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新たなライフスタイルを提案する応用研究拠点が誕生 未来社会の創造を目指す共創の場「KDDI research atelier」

2020年12月、KDDIグループの新しい調査・応用研究拠点が東京・虎ノ門にオープンした。ニューノーマル時代における新たなライフスタイルを提案・実証する「KDDI research atelier」(リサーチアトリエ)だ。生活者一人ひとりに最適化されたライフスタイルの実現を目指し、国内外の企業、スタートアップ企業、および生活者との“共創の場”として調査・応用研究に取り組むという。開設の経緯と今後の取り組みについて、KDDI research atelier センター長を務めるKDDI総合研究所 副所長の木村 寛明氏に聞いた。

KDDIが掲げる次世代社会構想 「KDDI Accelerate 5.0」

写真:株式会社KDDI総合研究所 木村 寛明氏

株式会社KDDI総合研究所
取締役執行役員副所長
KDDI research atelier センター長
木村 寛明

 長期化するコロナ禍の影響により、テレワークやオンライン授業が常態化し、インターネット通販が急伸するなど、日本社会における生活者のライフスタイルは大きく変容した。そうした変化を支えるIT基盤の重要性が再認識され、日本政府が提唱したサイバー(仮想)とフィジカル(現実)の高度な融合により経済発展と社会課題解決を両立させる未来社会のコンセプト「Society 5.0」においても、改めて注目されるようになった。

 KDDIとKDDI総合研究所は2020年8月、10年後の2030年を見据えた次世代社会構想「KDDI Accelerate 5.0」を策定した。これはKDDIグループが一丸となってネットワーク・プラットフォーム・ビジネスの環境整備とテクノロジーの研究開発を進め、新たなライフスタイルやビジネスモデルを創出してニューノーマル時代に貢献しようというものである。主体的な役割を果たすKDDI総合研究所で副所長を務める木村寛明氏は、KDDI Accelerate 5.0について次のように説明する。

 「コロナ禍に見舞われた現在、世界的には最先端テクノロジーが新しいライフスタイル、ビジネスモデルを実現するという流れが生まれています。そうしたテクノロジーの根幹には5G、あるいはBeyond 5Gと呼ばれる次世代移動通信インフラがあり、通信事業者であるKDDIグループがそれらのテクノロジーをご提供することによって未来社会に貢献できると考えています。KDDI Accelerate 5.0の実現に向け、新しいテクノロジーの研究開発をさらに推進していきます」

 このKDDI Accelerate 5.0という構想を具現化するために、KDDIとKDDI総合研究所が2020年12月に開設したのが「KDDI research atelier」である。

最先端テクノロジーの応用研究拠点として開設

 KDDI research atelierの概要を、木村氏は次のように説明する。

 「KDDI総合研究所は埼玉県ふじみ野市に先端技術研究所を構え、研究開発に取り組んでいます。ここでは、KDDI Accelerate 5.0を支える7分野のテクノロジーとオーケストレーション技術を中心とする基礎研究を行います。KDDI research atelierはその先のライフスタイルやビジネスモデルの中にどのようにテクノロジーを組み込んでいくか、目に見える形にする応用研究拠点です。KDDI総合研究所は今後、KDDI Accelerate 5.0の取り組みをKDDI research atelierでの応用研究と、ふじみ野拠点での先端研究の両輪で推進していきます」

 KDDI research atelierが開設されたのは東京・虎ノ門。ここにはKDDIグループのビジネス開発拠点「KDDI DIGITAL GATE」、KDDI自身が多様な働き方を実践するデジタルトランスフォーメーション(DX)推進拠点である法人部門の虎ノ門オフィスがある。それぞれの連携による相乗効果を期待し、KDDIグループでは虎ノ門エリア3拠点を“虎ノ門トライアングル”と呼んでいる。

 「KDDIの法人部門は企業がいま直面している課題解決、KDDI DIGITAL GATEは新しいビジネスの開発を担当する拠点で、KDDI research atelierはさらにその先の中長期的な視点で社会課題の解決や新しいライフスタイルの提案を行う研究拠点として位置づけています」(木村氏)

