J-REIT Infrastructure Fund Forum

長期・安定的な資産運用に資する 投資商品としての魅力さらに向上 長期・安定的な資産運用に資する 投資商品としての魅力さらに向上
個人投資家でも投資しやすい金融商品として、Jリートへの注目が高まっている。投資対象が不動産であるため長期的に安定した分配金を期待できる上、手間やコストも比較的少なくすむといった利点がある。また、脱炭素化の実現に国を挙げて取り組む流れが加速化する中で、インフラファンドの人気も上昇中だ。平均利回りは、Jリートが3.46%、インフラファンドが5.84%(2021年4月末時点)と、コロナ禍においても株を上回るパフォーマンスを堅持。低金利環境下、金融商品としての魅力が相対的に高まっている。5月26日に開催された「日経Jリート・インフラファンドWEBセミナー(主催:日本経済新聞社イベント・企画ユニット)」には、インフラファンド1法人とJリート2法人が登壇。投資戦略やコロナ禍の影響への対策などを投資家に説明した。
基調講演
東京証券取引所
不動産と再エネ発電施設を投資対象とする
底堅さからコロナ禍でも株を上回る利回り維持
東京証券取引所 上場推進部 調査役 鹿志村 将也 氏

東京証券取引所
上場推進部 調査役
鹿志村 将也

Jリートは簡単に言うならば不動産賃貸業に特化した不動産投資法人です。仕組みはごくシンプルで、金融機関からの借り入れや投資家から集めた資金を基に不動産を取得し、その賃料や売却益を分配します。2021年4月末時点、東証Jリート市場には61銘柄が上場しており、時価総額は約16.8兆円。東証1部市場に次ぐ市場規模を誇ります。
 Jリートの魅力は大きく3つあります。1つ目は、投資対象が不動産であることによる分配金の安定性です。また、利益の90%以上を配当すると法人税が実質免除になるという制度があることも、高利回りの実現に貢献しています。21年4月末時点の平均利回りは3.46%と、東証1部上場株式の平均利回り(1.86%)に2倍ほどの差をつけています。2つ目は、比較的手の届く金額での投資が可能なことで、銘柄によっては一口数万円程度から投資できます。不動産の管理や運用はプロに任せられますから、専門知識はいらず、手間もかかりません。また、リートは複数不動産を保有していますから、リスク分散効果も期待できます。3つ目は、株式と同様に東証で売買できることです。売りたい時にすぐ売れて、買いたい時にすぐ買える。そんな換金性の高さも魅力です。利回りは、コロナ禍においても3~4%台で安定的に推移。コロナ禍以前から現在まで、東証1部上場株式の水準をアウトパフォームしています。Jリートを他の金融商品と一緒に保有することで、リスクヘッジ効果も期待できるでしょう。
 Jリートとよく似た仕組みを持つ金融商品に、インフラファンドがあります。インフラファンドの基本的な仕組みは、投資家から集めた資金などを元手にインフラ資産を購入し、その運用益を配当するというもの。21年4月末時点で、東証インフラファンド市場には7銘柄が上場しており、7銘柄全てが再生可能エネルギー発電施設を投資対象としています。時価総額は約1,650億円と市場規模はまだ小さいものの、再生可能エネルギーへの注目度の高まりを受けて投資家からの期待値も上昇し、日々活発な売買が行われています。
 その魅力はなんといっても、利回りの高さです。21年4月末時点の平均利回りは5.84%。Jリートと同じく、利益の90%超を配当に回すと法人税が実質免除されるため(上場後20年間の期限付き)、高利回りが実現できています。そもそも発電施設は景気の波の影響を受けにくいディフェンシブ性を有している上、再生可能エネルギーで発電された電力は、FIT制度(固定価格買取制度)によって、20年間は固定価格で電力会社に買い取ってもらえますから、分配金水準の安定性も確保されています。Jリートと同じく、一口十万円程度から投資ができ、証券口座を通じて気軽に売買できる利点もあります。
 投資家からの多数の要望を受け、昨年4月には東証インフラファンド指数の算出・公表を開始しました。現在のところ、指数は1,000~1,200ポイントの間で安定的に推移しています。昨年9月には、主としてインフラファンドに投資する投資信託が登場するなど、インフラファンドへの投資の選択肢は少しずつ広がっています。
 総じて、高い利回りを堅持するJリートとインフラファンドは、低金利環境下において、金融商品としての魅力が相対的に高まっているといえるでしょう。ただ、投資にはリスクがつきものです。Jリートもインフラファンドも、元本が保証される金融商品ではないことに加え、自然災害などによる価値棄損リスクなどにも留意する必要があります。また、インフラファンドの場合には、FIT制度が見直され、FIP(Feed-in-Premium)制度の導入が予定されているところであり、今後の制度の在り方が利回りにも影響をもたらすことが考えられます。市場を取り巻く環境にも配慮しながら、各投資法人が公表する目論見書などの資料に目を通し、みなさまの投資方針に沿った資産運用を実行してください。

