています。日本企業にトップレベルのサステナビリティーをお届けできますし、すでにご活用いただいています。

MicrosoftとIBMの組み合わせにより圧倒的な強みを共創し、お客様のDXを実現
豊富なタレントと強いアカウントチーム

共創のための専門組織をつくり、
現場同士の協業も促進させる

--両社のメリットを日本企業に届けるために今後はどのような活動を強化していくのでしょうか。

加藤 マイクロソフトと共創のための新しい組織をつくり、そこに専任のエグゼクティブを配置し、連携してソリューションを開発し、情報を発信、合同でセミナーやイベントを実施するなどの活動を行っていきます。特にアプリケーションのモダナイゼーションには注力していこうと考えています。

五十嵐 組織的な共創と並行し、現場同士で協業活動や事例をつくり、市場へ発信していくことにも力を入れていきます。幸い両社のお客様は、ほぼ共通なので総合的に支援していけるのではと考えています。

五十嵐氏

「両社の持つDXのグローバルの知見を生かし、一緒に日本企業のDXを加速するお手伝いをしていきましょう」(五十嵐氏)

加藤 地域の特徴を生かす共創という切り口も重要です。当社では地域ごとにDXセンターを立ち上げており、地域に根差した企業のDXを迅速に支援できる体制を整えています。IBM地域DXセンターにマイクロソフトのメンバーに加わってもらうことも考えていきたいですね。

五十嵐 当社でも各地域の企業の施設の中に、その地域のマイクロソフトDXセンターを設けています。両社が融合することで地域貢献に向けたシナジーを出せるのではないでしょうか。

加藤 DXのステージが進んでいる中で、協業エコシステムは不可欠です。両社の協業によって日本企業の選択肢が広がり、タイム・ツー・マーケットを短縮できます。共創によるメリットを一緒に日本企業に届けていきましょう。

五十嵐 欧米と違って日本ではIT人材の多くがお客様組織ではなくITベンダー側におり、それが欧米とのDXの進展の「差」につながっているとも言われており、ITベンダーとして日本企業のDXを支援する責任があると感じています。両社の持つDXのグローバルの知見を生かし、一緒に日本企業のDXを加速するお手伝いをしていきましょう。

五十嵐氏、加藤氏
IBM 変革を加速 Consulting 詳細はこちら