J-REIT Infrastructure Fund Forum

低金利時代の資産形成手段として魅力的な水準維持するJリートとインフラファンド 低金利時代の資産形成手段として魅力的な水準維持するJリートとインフラファンド
低金利環境下の資金形成手段として、一考の価値がある金融商品がJリートとインフラファンドだ。株や国債を上回る利回りを堅持する上に、投資対象が不動産やインフラ資産であるため収益も安定しており、投資初心者でも挑戦しやすい。運用はプロの手に任せられるので手間がかからない点も魅力だ。新型コロナウイルスショック時には、東証リート指数が一時的に急落する場面もあったが、その後は持ち直し、現在では節目の2000ポイント台に回復した。インフラファンド市場におけるコロナショックの影響は極めて限定的で、景気に影響されにくい金融商品の強みをあらためて印象付けた。11月25日に開催された「日経Jリート・インフラファンドWEBセミナー(主催:日本経済新聞社イベント・企画ユニット)」には、リート2法人とインフラファンド1法人が登壇、投資戦略や独自の強みなどを投資家に説明した。
基調講演
東京証券取引所
収益の安定性と仕組みのシンプルさが
ほかの金融商品にはない魅力
東京証券取引所 上場推進部 鹿志村 将也 氏

東京証券取引所
上場推進部
鹿志村 将也

東証Jリート市場は2001年9月10日、オフィス系リート2銘柄の上場からスタートしました。21年10月末時点の上場銘柄は61社、時価総額約は約17.3兆円で、東証1部に次ぐ市場規模を誇ります。
 リートの仕組みは、投資主や金融機関から集めた資金で不動産を取得し、賃料収入や売却益などを分配するという非常にシンプルなものです。リートの投資法人の特色は、不動産の管理や開発などは行わずに賃貸事業のみを行うことです。実際の管理や運営は豊富なノウハウを持つ資産運用会社に委託します。投資法人や資産運用会社に対し、資金やノウハウなどの提供を行うのがスポンサーです。収益性の高い新規開発物件の優先交渉権を付与するなど、スポンサーはリートの成長を様々な形で支える存在です。
 リートの魅力は不動産賃料を原資とするからこその収益の安定性です。利回りも高く、10月末時点の平均利回りは3.45%と、株や国債などを上回り、低金利環境下において相対的に魅力的な水準を堅持しています。高い利回りを支えているのは、利益の90%以上を分配すると、法人税が実質免除される制度(導管性要件)です。また、多くの銘柄が一口数万円~数十万円と手の届く価格で投資でき、運用はプロに任せられるので手間もかかりません。全てのJリートが複数不動産を保有していますからリスク分散効果も期待できます。
 リート市場全体を通じ、ESG(環境・社会・企業統治)への取り組みも進んでいます。例えば、不動産セクターのESG配慮を測定する「GRESB」という国際認証を、Jリート61銘柄中55銘柄が取得しています(今年10月末時点)。不動産は中長期的な視野に立った運用が求められるため、リートは、サステナビリティーへの高い意識をもつ傾向にあります。
 国内外の投資家から高く評価されているリートですが、金利や需給バランスなど、様々な要因で価格が変動するリスクがあります。また不動産を投資対象とする以上、地震などの災害による価値棄損リスクも考えられます。各投資法人が発行する目論見書などに目を通し、リスクも理解した上で、慎重に投資判断をすることをおすすめします。
 リートとよく似た金融商品にインフラファンドがあります。その仕組みは、投資主や金融機関から集めた資金で、再生可能エネルギー発電施設などのインフラ資産を取得して運用益を分配するというもの。今年10月末現在、東証インフラファンドには7銘柄が上場しており、平均利回りは5.94%の高水準です。
 インフラファンドのパフォーマンスは景気に左右されにくいので、利回りもおおむね安定的に推移します。加えてJリートと同様、利益の9割以上を分配すると法人税が実質免除となる制度(導管性要件)があることも、利回りを向上させる要因となっています。ただし、インフラファンドにこの制度が適用されるのは上場から20年までですから、注意が必要です。
 また、再生可能エネルギー発電施設でつくられた電力は、FIT制度(固定価格買い取り制度)により、供給開始から一定期間(20年間)は固定価格で買い取られます。このFIT制度もまた、インフラファンドの収益の安定性を支えています。
 多くの投資家の声を受け、昨年4月、東証インフラファンド指数の公表を開始しました。現在、指数はおおむね1000~1200ポイント台で推移しています。インフラファンドを主な投資対象とする投資信託の運用も開始されるなど、インフラファンドに投資する選択肢は今後ますます広がっていくことが期待できます。第1号銘柄の上場から5年と比較的新しい市場であり、現時点の流動性が他の金融市場と比べて低いことがリスクともみなされていますが、今後、徐々に流動性が高まれば利回りも落ち着いた水準に着地するでしょう。
 リスクとしては、導管性要件の適用終了後(上場から20年)や、FIT制度の適用終了(電力の供給開始から20年)後の収益低下の可能性などが挙げられます。FIT制度に関しては、売電価格に一定のプレミアム(補助金)を上乗せするFIP制度への移行が予定されており、官民問わず様々なプレーヤーが活発な議論を繰り広げているところです。今後の動向を注意深く見守りましょう。
 総じて、リートもインフラファンドも、長期的に比較的安定した収益が見込める金融商品であるといえます。株や国債などと併せて保有することで、リスクヘッジ効果を期待できる点も魅力的です。両者共に、全国の証券会社を通じて東証で売買できますから、低金利時代の資産運用手段の一つとして、ぜひご検討ください。

