スイス時計を目標として1960年にデビューした「グランドセイコー」は、
諏訪精工舎にて製作された。
ではその翌年に、東京生まれのモダンウオッチ
「キングセイコー」がデビューしたことをご存じだろうか?
この傑作は、昨年限定モデルとして復活して大きな話題となり、
今年はついにレギュラー化。さらに第二弾の限定モデルもリリースされる。
そんな話題豊富な「キングセイコー」の知られざる歴史と、時計界に与えた影響に迫りたい。
戦後の東京で生まれた
モダンウオッチ
1950年代後半から60年代にかけて、東京は大きく変貌を遂げた。この頃にその後の右肩上がりの経済を予見させる、現在の東京の基礎をなすものが数多く生まれている。例えば建築なら、1958年開業の東京タワーや、1964年完成の国立代々木競技場など。今もなお東京の象徴として君臨し、世界を魅了する名作が産声を上げた。そんな時代に、東京で誕生したモダンウオッチの代表こそが「キングセイコー」である。
当時のセイコーは、長野・諏訪に本拠地を置く諏訪精工舎と、東京・亀戸に本拠地を置く第二精工舎の二つの工場が切磋琢磨していた。戦後すぐに本格的なメンズウオッチの製造を再開した諏訪精工舎は1960年にグランドセイコーを発表。いち早く世界に通用する高級腕時計の製造に着手する。一方、それに遅れること1年。レディスウオッチの製造で高い評価を得ていた第二精工舎・亀戸工場は、満を持してキングセイコーを世に送り出した。
出自を東京に持つキングセイコーは、江戸の人々に由来する潔いデザインが特徴。ケースは薄型でラグは直線的にデザインされ、針やダイヤルはフラットに仕上げており、端正でモダンな雰囲気があった。“頑張れば手が届く”価格帯とシャープな造形美は瞬く間に東京で働くビジネスパーソンの人気を呼ぶことになる。折しも60年代は時計の輸入自由化が始まり、“日本らしい時計”とは何かを模索した時代。そんな時代の空気と躍進する大都市東京の勢い、そして亀戸工場の技術との奇跡的な融合が、キングセイコーへと結びついたのである。

復刻デザイン第二弾「SDKA003」は、オリジナルにはないシャンパンシルバー色のダイヤルを用い、針やインデックスはゴールドカラーで華やかにまとめた。(SDKA003)
モダンウオッチの傑作
「KSK」が現代に蘇った
1961年にデビューしたキングセイコーだが、特に1965年に発売された第2世代の「KSK」は時計史に残る傑作である。初代モデルが持つフラットな針やダイヤルはそのままに、ケースのラグを直線的かつ太くすることで、さらにシャープなデザインを強調。防水化され、リューズを引き出すと秒針が停止する秒針規制機構も追加するなど、実用性も格段に進化させた。そしてこのデザインこそが、現代へと繋がる日本のモダンウオッチの始まりとなったのだ。
キングセイコー KSKは、セイコーの創業140周年、そして、キングセイコーの誕生60周年でもある2021年に限定復刻されている。そして2022年、満を持してキングセイコーはレギュラーモデルとして復活を果たした。
ブランドフィロソフィーは「The Newest Classic」。半世紀以上も前に確立した日本におけるモダンウオッチのデザインの原点は、今でも変わらぬ魅力がある。奇しくも現在、60年代の日本のモダニズムデザインは世界中で再評価の渦中にある。柳宗理や剣持勇などがデザインした家具がそうであるように、欧米に学びつつも日本の風土や文化、感性を活かして生まれたスタイルは、時代を超える強さに満ちているのだ。

メタルブレスレットは、60年代にキングセイコーのオプションバンドとして採用されていたフルフラットなデザインをオマージュ。平面はヘアライン仕上げ、斜面にはポリッシュ仕上げを施しており、光を受けるとキラッと光る。(SDKS009)
タイムレスな時計を
現代風に楽しむ
レギュラー化された「キングセイコー」は、KSKのデザインコードを継承している。12時位置のインデックスは、“W”の形状をもつ多面カットでメリハリのある輝きをつくり、天面には“ライターカット”と呼ばれる斜めカットも取り入れた。太いラグの斜面はキレのある稜線を作り出すように研磨されている。ケース径37㎜だが、これはオリジナルの36.7㎜とほとんど同じ。ノンデイトなのも、当時の潔さを意識している。
その一方で現代的な進化もあり、ボックス型の風防はサファイアクリスタルに変更。防水性能も10気圧の日常生活強化防水になった。搭載ムーブメントは、約70時間のパワーリザーブを誇るCal.6R31を採用。これなら金曜日の夜に時計を外しても月曜日の朝まで動き続けるので、ビジネスパーソンにとっては嬉しい性能だ。
ダイヤルのバリエーションは5種で、さらに別売りとして4種のカーフストラップと1種のスエード風合成皮革のストラップと組み合わせて楽しむこともできる。
日本のモダンウオッチの原点となる「キングセイコー」。それは2022年の腕元にふさわしい、タイムレスな時計である。

