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KDDI虎ノ門トライアングルの“本丸” 現場に立ち、ともに考える「ビジネスデザイン本部」はじまる

那谷 雅敏

KDDI株式会社
執行役員
ソリューション事業本部
ビジネスデザイン本部長

ニューノーマル時代に向けて、デジタル改革により新しいビジネス創出を目指そうという機運が高まっている。それに伴い、企業がパートナーに期待する役割も大きく変わりつつある。従来のような個別の課題解決にとどまらず、自社のビジネスを把握して課題をともに探索し事業を成長に導く、そのような共創パートナーがいま求められているのだ。KDDIは法人営業部門の組織体制を見直し「ビジネスデザイン本部」へと名称も改めた。新たなスタートを切った同本部を発足させた狙いと、顧客企業にもたらす価値、実際の取り組み事例について、KDDI 執行役員 ソリューション事業本部 ビジネスデザイン本部長の那谷雅敏氏に聞いた。

お客さまのビジネスをデザインする

写真:那谷 雅敏氏

KDDI株式会社
執行役員
ソリューション事業本部 ビジネスデザイン本部長
那谷 雅敏

2021年4月、従来のソリューション営業本部を改組して「ビジネスデザイン本部」が始動しました。どのような理由からでしょうか。

那谷 2011年に旧・ソリューション営業本部が発足してから、今年で10年が経ちました。この間、私たちは「通信サービス」を提供することを主眼にネットワークやモバイルを多くのお客さまにご利用いただいてきました。通信が劇的に変化したことで、スマートフォンの普及が加速し、オフィスのネットワークもビジネス変化に即応できる環境が求められるなか、どちらかといえばプロダクトアウト的な販売をしてきました。しかしDX時代には、このプロダクトアウトの販売手法に加え、さらにお客さまの課題解決に真摯に向き合い、「お客さまのビジネス」を一緒に創っていくパートナーでありたいと強く思うようになりました。これまで、本部の名称にあった「営業」はお客さまから見れば「売り込み」と捉えられるケースもあり、それを改め「パートナー」に重点を置こうと考えたのです。

 この4月からの「ビジネスデザイン本部」という名称には、「能動的にお客さまの現場に足を運び、ともに課題を探索し事業成長に貢献する」すなわち、「お客さまのビジネスをデザインする」という意味を込めています。同時に、これまで別本部だった「グローバルICT本部」も仲間に加わり、国内・海外の営業を一体化する組織改編も行いました。2021年5月時点では、世界57都市、77のKDDIグループ拠点で約150か国を支援、約6000人の体制でお客さまのビジネスをサポートする構成となっています。

KDDIは次世代社会構想「KDDI Accelerate 5.0」を推進する事業拠点「虎ノ門トライアングル」(ビジネスデザイン本部に加え「KDDI DIGITAL GATE」「KDDI research atelier」の3拠点を指す)を設置していますが、このなかでビジネスデザイン本部はどのような役割を担っているのでしょうか。

那谷 「虎ノ門トライアングル」における3拠点の役割分担は明確です。KDDI DIGITAL GATEでは、デザインシンキングの手法を用いて課題を抽出し、アジャイル手法で「課題解決のためのプロトタイプづくり」を短期サイクルで実践します。またKDDI research atelierは、先進テクノロジーの応用研究成果をもとにお客さまの「創造力」を養っていただく場となっています。

 こうした役割のもと、虎ノ門トライアングルの“本丸”として、世界中を縦横無尽に駆け巡りながらお客さまの意思決定を徹底的にサポートしていくことがビジネスデザイン本部の使命です。

事業の現場からお客さまとともに課題を探索

これまでの法人営業部門は、どのような取り組みを行ってきたのでしょうか。

那谷 これまでの取り組みを振り返ると、2015年から2016年にかけて当社の法人ソリューション事業が低迷した時期がありました。この時期、お客さまとの「向き合い方」を改めて考え直すことに着手し、そのなかで出てきたことが、お客さまの本業・現場にしっかりと貢献していく「本業貢献」という言葉です。その本業貢献に向けた変革を2016年度から開始し、当初の2年間は社員の人間力や課題解決力を磨く人財育成を徹底しました。そして2018年度には「本業貢献を全員で!」というスローガンのもと、「お客さまを知る、ともに考える、挑戦を実現する」という取り組みを実行してきました。

