提供:KDDI

DX推進を強力に支援するケイパビリティーを集結

“真のDXパートナー”としてお客さまのデジタル変革を加速
KDDI Digital Divergence Holdings

キービジュアル:藤井氏

藤井 彰人

KDDI Digital
Divergence Holdings株式会社
代表取締役社長

KDDIは2022年5月、デジタルトランスフォーメーション(DX)を専業とする中間持ち株会社「KDDI Digital Divergence Holdings株式会社」(以下 KDH)を設立した。グループには、DX推進に必須となるケイパビリティーを持つ企業群を擁する。なぜKDHの設立に至ったのか。ホールディングス傘下の子会社はどのような役割を持っているのか。KDH代表取締役社長に就任した藤井彰人氏に話を聞いた。

日本企業は、DXの内製化を推進する人材が
不足している

写真:藤井氏

KDDI Digital Divergence Holdings株式会社
代表取締役社長
藤井 彰人

―― 経済産業省が18年に「DXレポート」を発表してから、多くの企業がDXの取り組みを推進しています。日本企業のDX推進にはどのような課題があり、どう解決すべきだとお考えですか。

藤井 DXを実現するための課題は各社それぞれだとは思いますが、企業が取り組むべき指針を示した経済産業省のDXレポートは、とてもよく整理されていて、またアップデートされていると感じています。例えば、21年版の「DXレポート2.1」では日本企業が直面する3つのジレンマ(危機感のジレンマ、人材育成のジレンマ、ビジネスのジレンマ)や解決すべき課題が議論されており、私がKDDIの法人事業部門で商品企画開発を担当していたなかで感じていた課題意識とも合致しています。

 こうしたジレンマや課題を解消するためには、DXの内製化が重要な取り組みの一つとなります。しかし多くの日本企業においては、内製化を推進しそれを実現する優秀なデジタル人材を雇用するのが難しいのが実情です。そこでパートナーであるIT(情報技術)ベンダー企業に頼るわけですが、発注側のユーザー企業と受注側のパートナー企業はレポートで指摘されるような「低位安定の関係※1」に陥ってしまうケースが多く、本来であればデジタル技術を活用した新たなチャレンジが必要なのにそれを実行できていないのです。このITベンダー企業との「低位安定の関係」をどのように解消していくかというところに日本企業のDX推進のポイントがあると考えています。

 こうした課題を解決するには、パートナー企業がともに新たな高みを目指し、ユーザー企業が進める内製化の取り組みを、専門性の高いITベンダー企業が共創パートナーとなって支援していくという関係を築くことが大切です。ユーザー企業はさらに、DXを推進するITリソースを内製化して活用していくために、ベンダー企業が適切なパートナーとして伴走してくれるかを見極めることがポイントになります。

※1 発注側のユーザー企業はパートナー企業に丸投げで目先のコスト削減を図り、パートナー企業は人月単価方式と多重下請け構造をベースに、低利益かつ低リスクで仕事を受託すること。

―― KDHの設立に至るまでの経緯や設立趣旨を教えてください。

藤井 DXの推進には、詳細に計画しそれを正確に実行するような取り組みではなく、顧客や市場の変化にデータとデジタル技術を活用して対応し、仮説検証を繰り返す取り組みが必要です。企業を取り巻くビジネス環境の変化に即応できるように、「適応型のIT」―― すなわちクラウド、アジャイル開発※2、DevOps(デブオプス)※3といった技術要素・手法を活用することで新しいサービスを開発していく必要があります。KDDIは、以前から適応型ITを提供するグループ各社と、弊社法人事業部門が協業しながらソリューションを提供してきましたが、お客さまのDX、あるいは社会のデジタル変革をさらに強力に支援していくには、とくにグループ各社間の連携を強化・加速させる必要があると考えました。これが、KDDIグループ内の中間持株会社であるKDHの設立に至った経緯です。

 KDHを設立するにあたり「お客さまの真のDXパートナーとなり、社会のデジタル変革を加速するために、多彩なグループ各社のさらなる成長を促し、かつ多様なグループ内外企業との連携を加速させ、トータルなDX支援と価値創出を実現する」という趣旨を掲げました。また、KDH傘下のグループ各社で働く全従業員やデジタル技術者が物心両面の幸福を追求し、「やりがい、生きがい」のあるWell-Being(ウェルビーイング)※4な企業グループを目指すという決意表明も行いました。

  • ※2:システム開発手法の一つで、「計画→設計→実装→テスト」といった開発工程を、小さいサイクルで繰り返していく。仕様変更に強く、サービス開始までの時間を短縮できる。
  • ※3:開発(Development)と運用(Operations)を組み合わせた混成語で、開発担当者と運用担当者が密に連携した開発手法。
  • ※4:直訳すると「幸福」「健康」。肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあること。

変化に即応できる「適応型IT」への移行を支援

―― KDHの傘下にはどのような事業会社が存在し、それぞれどのような役割の業務に取り組んでいますか。各事業会社それぞれの業務内容・役割分担をご紹介ください。

藤井 KDHの傘下には現在、従来のKDDIグループ会社が3社とKDHの設立に伴ってKDDI本体から独立分社化した1社があります。

 まず紹介したいのが、17年にKDDIグループ入りしたアイレットです。同社はクラウド環境のインフラ設計・構築、保守運用を中心にビジネスを展開するシステムインテグレーターです。AWS(Amazon Web Services)で言えば、延べ2,500以上(22年12月現在)の資格を保有しています。もちろんAWSに限らず、Google CloudやMicrosoft Azureなども含めたマルチクラウドに幅広く対応しています。

