提供:キンドリルジャパン株式会社

車 真佐夫

ITのプロとして世の中を変えるきっかけをつくる

Masao Kuruma
三菱自動車工業株式会社
執行役員 CIO グローバルIT本部長

分断されていた組織を
お客さま視点で連携

自動車メーカーである当社は、クルマやサービスを通して社会に貢献するのが役割です。そしてITのプロであり、責任者である私の役割は、ITを活用して当社の本来のよさを世の中に知ってもらうことです。コネクティッドカーなど新しい製品・サービスが生まれている今、その役割は広がりつつあります。

そのために私は社内の改革に取り組んできました。以前は社内の組織にサイロ化の傾向が見られ、バラバラに動きがちでした。商品は公式ホームページで紹介し、販売はディーラー経由、補修部品の扱いは別のグループが手掛け、その間の情報は連携されていなかったのです。

そこでまず、トライアルとしてタイに人員を送り込み、SNSやホームページに登録されたお客さまの情報を、ご承諾をいただいて販売店につなぎ、購入後は保守の履歴を一つのくくりで見えるようにしました。プロセスを一気通貫にする仕組みを作ることで、お客さまから見て「つながっている」サービスを実現したのです。

この経験を通して改めて感じているのは、すべてのモチベーションは「お客さま視点」であるということです。それが組織を動かす力になりました。約2年をかけて準備を進め、周囲を説得してきた結果、他国へ横展開できるナレッジをためる器ができたことで、今では情報連携が行き届き、将来のサービスの広がりにも備えることができるようになりました。

スモールのよさを生かして
ユニークネスを追求

これからはリアルと仮想を融合した「デジタルツイン」が当たり前になります。昔からの慣習である車検制度や自動車税なども変わっていくでしょう。テクノロジーが社会を成長させていくと信じています。

当社は自動車メーカーとしては小さなほうです。それだけに素早く動くことができ、新しいことを始められやすい会社です。これまでもラリーで技術を培ったり、世界で初めて電気自動車を量産したりしてきました。

ITが大きな役割を期待されている今は、ITのプロである私自身が率先して世の中を変えるきっかけをつくっていきたいと考えています。スモールであることのよさを生かしてユニークネスを追求していきます。

私自身は音楽が趣味で日本が世界に誇る「斉藤メソッド」を学び、アマチュアの指揮者として活動してきました。海外では普段一緒に活動していない楽団で指揮棒を振ったりした経験もあります。

そこで大事なのは、誰に何を伝えるのかを明確にしてチームに合ったマネジメントで人を束ねていくことです。指揮者は唯一、音を出さない音楽家です。自動車メーカーにいるITのプロである私は、楽団にいる指揮者と同じです。今後も私にできる役割を果たしていきたいと常に考えています。