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カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人
世界で活躍するスポンサーの知見を強みに
全国各地で25カ所の太陽光発電所を運営
カナディアン・ソーラー・アセットマネジメント株式会社 代表取締役社長 兼 カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人 執行役員 中村 哲也 氏

カナディアン・ソーラー・
アセットマネジメント株式会社
代表取締役社長 兼
カナディアン・ソーラー・
インフラ投資法人 執行役員
中村 哲也

本投資法人は、2017年10月に東証インフラファンド市場に上場しました。21年10月末現在、全国各地に25カ所の太陽光発電所を保有しており、パネル出力合計は約183メガワットです。取得価格ベースの資産規模は約800億円ですが、むこう2年間で1,000億円規模に到達することを目指しています。
 スポンサーは、太陽光発電事業に関する世界有数の実績とノウハウを有するカナディアン・ソーラーグループです。カナディアン・ソーラーは、01年に太陽光発電パネルのメーカーとして創業。その後着々と事業領域を広げ、現在では太陽光発電パネルの販売から太陽光発電所の開発、さらには管理業務にいたるまで、太陽光発電に関する幅広い事業をグローバルに展開しています。日本における太陽光発電事業の成長性にもいち早く着目し、09年から国内で事業を行っています。
 太陽光発電に関するバリューチェーンを垂直統合モデルでカバーするカナディアン・ソーラーグループによるスポンサーサポートは、本投資法人の強みであり、成長戦略の源泉でもあります。
 上場時のポートフォリオは13物件、合計パネル出力数は73メガワットでしたが、これまでに2度の公募増資を行い、新規物件の取得も積極的に行ってきました。その結果、アンカーアセット(ポートフォリオの軸となる大規模物件)の厚みも増し、エリアや発電量の分散もきいてきました。スポンサーパイプライン物件は日々拡大していますから、今後も徹底したデュー・デリジエンスのもと、投資方針に沿う優良物件を吟味して取得してまいります。
 太陽光発電事業に関するリスクとしては、出力制御による収益低下が挙げられます。本投資法人は、出力制御リスクが比較的高いとされる九州電力管内に複数の発電所を保有していますから、出力制御の影響を極力小さく抑えるため、本年よりオンライン出力制御システムの導入を開始しました。出力を一日単位で制御するのではなく、電力需要がひっ迫したタイミングに絞って制御するシステムです。出力制御の最適化が図れると共に、売電の機会を逃さず補足できる利点があります。今年中には九州の全ての保有施設でオンライン出力制御を導入すべく、工事を進めているところです。
 ESGに関する取り組みにも力を注いでいます。本投資法人の資産運用会社であるカナディアン・ソーラー・アセットマネジメントは、19年8月に、インフラファンドの資産運用会社としては初めて、国連責任投資原則(PRI)に署名しました。また、本年2月には、再生可能エネルギー由来の電力を求める消費者に電力を販売する電力小売り2社と特定卸契約を締結。FIT価格に若干のプレミアムを上乗せして電力を販売しています。
 従来需要側が負担していた託送料金の一部を発電事業者が負担する発電側課金などを含め、現在、再生可能エネルギーの普及を見据え、様々な論点が整理されているところです。発電事業者当事者の声も反映した制度が形成されるよう、我々も積極的に議論の場に参画しています。日々変化する太陽光発電をとりまく動向にも目を配りながら、持続可能な経済社会の構築のため、再生可能エネルギーの普及を目指すという理念を実現すべく、今後も一層力を注いでまいります。

カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人についてカナディアン・ソーラー・インフラ投資法人について
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ヒューリックリート投資法人
安定性を重視する戦略への移行で
コロナ禍の影響を最小限に抑える
ヒューリックリートマネジメント株式会社 代表取締役社長 兼 ヒューリックリート投資法人 執行役員 一寸木 和朗 氏

ヒューリックリートマネジメント
株式会社 代表取締役社長 兼
ヒューリックリート投資法人
執行役員
一寸木 和朗

本投資法人は、立地競争力と収益性に優れた不動産に厳選投資する総合型リートです。
 スポンサーは、1957年に富士銀行(現・みずほ銀行)の店舗ビル管理などを行うために設立された不動産会社であるヒューリックを中核とするヒューリックグループです。銀行店舗の建て替えなどで培ったノウハウを活用し、様々な不動産の開発や管理、仲介事業などを行っています。本投資法人は充実したスポンサーサポートによってハイクオリティーな物件を適切な価格で取得することができ、着実な外部成長を達成できています。
 投資の基本戦略として、ポートフォリオの8割を「東京コマーシャル・プロパティ」(東京および東京近郊の主要都市の駅近エリアのオフィスと商業施設)に投資し、残り2割を「次世代アセット・プラス」(中長期的に安定した収益性が見込まれる有料老人ホームやネットワークセンター、ホテルなど)に投資する方針を掲げています。本年10月末現在に保有する69物件のうち75.5%を「東京コマーシャル・プロパティ」が、24.5%を「次世代アセット・プラス」が占めています。
 「東京コマーシャル・プロパティ」の立地競争力は上場リートのなかでも特に優れた水準にあり、約80%が都心6区に、68.8%が駅徒歩1分以内に立地しています。立地の強さは稼働率や賃料水準にもプラスの影響を与え、本投資法人の内部成長戦略を強力に下支えしています。
 本投資法人ではマーケット環境を適用した投資戦略を行うことで安定した運用を努めております。上場からコロナ禍の前までは収益力向上を重視して「東京コマーシャル・プロパティ」への投資に注力していましたが、コロナ禍では安定性を重視して物件入れ替えを実施。商業施設を売却するなどして「次世代アセット・プラス」の投資比率を高めています。
 直近15期(21年8月期)では、テナントからの賃料の一時減額・支払い猶予などの要望が6件と、20年8月期の79件から大幅に減少しました。オフィスの入退去契約の推移をみても、本年6月ごろを境に解約が減り、新規契約が大きく増加するなど、コロナ禍の影響が一巡したことが伺えます。
 3メガバンクを中心に分散の効いたレンダーフォーメーションを組むなど、財務基盤の安定性も本投資法人の強みであり、JCR(日本格付研究所)からはAA(安定的)の評価を得ています。また、保有物件におけるエネルギー消費量の削減目標を策定するなど、ESGの取り組みも強化しているところです。これらの取り組みが評価され、GRESBで最高ランクの5スターを獲得しています。加えて、ESGに関する優れた取り組みを行う企業を選別する「MSCIジャパンESGセレクトリーダーズ指数」の構成銘柄にも指定されています。これらの外部評価は、本投資法人の資金調達力を向上させ、金融商品としての魅力も一層高めています。
 経済的利益のみならず、社会的利益にも目を配りながら、中長期的な投資主価値の最大化を実現すべく、引き続きスポンサーサポートを生かした外部・内部成長戦略を実行してまいります。