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タカラレーベン・インフラ投資法人
二本柱の賃料体系で
収益の安定性と成長性両立
タカラアセットマネジメント 代表取締役社長 髙橋 衛 氏

タカラアセットマネジメント
代表取締役社長
髙橋 衛

本投資法人は、2016年6月、東証インフラファンド市場に第一号銘柄として上場しました。21年5月現在、保有する再生可能エネルギー発電施設は38物件、合計パネル出力数は131メガワットです。北は青森から南は鹿児島まで、電力需要の高いエリアを中心に、バランスよく発電施設を保有しています。
 上場以来、スポンサーであるタカラレーベングループのパイプライン物件を継続的に取得し、外部成長を図ってまいりました。これにより、上場時78.3億円だった資産規模は上場後4年半で約6.5倍の514.7億円にまで成長。今後も年間20~40メガワット程度を目安にパイプライン物件を取得する方針です。
 再生可能エネルギー発電施設の豊富な開発・運用実績を有するスポンサーの知見を活用し、安定性と成長性に優れた賃料体験を構築。発電量に関わらず受領可能な最低保証賃料と、売電金額が想定発電量を上回った場合に受領できる実績連動賃料の二本柱の賃料体系により、収益の安定性とアップサイドポテンシャルの最大化を両立させています。
 投資主のみなさまへの配当にあたっては、長期にわたり安定した分配金水準を堅持するため、利益分配を重視した還元方針にこだわっています。21年5月18日の終値ベースで計算した本投資法人の分配金利回りは5.49%。分配金構造をみると、92.1%割超を利益分配金が占め、利益超過分配金の割合は7.9%にとどまります。
 再生可能エネルギー発電施設の運用のほか、里親制度の啓発・支援などに取り組む日本子ども支援協会への寄付活動など、ESG(環境・社会・企業統治)経営にも積極的に取り組んでいます。ESG経営をさらに強化すべく、昨年11月には、資金の借り入れ(デット)と投資口の発行(エクイティ)の両方を対象とする「グリーンファイナンス・フレームワーク」を策定。このフレームワークは、JCR(日本格付研究所)より、最高ランクの「Green1(F)」の格付けを付与されました。エクイティにおけるグリーン評価の取得は、上場投資法人としては初の事例です。
 政府により50年脱炭素達成の野心的な目標が示されたことで、再生可能エネルギーへの社会の期待は一段と高まりました。この期待に応えるべく、再生可能エネルギー発電施設の運用実績をさらに積み上げ、知見を磨いてまいります。また、事業を通じたサステナビリティー課題の解決にも積極的に取り組み、社会に様々な価値を提供できる投資法人であり続けます。

タカラレーベン・インフラ投資法人についてタカラレーベン・インフラ投資法人について
Q&A
Q
今後再生可能エネルギー普及促進のための制度は、FIT(固定価格買取制度)以外の選択肢もでてくるのでしょうか。
A
―タカラレーベン・インフラ投資法人にお答えいただきました。
 2012年に始まったFIT制度は、再エネ由来の電力を20年間固定価格で電力会社が買い取るという制度です。22年度からはFIT制度に加え、市場連動型のFIP(Feed-in-Premium)制度が導入されます。FIP制度は、再エネ発電事業者が電力を卸電力取引市場などで売電する際、基準価格(FIP価格)と市場価格の差額をプレミアムとして交付することで、投資インセンティブを確保する制度です。FIP制度の詳細な制度設計をはじめ、再エネの市場統合の促進や市場の活性化のための環境整備について、現在活発な議論が展開されているところです。ただ、22年度になったらすぐにFIT制度がFIP制度に切り替わるわけではありません。しかし今後、段階的に買い取り価格が保証される制度から、市場取引を前提とする制度への移行が進むでしょう。本投資法人は市場環境や制度の変化に目を配りながら、将来を見据えた投資戦略のブラッシュアップに継続的に取り組みます。
Q
FIT価格(固定買取価格)が12年度から毎年下がっているようですが、今後新規に取得する施設の売電価格は当初に比べ下がっているため、利回りが希薄化してしまうのではないでしょうか。
A
―タカラレーベン・インフラ投資法人にお答えいただきました。
 売電価格の低下と利回りの希薄化はイコールではありません。例えば、FIT価格が40円の発電所を10億で取得した場合と、FIT価格が24円の発電所を10億で取得した場合を比較すると、当然後者の方が利回りは希薄化します。しかし、マーケットが正常に機能する限り、FIT価格の異なる発電所が、同じ価格で取り引きされることはありません。当然、本投資法人もFIT価格に相応した価格で発電所の取得を行います。また、ポートフォリオの予想配当水準を著しく低下させるような新規取得は原則、行いません。最低でも現状の配当水準を維持、可能なら増加を目指しております。
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日本プライムリアルティ投資法人
老舗リートの豊富な資産運用実績活用
立地とクオリティーに優れたポートフォリオ構築
東京リアルティ・インベストメント・マネジメント 取締役財務部長 埜村 佳永 氏