 次に、KDDIウェブコミュニケーションズという会社があります。こちらはクラウドホスティングサービスを中心に、スモールビジネス向けのホームページ作成サービス、クラウド電話APIサービスなどのプラットフォームビジネスを展開しています。

 もう一つは、KDDIと米国Scrum Inc.が合弁で設立したScrum Inc. Japanです。同社はアジャイル開発手法で最もメジャーな「スクラム」のコンサルティングやコーチングを担当しています。システム開発だけでなく企業経営にアジャイル手法を取り入れた支援を行っているところに同社の特長があります。

 そして、KDHの設立と同時に発足したのがKDDIアジャイル開発センターです。21年度まではKDDI本体のアジャイル開発センターとして機能していた部門をスピンアウトすることで独立させた新会社であり、約9年にわたる豊富なアジャイル開発実績を有しています。

図1:DX支援事業を展開する事業会社を統括するKDDI Digital Divergence Holdings(KDH)

DX支援事業を展開する事業会社を統括するKDDI Digital Divergence Holdings(KDH)

―― KDH傘下の事業会社同士、さらにKDDIソリューション事業本部や外部企業が協業することで、お客さま企業にどのような価値を提供できるのでしょうか。

藤井 KDHの社名にある「Divergence」にはこだわりをもっています。グループ各社がもつ専門性を一つにConvergence(収束)させるのではなく、“さまざまな専門性をもつ事業会社がそれぞれに発散、発展させていく”という意味を込めています。しかしながら各社がそれぞれ別個に事業を展開するだけでは、お客さまのDXをトータルにサポートすることができません。そこでグループ会社間、およびKDDI本体のDX推進本部との効果的な連携を実現し、外部企業との事業提携を拡大してトータルなDX支援能力を最大化していくことが、KDHが果たすべき役割です。

 例えば、Scrum Inc. Japanが育成を支援したお客さまのDX人材がソフトウエア開発に取り組むときに、KDDIアジャイル開発センターがお客さまとワンチームを組んで内製化をサポートし、それをクラウド環境に実装する段階ではアイレットのクラウドエンジニアが支援にあたるというように、お客さまのDX推進をトータルでご支援できます。各社の担当領域には重なる部分があるものの、それらを超えて連携し補完し合あうことで、これまでにない価値をお客さまに提供できると考えています。

バリューチェーンを強化し、KDDIグループ全体のDX事業を発展させる

―― KDHグループの設立によって動き始めた事例や施策をご紹介ください。

藤井 上述したようなグループ各社が連携しながらお客さまのDXを一貫して支援するという取り組み事例が本格化していくのはこれからですが、個別のお客さまとして一つご紹介したいのは、国産MA(マーケティングオートメーション)ツールを提供するSATORI様の事例です。同社はScrum Inc. Japanのアジャイル開発フレームワーク「Scrum@Scale」を取り入れ、ソフトウエア開発だけでなく営業部門や管理部門を含めた会社全体をアジャイル型組織へとつくり変えました。これにより迅速な意思決定、お客さま起点の自律的な組織連携も可能になるなど、同社の成長を加速させる大きな効果が得られています。

 また、KDHグループ内で始まったユニークな取り組みの一つが、オフィスシェアリングです。KDDIウェブコミュニケーションズでは、東京本社オフィスに併設して、シェアオフィスの機能性とラウンジの居心地のよさを併せ持つ空間「SHARE LOUNGE 外苑前」と、五感を刺激する新たな体験を生み出すイベントスペース「FLAT BASE」をオープンさせるとともに、全国各地に分散してオンラインで働くというワークスタイルを積極的に実践しています。各地に地方在住のエンジニアが活躍できる開発拠点となるオフィスを順次開設していく予定で、各社の拠点も活用し、オフィスシェアリングを進めていこうと考えています。

―― 藤井社長は今後、KDHグループをどのように発展させていこうとお考えですか。

藤井 KDHの経営メンバーはKDDIとグループ各社の経営層で構成されており、各社のさまざまな活動を常に共有していくことを重視しています。また、グループ各社のエンジニアがコミュニティーをつくり、そこで勉強会やハッカソン※5による人財の交流が盛んに行われるようになってきました。各社にはそれぞれ得意な領域の技術力を磨いてもらいながら、グループ各社が横連携できる組織を構築し、KDDI本体も含めたグループ全体でDX支援事業をさらに発展させていきたいと考えています。

 また、優れた技術やスキルをもつ外部企業に対しては、「グループに加わればさらに活躍の場が広がる」ことを理解していただき、仲間に加わっていただく活動も進めていく計画です。上流工程(初期段階におけるシステム構想や要件定義、開発計画・設計など)のコンサルティングサービスを展開するパートナーや特定領域(データプラットフォーム、AI(人工知能)、ロボティクス、IoTなど)で優れた技術を持つパートナーに加わってもらうことで、バリューチェーン全体の強化を目指していきます。

―― 本日はありがとうございました。

※5 ハック(Hack)とマラソン(Marathon)を組み合わせた混成語。ITエンジニアやデザイナーなどが集まってチームを作り、特定のテーマに対して決められた期間内でアプリケーションやサービスを開発し、その成果を競い合うイベント。

図2:テクノロジー企業やバリューチェーンの強化につながる企業との連携

テクノロジー企業やバリューチェーンの強化につながる企業との連携

写真:藤井氏

KDDI SUMMIT 2023

終了しました。ご参加いただいた皆様ありがとうございました。上記バナー遷移先では当日実施したセッションの動画を公開中です。是非ご覧ください。

本イベントでは、『「つなぐチカラ」を進化させ、誰もが思いを実現できる社会をつくる』をテーマに、KDDIがパートナーと取り組んでいる社会課題の解決事例等を紹介しています。

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