コーポレートガバナンス・コードで企業評価を

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企業を応援する株主に

■岩田 ガバナンス・コードの中には取締役会評価という項目があります。それは、ガバナンスのベストプラクティス(最良の事例)に向けて取締役会において、各取締役が改善すべきところを考えているか、取締役会の議論として問題点はあるかなどを整理していきます。この取締役会評価は100点満点中何点と、点数をつけるものではありません。取締役会の実効性を高めるのが目的で、問題があれば次の取締役会で改善しましょうということなのです。私の会社はコーポレートガバナンスやIRについてのコンサルティングをしていて、取締役会評価のお仕事もしておりますが、このあたりの記載も個人株主にもじっくりみてもらいたいですね。

■山崎 企業はコーポレートガバナンス・コードへの対応状況を東証の「コーポレートガバナンスに関する報告書」に書いて開示しなければなりません。東証のWEBサイトにはすべての会社の「コーポレートガバナンスに関する報告書」が載ることになりますから、自分の気になる会社を何社かピックアップして、読んでみたらいいでしょう。すでに一部の会社がコード対応の報告書を提出しています。12月までに3月決算の会社はコード対応の報告書を出さなくてはならないので、やがて多くの企業の報告書が読めるようになります。

■岩田 穴のあくほど読んでもらいたいですね。3社もみれば大体比較ができるようになる。個人株主にとって良い企業が分かりやすくなってきたということですね。
 ガバナンス・コードの原則にはESG(環境と社会とガバナンス)のことも出ています。私たちが海外の投資家を対象に行った調査によると、環境問題について日本企業が努力しているということをいくらアピールしても、ガバナンスがきちんとしていなければ評価されませんでした。ガバナンス・コードが出たから、これからEもS(環境と社会)も評価されるようになってくると私たちは期待しています。

■山崎 ESG要素、つまり、環境、社会、ガバナンスという非財務的な企業評価軸は、企業の持続可能性を見る評価軸です。社会や環境問題にきちんと対応していないと、やがて企業の存続のリスクになりかねない。逆にきちんと対応することによって成長するチャンスになる。そういう環境や社会問題のリスクを認識し取り組みを整備するのも、ガバナンスの取り組みのひとつですね。企業の持続可能性は、重要な企業評価ポイントだと思います。


 かつて私が会社で株式実務を担当していた頃に、株主総会の招集通知の議決権行使書の空欄のところに「ズルはいけません」と書いてきた個人投資家の方がいらっしゃいました。もちろん当時、その会社が不正をしていたわけではありません。ただ、世間で企業の不祥事が続いた時期だったので、「少なくても自分の投資している企業には正々堂々としてほしい」、というお気持ちで書いてこられたのだと思います。私には、この「ズルはいけません」の一言は心に響きました。ルールに反していなければ何をやっても良いというのでなく、自分の心がジャッジするのだと感じ、個人株主からこのような叱咤(しった)激励の声が寄せられたと役員会議で報告しました。個人投資家にできる企業の価値向上策というのは、そういうアプローチかもしれません。


 企業がどのように社会の役に立つか、市民目線から意見することが企業価値を高めるのでしょう。
 企業を叱咤激励し、「応援株主」になってほしい。企業の姿勢やカルチャーを理解して、だからこそ応援するという応援株主がいっぱい出てくると、企業が成長できるのではないかと思います。

■岩田 応援株主といういい言葉が出ましたが、一緒に成長していく、一緒に利益を享受していく。個人株主は投機的な投資家が多いとかいわれていますけど、そうではなくて、一緒にちょっと腰を据えて頑張ってもらうようにすれば企業も成長するし、個人株主も利益を得ることができるというWin-Winの関係になっていくと思います。今回の一連のガバナンス改革でそういう情報が分かる環境になってきたので、個人投資家は長期にわたって応援できる企業を探しやすくなりましたし、個人株主も、自分の投資している企業を長期に保有していいものか判断しやすくなった。ぜひこの環境の変化を、個人の皆さんが今後のより良い投資活動に活用していっていただきたいですね。

山崎直実氏と岩田宜子氏

本コンテンツは投資一般に関する情報提供を目的としたものであり、
特定の投資の勧誘を目的としたものではありません。

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Profile

一般社団法人 株主と会社と社会の和 代表理事 山崎直実氏

1985年資生堂入社。2003年からコーポレートガバナンス、情報開示、株主総会業務を統括。機関投資家やSRI調査機関などと対話を重ね、ガバナンスに関するコミュニケーションを積極推進。14年3月資生堂を退職し独立。経済産業省・企業報告ラボ「コーポレートガバナンスの対話の在り方分科会」委員、同省「持続的成長への競争力とインセンティブ~企業と投資家の望ましい関係構築~」(伊藤レポート)プロジェクト委員を歴任。

ジェイ・ユーラス・アイアール株式会社 代表取締役 岩田宜子氏

米系銀行の東京支店にて、外国為替、融資、さらにALM分析、リスク管理計画など多岐にわたる業務を経験。1992年から米国IRコンサルティング会社、テクニメトリックス(現、トムソン・ファイナンシャル)の日本・韓国担当シニア・ディレクター。日系初のグローバル・IRとコーポレートガバナンスのコンサルティング会社、ジェイ・ユーラス・アイアールを設立、2001年から現任。日本に軸足を置いた本格的な企業支援を展開している。

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