キングセイコー用のオプションストラップとして、カーフ素材4種(17,600円/税込)とスエード風の合成皮革1種(16,500円/税込)を用意。自分流の組み合わせを楽しみたい。(SDKS005、オプションストラップXSL00119)
東京モダンを具現化した、
限定モデルとレギュラーモデル

キングセイコー
SDKS001
1965年に誕生した「KSK」のダイヤルカラーを継承するシルバーダイヤルモデル。ケースやブレスレットも同トーンでまとめて、クリーンな雰囲気に。オリジナルと同じボックス型の風防ガラスは、硬度が高く透明度が高いサファイアクリスタルガラスに変更。レトロさを残したまま、現代的にアップデートしている。
- キャリバー:
- 6R31
- 駆動方式:
- 自動巻き
- ケースサイズ:
- 37.0㎜
- ケース素材:
- ステンレス
- バンド素材:
- ステンレス
- 防水性能:
- 10気圧防水
198,000円(税込)

キングセイコー
SDKS003
ここ数年、流行の兆しを見せている縦方向のヘアライン仕上げを、メタリックグレー色のダイヤルに取り入れた。光による表情や濃淡の変化がさらにドラマチックになり、モダンな雰囲気も強まっている。小径&ノンデイトのシンプルなデザインだからこそ、ディテールにこだわることで時計をさらに魅力的に表現している。
- キャリバー:
- 6R31
- 駆動方式:
- 自動巻き
- ケースサイズ:
- 37.0㎜
- ケース素材:
- ステンレス
- バンド素材:
- ステンレス
- 防水性能:
- 10気圧防水
198,000円(税込)

キングセイコー
SDKS005
シックな雰囲気のチャコールグレーダイヤルは、シーンやファッションを選ばない汎用性がある。ダイヤル表面にはサンレイ仕上げを施しているので、光の加減によって美しく濃淡を変える。搭載ムーブメントのCal.6R31は、コンパクトなサイズながら約70時間のロングパワーリザーブなので、使い勝手に優れる。
- キャリバー:
- 6R31
- 駆動方式:
- 自動巻き
- ケースサイズ:
- 37.0㎜
- ケース素材:
- ステンレス
- バンド素材:
- ステンレス
- 防水性能:
- 10気圧防水
198,000円(税込)

キングセイコー
SDKS007
ひそかなトレンドカラーであるブラウンは、ビジネスファッションの定番色。温かみのある色合いのため、手元に柔らかなニュアンスを加えてくれるだろう。ファッショナブルに楽しむなら服装はネイビー系がオススメ。イタリアファッションの定番であるネイビー×ブラウンの色合わせで、華やぎのあるスタイルを完成させたい。
- キャリバー:
- 6R31
- 駆動方式:
- 自動巻き
- ケースサイズ:
- 37.0㎜
- ケース素材:
- ステンレス
- バンド素材:
- ステンレス
- 防水性能:
- 10気圧防水
198,000円(税込)

キングセイコー
SDKS009
レギュラーモデルとなったキングセイコーでは、現代の時計の楽しみ方に合わせて、カラーバリエーションも充実。深みのあるレッドは、高級時計でも人気のカラーであり、明るい場所では華やかに、暗所ではダークカラーでシックに見える。カレンダーもないシンプルなデザインが、レトロな味わいを深める。
- キャリバー:
- 6R31
- 駆動方式:
- 自動巻き
- ケースサイズ:
- 37.0㎜
- ケース素材:
- ステンレス
- バンド素材:
- ステンレス
- 防水性能:
- 10気圧防水
198,000円(税込)

キングセイコー
SDKA003
昨年に次いで、キングセイコーKSKの復刻第二弾モデルが誕生。搭載する自社ムーブメントCal.6L35は、現行のセイコー自動巻きムーブメントで最も薄く、ケース厚を11.4㎜に抑えている。ケースバックには、アイコンである「盾」のメダリオンが施され、ストラップのバックルのSeikoロゴもオリジナルを継承する。
- キャリバー:
- 6L35
- 駆動方式:
- 自動巻き
- ケースサイズ:
- 38.1㎜
- ケース素材:
- ステンレス
- バンド素材:
- クロコダイル
- 防水性能:
- 5気圧防水
385,000円(税込)
※全てセイコーブティック、セイコーウオッチサロンのみのお取り扱いです。