■アルカイヤ　私は79年から日本で金融業界に携わっていますが、ここ数年の日本の金融業界を取り巻く変化の速度には本当に目を見張るものがあります。年金積立金管理運用独立行政法人（GPIF）の運用見直しや日本版スチュワードシップ・コードの導入、JPX日経インデックス400の設立、少額投資非課税制度（NISA）の登場なども変化の象徴です。

■柳谷　上場企業にとっては厳しい時代が到来したかもしれません。顧客や株主、従業員、地域社会といった企業を取り巻く利害関係者にバランスよく報いる必要があり、それができない企業は資産運用における投資対象にはなりにくいでしょう。我々機関投資家には、スチュワードシップ・コードの導入があります。お互い緊張感をもった関係だからこそ、投資家のリターンを最大化する投資ができます。

■アルカイヤ　銀行のポートフォリオを見てみるといまだに円建ての債券が大半を占めています。確かに過去20年は円債のパフォーマンスはよかったかもしれませんが、その延長でこの先を考えるのは危険です。そうした中で何に投資すればいいのか悩んでいるようにも見受けられます。あおぞら投信さんが地方銀行をはじめとする機関投資家向けに設定している商品の一つがグローバル債券ファンド。格付けが高く100％円ヘッジしているものです。ボラティリティーは円債と同程度であるにもかかわらず期待収益は高い。円債に偏ったポートフォリオを是正する選択肢の一つとしても有効であると思います。

■柳谷　地方銀行にとって資産運用業の役割は非常に高まっています。まず顧客から預かっている資産の運用先の多様化が求められています。例えば国内外の投資機会を提供することで、円債などに偏ったポートフォリオを是正し、リスクコントロールされた中で、少しでも高い収益を追求します。さらに地方銀行の顧客の資産運用ニーズに応える商品ラインアップの充実です。それはこれまでのように相場を当てに行く短期的な投資商品ではなく、長い時間軸で安心して投資していただける商品でなくてはなりません。今後、地方銀行が保有している資産が資本市場に流入し有効活用されれば、新たなお金の流れが生まれる可能性もあります。その意味でも、私たち資産運用会社が地方銀行に果たすべき役割は大きいと思います。

■アルカイヤ　私は地方銀行には米国におけるファイナンシャル・アドバイザー（FA）の役割を期待したい。当社は設立以来、年金基金など機関投資家の資産運用に特化してきました。しかし89年から、FAチャネルを経由したリテール向けの投資信託の販売を始めました。先にお話しした四半期ベースでの資金流出がないというのは、FAチャネルを中心に、顧客への投資教育もしながら納得して買っていただいていることも背景にあります。

■柳谷　確かに地方銀行の販売員は転勤も少なく、世代を超えて顧客の人生に伴走する存在といえます。日本にはまだまだ独立系のFAが少ないですが、地方銀行はその役割を担うのにふさわしい存在といえるかもしれません。そうした販売員の方々に商品を提供するのも私たちの存在意義の一つです。個人の資産運用における新しい流れをつくるために、私も顧客向けのセミナーなどで全国を回ります。顧客一人ひとりのニーズに合った情報提供を心掛け、安心感や期待を持ってもらえるよう運用会社としての責任を果たしていきます。こうした地道な取り組みと当社の商品を通じ、良い投資経験を積む個人投資家を今後、増やしていきたいと思います。

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特定の投資の勧誘を目的としたものではありません。