図:「虎ノ門トライアングル」各拠点の位置づけ

「虎ノ門トライアングル」各拠点の位置づけ

2030年を見据えた新しいライフスタイルの提案を目指す

写真:KDDI research atelier

 KDDI research atelierには、KDDI総合研究所をはじめとするKDDIグループのR&D部門出身の研究者が80人ほど所属している。オープンして間もないなか、すでにさまざまな研究開発が進められており、施設内には研究開発設備が数多く設置されている。ひときわ目を引くのが、大容量・低遅延の5Gネットワークにより安定的に動作するロボットを活用した「ライフデリバリー」に関する研究開発設備だ。

 「ここでは食品や日用品など日常の買い物にかかる生活者の負担を解消するために、購買プロセスを省力化して余白時間を創出するというライフスタイルの実現を目指した研究開発に取り組んでいます。現在のインターネット通販は商品の写真や説明があるのみですが、この設備ではスマートフォンの高精細映像でリアル店舗の商品棚を見ているような感覚を持ちながら買い物ができます。この研究開発はもともと、少子高齢化や地方の過疎化により“買い物難民”が増えるという日本の社会課題を解決することを目的に、コロナ禍よりも前にスタートしたものです」(木村氏)

 このほか、食事画像の自動解析や遠隔カウンセリングを通じた問診データに基づいて一人ひとりに合わせた生活習慣改善のアドバイスを行う「データヘルス」に関する研究開発、趣味・遊び・スポーツ分野のスキル上達や練習環境を提供するために自由視点技術を用いた動作チェックやアドバイスを行う研究開発などが始まっているという。

 「研究開発のテーマ設定は生活者へのインタビューから始めています。生活者のなかには5年後10年後のあるべき姿をイメージしている人たちがいて、そういう人たちの話のなかには私たちが思い浮かばないようなアイデアやヒントが隠されています。まずはニーズや課題を聞き取り、それを解決するための仮説を立て、そこにテクノロジーを適用していくという順番で新しいライフスタイルの提案につなげています」(木村氏)

図:「KDDI research atelier」のフロアの様子

「KDDI research atelier」のフロアの様子

パートナーとの“共創の場”を目指す

写真:株式会社KDDI総合研究所 木村 寛明氏

 このような応用研究を進める上で欠かせないものが、パートナーとの協業である。KDDI research atelierはKDDI DIGITAL GATEや事業共創プラットフォーム「KDDI ∞ Labo(ムゲンラボ)」といったKDDIグループのアセットを活用しながら、国内外の研究機関や大企業、スタートアップ企業とパートナーシップを組む“共創の場”を目指している。

 「重要なのは生活者に何を共感してもらいたいかということで、具体的には施設内の設備や展示物に共感してもらうのではなく、より中長期的な観点でライフスタイルを変えていきたいという研究者の考え方に共感できる場にしたいと考えています。そのためにはKDDIグループだけが体験価値を提供するのではなく、それぞれ専門分野・得意分野を持った多くのパートナーと一緒にご提供させていただくことで、生活者の方により高い価値をご共感いただけるのではないでしょうか」(木村氏)

 現在、KDDI research atelierでは共同調査・研究・実証につながるパートナーとの接点づくりに注力している。

 「私たちが目指しているのは、生活者のライフスタイルをよりよいものにするための応用研究です。そこに共感していただけるパートナーの皆さまには、ぜひKDDI research atelierにお越しいただきたいです。さらに応援してくれる生活者ともリンクし、改善のサイクルをうまく回していくことが理想的な姿だと考えています」(木村氏)

 多くの企業がDXの推進に取り組んでいるが、木村氏は「DXとは社会のための取り組みであり、最終的には生活者へつながっていきます。業界をまたいでDXを推進することで、社会的・経済的に貢献できるはずです」と話す。KDDI research atelierには、DX実現のその先にあるゴールを目指すための役割を期待したいところだ。

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