東京リアルティ・インベストメント・マネジメント
取締役財務部長
埜村 佳永

不動産市場で高い優位性を発揮する東京オフィスを主要投資対象とする本投資法人は、2002年6月に東証Jリート市場に上場しました。上場以来、約19年の運用実績を持つ老舗リートです。
 2021年4月末現在、65物件、資産規模にして約4,650億円を保有しています。うち、東京への投資比率は85.4%。68.5%を東京のオフィスビルが、16.9%を東京の商業施設が占めています。大阪や福岡など繁華性の高い地方都市の物件への投資を行っており、地方オフィスへの投資比率は全体の9%、地方商業施設への投資比率は5.6%を占めます。
 上場以来、分配金は安定的に推移しており、直近の決算期(20年12月期)には、上場来最高額の7,750円で着地しました。一口当たり分配金7,800円達成を中期目標と定め、達成のためにポートフォリオのさらなる質の向上に努めているところです。
 スポンサーは、東京建物、安田不動産、大成建設、明治安田生命の4社です。メインスポンサーの東京建物は創立125周年の総合不動産会社です。近年の開発実績としては、大手町の新たなランドマークとして知られる大手町タワーなどがあります。不動産投資法人の収益の源泉は優良な不動産です。スポンサーが開発する立地とクオリティーに優れた優良物件の取得が、本投資法人の分配金の安定性と成長性に大きく寄与しています。
 確かな不動産運用力もまた、本投資法人の強みです。保有物件の稼働率は98%以上の高水準を堅持。コロナ禍によって市場全体の空室率が高まる中でも、本投資法人は97~98%台の稼働率を維持できる見通しです。加えて、賃料改定やテナント入れ替えのタイミングを活用した賃料増額はもちろん、物件の競争力向上のための改修工事なども積極的に実施。内部成長機会を貪欲に追及しています。
 コロナ禍の影響で、一部の商業施設で一時的に賃料減額などを行いました。昨年一年間で、テナントの事業継続支援のためにトータル1億4千万円ほどの賃料を減額しましたが、これは、本投資法人の賃料収入のうち1%程度の割合であり、影響は軽微にとどまっています。現行の21年6月期も、コロナ対応として4,500万円程度の一次的な賃料減額を見込んでいますが、やはり収益全体への影響は軽微にとどまる見通しです。なお、オフィスに関しては、コロナ禍の前後で比較しても空室率の大幅な変動は見受けられません。
 引き続き、東京駅周辺や新宿、渋谷など、都心優良立地のハイクオリティー物件に厳選投資する戦略により、投資主価値の最大化に努めてまいります。

日本プライムリアルティ投資法人について日本プライムリアルティ投資法人について
Q&A
Q
リートが取得する物件の基準を教えてください。
A
―日本プライムリアルティ投資法人にお答えいただきました。
 リートによって投資基準は様々ですが、全般的には順法性や耐震性能、安定収益が見込める事などが重視されます。
 東京オフィスを主要投資対象とする本投資法人の場合には、一定程度の規模を有し、収益安定性の高い立地・スペックを兼ね備えていることや、キャッシュフローの長期的な安定性を見込めることなどを基準として物件を取得しています。加えて最近では、環境性能やテナントの快適性に資する設備なども重視しています。
Q
テレワークの浸透などにより、今後、企業のオフィス使用面積が減少するのではないでしょうか。
A
―日本プライムリアルティ投資法人にお答えいただきました。
 今後、社会全体で働く場所の多様化が進むであろうなかで、従来型のオフィスに加え、サテライトオフィスや在宅ワークなども普及し、働く場所の選択肢が増えることが考えられます。ただ、働く場所が多様化しても、オフィスの重要性が低下するわけではないでしょう。実際、コロナ禍を経て、社内・社外とのコミュニケーションやコラボレーションの場としてのオフィスの重要性が再認識されつつあります。
 コロナ禍を踏まえ、オフィスビルに対しては、立地やスペックのみならず、感染症予防やBCP(事業継続計画)対策などへの対応が可能かといった新たな評価軸も加えられるようになっています。本投資法人は今後もハイクオリティー物件への厳選投資を継続し、テナントの多様なニーズに対応できるよう、ポートフォリオのますますの充実化を図ります。
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オリックス不動産投資法人
稼働率維持を優先する戦略で
Withコロナでも投資主価値守る
オリックス・アセットマネジメント 財務IR部長 田中 卓 氏