 2019年度にはお客さまをさらに理解することを目的に、「いざ、現場に行こう!」というスローガンを立ち上げ、私自身もヘルメットをかぶってお客さまの現場を訪問させていただきました。現場を訪問するなかで気付いたことは、お客さまの経営層の方々も現場の課題に気付いていないことが多いこと、そしてその課題の解決策を当社が提案できるようになっていたことです。これらを進めていくうちに経営層のみなさまと強固な信頼関係を築くことができました。この気付きを経て、翌年度には「いざ、現場へ、その先へ」というスローガンへ発展させました。

図版:ソリューション営業本部のあゆみ

「ビジネスデザイン本部」の沿革

写真:那谷 雅敏氏

ビジネスデザイン本部はこれからどのような取り組みを行っていくのでしょうか。具体的な方針・施策についてお聞かせください。

那谷 2021年度はビジネスデザイン本部への改称と同時に、これまで得た知見をもとに「さあ、お客さまと未来をつくろう」という新しいスローガンを掲げました。従来の社内IT環境に加え、コロナ禍によって働き方が大きく変わっている環境を支援する「コーポレートIT」と、お客さまの事業変革に貢献する「ビジネスIT」の両面に取り組んでいます。

 さらにその先には、お客さまのDX事例を業界・業種全体へ横断的に広げ、国内で得られた知見を海外のお客さまへ提案できる情報共有の仕組みづくりを進めています。

お客さまのパートナーとして、ビジネスデザイン本部にはどのような「強み」があるとお考えですか。

那谷 「お客さまを知る力」と「課題解決ができる力」の2つです。大切なのはお客さまと向き合うことのできる社員一人一人だと思います。

 当社は通信事業者ですので、手段となるモバイル、固定ネットワーク、IoT、衛星といった「通信をいかにお客さまの事業に溶け込ませるか」という能力を持っています。またメーカーではないため、適材を選択し組み合わせ提案できることも当社の強みだと思います。加えてKDDIグループ全体のアセットを用いて、課題解決をしていけるのは「お客さまと真摯に向き合える社員」がいるからです。

国内と海外の担当者がワンチームで企業を支援

お客さまの事業成長を支援する実際の取り組み例についてお聞かせください。国内と海外の営業部門が連携したグローバルの事例などはありますか。

那谷 国内と海外の営業部門を一体化したことによる好例として、グローバルで事業を展開する製造業A社様の事例があります。事の発端は、KDDIの国内営業担当者が同社欧州オフィス移転計画の話を聞いたことでした。担当者はすぐさま欧州にある当社営業拠点へ連絡をしました。国内と欧州の営業担当者がワンチームで対応し、移転候補地の選定から通信環境の整備まで、オフィス移転プロジェクト全体を一貫して受注しました。A社様へ進捗を事細かに報告しながらプロジェクトを推進し、プロジェクトマネジメント体制と現場対応力を高く評価いただくことができました。さらに、この欧州でのプロジェクトをきっかけに、アジアのプロジェクトなどさまざまな案件のお声がけをいただいております。

ほかにも国内事例がありましたら、ご紹介ください。

那谷 国内の取り組みとしては、まぐろはえ縄漁船で遠洋まぐろ漁業を営む臼福本店様の事例です。宮城県気仙沼市を本拠地に全世界を航海し、大西洋アイルランド沖まで操業します。いったん出港すれば10カ月は戻ってこないそうです。乗組員の方々は狭い船内でその期間暮らすことになります。しかも通信環境は船の位置を知らせる通信やパソコンのメールのみ。その環境を変えたいと立ち上がった臼井社長は、船内のデザイン変更と衛星通信による船内WiFi化を考案し、当社で実現に向けてお手伝いしました。船員の方々は携帯電話で家族との動画コミュニケーションができるようになり、またマグロ漁の様子も配信できると大変喜んでもらえています。いまでは、臼井社長のもとに外国人船員から乗船依頼が殺到しているそうです。これも「海の働き方改革」ではないでしょうか。

