中小企業がM&Aを考えるとき、単独で相手先を探すのは難しいため、国の事業承継・引継ぎ支援センターや地元の金融機関、民間のM&A仲介やアドバイザリーを利用するのが一般的だ。相手先とのマッチングやM&Aの手続きをサポートするM&A仲介・アドバイザリーは増えている一方、トラブルなども生じており、その質が問われるようになってきている。
仲介業者は会社の買い手と売り手の両方から手数料を受け取るため、取引が一回限りの売り手会社より、複数回になる可能性がある買い手会社の利益を優先することがないとはいえず、利益相反が指摘されている。
通常、売り手側の会社にはM&Aに対する知見がないことから、中小企業庁は昨年「中小企業M&Aガイドライン」を作成した。M&Aの基本的事項や進め方、どのような支援機関があるか、M&A仲介業者などに依頼する際の留意点などを解説している。
今年4月には「中小M&A推進計画」を取りまとめ、事業承継・引継ぎ支援センターと民間M&A支援機関の連携強化や、支援機関に登録制度を導入し自主規制団体を設立することを目指すとしている。
M&Aで会社を譲り渡す先は事業会社だけでなくPE(プライベート・エクイティ)ファンドも選択肢となる。PEファンドは投資家から集めた資金で非上場会社の株を買い取り、企業の経営に積極的に関与して企業価値を高め、株式を売却して投資家に利益を還元する。そのため、事業承継だけでなく、経営を改善し発展させることにつながる。
事業承継を考えるのに遅すぎることはあっても早すぎることはない。M&AやPEファンドの利用も含めて検討し、早めに着手したい。