オリックス・アセットマネジメント
財務IR部長
田中 卓

本投資法人は、2002年6月に上場した総合型リートです。現在、東京の中規模オフィスを中心に全国に113物件、資産規模にして約6,889億円を保有しています。
 21年4月現在、ポートフォリオのうち、オフィスが占める割合は全体の55.1%です。ほか、商業施設が15.5%、住宅が10.2%、物流施設が5.4%、ホテルなどが13.7%を占めています。エリア別にみると、全物件の69%が首都圏に立地しています。
 昨年来、コロナ禍の中で、テナントへの支援としての賃料減額などを実施してきました。しかし足元では、ワクチン接種などによる市場環境の回復の兆しが見え始めています。一口当たり分配金も、ホテルの業績回復などによって今期(2021年8月期)で底を打ち、来期以降少しずつ回復基調に乗る想定です。
 オフィスに関しては、賃料増額率の鈍化傾向はあるものの、テナント入れ替え時と賃料更改時の増額は継続的に達成できています。テレワークの普及が懸念材料となるとの見方もありますが、本投資法人の場合、事業所の集約移転や賃料削減などが退去理由の約6割を占め、テレワークを理由とする退去は12%と限定的です。我々の主要投資対象である中規模オフィスのテナントには中小事業者が多く、テレワーク化が進んでいないなどの背景が推察されます。また退去があっても、テナント入れ替えによる埋め戻しも実行できており、今後も96%程度の稼働率が維持できる見通しです。新規入居テナントの業種としては、コロナ禍の影響をあまり受けていないITを中心とするサービス業が多い傾向が見受けられます。
 今後の収益回復をけん引すると期待できるのがホテルです。現在保有している10物件のうち2物件は東京と大阪の大規模テーマパークのオフィシャルホテルであり、来期(22年2月期)にはワクチン普及効果や各テーマパークの新エリア開業などによる業績回復が見込めます。
 今後も市場環境に慎重に目を配りながら、外部・内部成長機会を追求していきます。特にオフィスに関しては引き続き賃料増額交渉を行いながら、稼働率維持にも配慮した運用を行います。今後の感染状況によっては、都市型商業施設の運用に大きな影響が出る可能性がありますが、稼働率の維持を優先して柔軟なリーシングを推進し、空室の長期化を回避します。
 短期的にはコロナ対応が最優先ですが、将来の成長ポテンシャルを担保するための施策として、現在、気候変動への取り組みに注力しています。昨年度には、環境省による「令和2年度TCFDに沿った気候リスク・機会のシナリオ分析事業」に選出され、将来の物件運営における気候変動対策のコストや、それによって生じるメリットなどを分析しました。ここで得た知見を基にAfterコロナを見据えた長期的な成長戦略を構築してまいります。

オリックス不動産投資法人についてオリックス不動産投資法人について
Q&A
Q
コロナ禍による緊急事態宣言が長引いた場合、各アセットにはどのような影響があるでしょうか。
A
―オリックス不動産投資法人にお答えいただきました。
 本投資法人の保有物件の中でも、人流抑制の影響が出やすいのが都市型商業とホテルであり、営業自粛が長引くほど業績の回復が遅れるでしょう。また、緊急事態宣言があまりにも長引くと、景気が低迷する可能性があります。そうなればオフィスや住宅の稼働率、収益にも影響が及んでくるかもしれません。どんな対策を講じるべきか、なかなか難しいところですが、戦略として稼働率の維持を優先します。空室の長期化を回避するため、一時的に賃料が下がったとしても、テナントに入居してもらうことを第一に考えた運用を行ってまいります。
Q
気候変動対策の重要性が高まっていますが、投資法人として、どのような取り組みを行いますか。
A
―オリックス不動産投資法人にお答えいただきました。
 気候変動対策は中長期で取り組むべき課題と位置付けています。現時点で考えられる具体的な取り組みとしては、物件の照明をLEDに変えることによる電力消費量抑制と温暖化ガス(CO2)削減です。また、環境意識の高まりによって、環境性能の優れた物件が賃料で優位になる可能性がありますから、物件の環境性能を示す第三者認証の取得も検討しています。こうした取り組みを継続するには当然コストもかかります。試算によれば、気候変動対応のための取り組みにかかるコストは1期あたりおおよそ9,000万円。なるべく分配金に影響が出ないように内部留保から捻出する方針です。
  • タカラレーベン・インフラ投資法人
  • 日本プライムリアルティ投資法人
  • オリックス不動産投資法人
●本コンテンツは情報提供を目的としており、特定の金融商品の推奨や投資勧誘を意図するものではありません。購入や投資をされる場合は、ご自身の判断と責任で行ってください。
●講演資料はセミナー開催時点のものとなります。最新の情報は各投資法人のHPなどをご確認ください。