コーポレートガバナンス・コードで企業評価を

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企業の姿勢がにじみ出る

■山崎 企業側と投資家の対話不足が認識されて、これを変えていかないと日本経済の再興は成り立たない。日本再興戦略のためにはこれを変えないといけないということが共有できました。これは本当に日本経済が大きく変わる1つのチャンスだし、逆にこれを逃したらもうないだろうという気持ちはもっていました。この企業と投資家の対話を促進するのが、スチュワードシップ・コードとコーポレートガバナンス・コードです。

■岩田 経営者や投資家の間でも今、コーポレートガバナンス・コードの話がよく出てきます。でも、そういうことに力を注いでも、投資家はすぐ株を売ってしまうから、ガバナンス議論など意味がないという経営者が意外に多いのですよ。

ジェイ・ユーラス・アイアール株式会社 代表取締役 岩田宜子氏

ジェイ・ユーラス・アイアール株式会社
代表取締役
岩田宜子氏

■山崎 伊藤レポートは企業価値を高めていくための課題を分析し、提言をしていますが、それに対して実際のアクションを促しているのがスチュワードシップ・コードとコーポレートガバナンス・コードです。スチュワードシップ・コードによって機関投資家の動き方が示され、ガバナンス・コードによって企業側の動き方、あるべき姿というのが提示されている。この両方のコードができたので、いよいよ企業と機関投資家の活動が変わり始めると思います。個人投資家も積極的に市場に入ってきて、企業価値を分析しモニタリングしながら、企業の応援団として加わるならば、日本経済は本当に変わるだろうと伊藤レポートは語っています。
 スチュワードシップ・コードもガバナンス・コードも原則主義です。法令の場合は守らないとアウトですが、原則主義は望ましい姿を提示しているにすぎないので、必ずしも守らなくてもいい。超えてはいけない境界線がきちっと定まっているわけではありませんから、会社ごとに取り組み方や考え方が異なり、説明の仕方とか方針が違うわけです。ということは、各会社のコードに対する説明の中に、各会社の姿勢とか考え方とか思いといったものが全部にじみ出てくるのです。

■岩田 もっと言えば、企業がにじみ出さないといけないのですね。

■山崎 機関投資家は、そのにじみ出てくる情報をつかもうとするのです。いろいろな会社を横並びで見ていれば、おのずと、この会社は真剣に考えているな、この会社はおざなりだねというのが分かってしまう。

■岩田 分かりますね。今度のガバナンス・コードの説明の仕方によってその企業の姿勢というものが分かってきますね。

■山崎 それは個人投資家も分かると思います。ましてや人生経験豊富な個人投資家の方々なら、各社のコードへの対応の説明を見れば、取り組み内容の良し悪しは分からなくとも、企業姿勢やカルチャーは十分に見抜けると思います。

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企業を応援する株主に

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Profile

一般社団法人 株主と会社と社会の和 代表理事 山崎直実氏

1985年資生堂入社。2003年からコーポレートガバナンス、情報開示、株主総会業務を統括。機関投資家やSRI調査機関などと対話を重ね、ガバナンスに関するコミュニケーションを積極推進。14年3月資生堂を退職し独立。経済産業省・企業報告ラボ「コーポレートガバナンスの対話の在り方分科会」委員、同省「持続的成長への競争力とインセンティブ~企業と投資家の望ましい関係構築~」(伊藤レポート)プロジェクト委員を歴任。

ジェイ・ユーラス・アイアール株式会社 代表取締役 岩田宜子氏

米系銀行の東京支店にて、外国為替、融資、さらにALM分析、リスク管理計画など多岐にわたる業務を経験。1992年から米国IRコンサルティング会社、テクニメトリックス(現、トムソン・ファイナンシャル)の日本・韓国担当シニア・ディレクター。日系初のグローバル・IRとコーポレートガバナンスのコンサルティング会社、ジェイ・ユーラス・アイアールを設立、2001年から現任。日本に軸足を置いた本格的な企業支援を展開している。

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