ヒューリックリート投資法人についてヒューリックリート投資法人について
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GLP投資法人
好調な物流市況を強みに物件売却でも
収益をあげ、分配金に還元
GLPジャパン・アドバイザーズ株式会社 代表取締役社長 兼 GLP投資法人 執行役員 三浦 嘉之 氏

GLPジャパン・アドバイザーズ
株式会社 代表取締役社長 兼
GLP投資法人 執行役員
三浦 嘉之

本投資法人は、「先進的物流施設」に投資する物流特化型リートです。本年10月末時点の資産規模は7,880億円と、物流特化型リートの中でも最大級の規模を誇ります。
 スポンサーは、世界各国で物流施設の開発・運営を行うGLPグループです。Eコマースの隆盛などを背景に着実な成長を遂げ、物流事業に関する卓越したノウハウを蓄積しています。
 我々が投資対象とする先進的物流施設とは、進化する物流ニーズに応えられる規模や機能性に加え、広く社会インフラとしての役割も担える先進的機能を兼ね備えた施設のことです。基本的には、延べ床面積10000平米以上の大規模かつ、天井高が5.5メートル以上で床荷重が1.5トン/平米以上の機能的設計がなされた施設を指します。過ごしやすいカフェテリアの設計やソーラーパネルの設置など、施設で働く人の福利厚生や環境などへの配慮も重視しています。
 2021年10月末現在、全国各地に86物件を保有しています。立地エリアは、関東圏が66.2%、関西圏が21.6%、その他が12.2%と、全国各地に分散しています。稼働率は上場来100%に近い水準を堅持。コロナ禍で一層高まる物流需要を背景に、パフォーマンスも非常に好調で、20年1月から21年8月末までの間に、投資口価格が47.6%上昇しました。
 全国の物流施設の空室率は1.3%(21年6月末)と、物流市況の非常に好調です。特に、全国の物流施設のうち、優れた機能性をもつ先進的物流施設が占めるシェアは5.8%(20年末時点)にとどまっていますから、将来にわたり高い成長ポテンシャルが期待できるでしょう。
 保有施設の管理・運営にも、本投資法人ならではの特色があります。私たちは、一般的な管理・運営業務のみならず、最新テクノロジーを駆使したソリューション提供なども行っています。GLPグループのノウハウを結集して行う「アクティブアセットマネジメント」は、内部成長にも大きく貢献しています。実際、上場来18期連続で賃料増額を達成しているほか、最近3年間の賃料の平均上昇率は4.6%の高水準を堅持しています。
 賃料増額などによる内部成長のほか、新規物件取得による外部成長と、不動産市況を踏まえた物件売却の3つが、本投資法人の成長エンジンです。直近8期には、良好な市況を強みに好条件で物件を売却し、売却益を一口当たり分配金に上乗せしました。それにより、期初予想を上回る配当を実現するという成果も上げています。
 物流ニーズの高まりにより、物流施設には社会インフラとしての役割も期待されるようになりました。本投資法人も、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)コンソーシアムに加入するなど、経済的利益のみならず社会的利益にも配慮した事業運営を実践するスタンスを明確化しています。また、災害の際に施設を避難所として使っていただくための協定を立地自治体と締結するなど、地域への貢献にも力を注いでいるところです。本年にはGRESBで物流特化型リートとしてはトップスコアを達成し、最高位である5スターを獲得しました。
 今後も先進的物流施設の運営を軸に、広く社会の期待に応える投資法人であり続けるべく、研鑽を重ねます。

GLP投資法人についてGLP投資法人について
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●講演資料はセミナー開催時点のものとなります。最新の情報は各投資法人のHPなどをご確認ください。