写真:臼福本店様の事例

「漁船の概念を覆し、若者が集まりやすい船を造りたい」―― 遠洋まぐろ漁業を営む臼福本店の現場の声を実現するために、KDDIは通信衛星による船陸間の高速インターネット通信を新造のまぐろはえ縄漁船「第一昭福丸」に導入した。

動画事例サイト
KDDI X Passionにて公開中

写真:臼福本店様の事例

 もうひとつは、大成建設グループの道路舗装を手がける大成ロテック様の事例があります。同社は道路工事で使用するアスファルトなど合材製品の製造・販売を行っている会社です。これまで受発注の管理は電話などに頼っていましたが、アスファルトは材料の性質上、使用する時間直前に出荷しないと現場に着く前に固まってしまうため、工事が行われる深夜や休日には工場で人の待機が必要でした。そこでアスファルトの必要量をクラウド上で一元管理し、モバイル端末上のアプリで見られるシステムを開発しました。現場の負担や受発注の無駄を大きく改善できたと好評をいただいています。

「通信」に縛られない

漁業や道路舗装会社の事例が他の業種の参考になることもありそうですね。

那谷 はい。DX事例の共有がより円滑に進むように、当社では、「KDDI X Passion(クロス・パッション)」 というポータルサイトを立ち上げました。このサイトでは、KDDIがお客さまの現場目線で取り組んださまざまな事例を動画で紹介し、通信を活用した事業成長のヒントを感じ取ってもらうことを目指しています。

今後、ビジネスデザイン本部をどのように発展させていきたいとお考えですか。

那谷 通信事業者としての「通信サービス」を強みとして、DXを推進していきたいと考えています。データドリブンで経営する時代にデータを収集するには通信が欠かせないからです。そのためには「あらゆるものに通信が溶け込む時代」を目指し、お客さまの事業に貢献することで、われわれの本部も成長できると確信しています。さらに言えば、DXをより多くの業界・業種に展開することがわれわれの使命だと考えています。

 お客さまにご理解いただきたいのは、DXは目的ではなく手段であるということです。DXは経営者の方々とともに進めていくものですが、成功に導くには現場若手リーダーの意見を聞くことや、社内に知見を蓄積していくことが大切です。われわれはお客さまのDXがスムーズに進められるよう、ずっと寄り添っていきたいと思います。

写真:三井物産

三井物産は新本社移転にあたり、新たな職場体験の在り方を考える”Work-Xプロジェクト”を始動し、自ら場所を選び生産性を高める“Activity Based Working”コンセプトを支える自由度の高いデジタルインフラを導入。KDDIはCisco DNA技術(※)を活用した新たなオフィスネットワーク整備を強力に支援した。

動画事例サイトKDDI X Passionにて公開中

(※) Cisco DNA (Digital Network Architecture)は、自動化、仮想化、機械学習などの先進的な手法をエンタープライズネットワーク全体に適用して、安全性と俊敏性、確実性を大きく高め、ビジネスの変化に柔軟に対応できるようにネットワーク基盤そのものの変革を実現するプラットフォーム。

写真:デンソーテン

安心・安全なモビリティー社会の実現に向けた研究開発に取り組むデンソーテン。KDDIは自動運転の研究開発拠点「Global R&D Tokyo, Haneda」のテストコースに5G通信環境を整備し、車両周辺を効率よく把握できるシステムの検証を進めている。

動画事例サイトKDDI X Passionにて公開中

(※)Cisco DNA (Digital Network Architecture)は、自動化、仮想化、機械学習などの先進的な手法をエンタープライズネットワーク全体に適用して、安全性と俊敏性、確実性を大きく高め、ビジネスの変化に柔軟に対応できるようにネットワーク基盤そのものの変革を実現するプラットフォーム。

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