東急リバブル「もうひとつの顔」 ノウハウで
土地を活かす
成長する
不動産開発事業

不動産流通業界のけん引役として知られる東急リバブル。実は新築分譲マンションや投資用一棟不動産などの開発を手掛ける「デベロッパー」としての顔を持つ。「総合不動産流通企業」を標榜する同社は、不動産開発事業で顧客のニーズにどう応えようとしているのか。フリーアナウンサーの宇賀なつみ氏が、東急リバブル代表取締役社長の太田陽一氏に話を聞いた。

太田 陽一氏
東急リバブル株式会社
代表取締役社長
太田 陽一

「売る、買う」に第3の選択肢

宇賀:まずは、東急リバブルのこれまでの歩みと事業のあらましについて教えてください。

太田:当社は、東急不動産ホールディングスグループの中核企業の一つです。

東急リバブルは、不動産流通に特化した会社として1972年に誕生しました。それまでは、個人や中小企業が主体だった売買仲介業に大手不動産企業として初めて進出し、以来、変革とチャレンジを続けてきました。

業界の先駆けとなる独自のサービスや新たな事業の創出など常に新しい価値を提供し、不動産流通業界の発展と信頼の向上に貢献してきました。

当社の事業の柱は「売買仲介業」です。それに加えて、「賃貸仲介業」「不動産ソリューション事業」「新築販売受託業」「不動産販売業」を行っております。中でも、「不動産販売業」においては、2013年ごろから「不動産開発事業」に本格的に進出しており、不動産に関わる多様な事業領域をカバーしている「総合不動産流通企業」です。

宇賀:不動産開発事業の具体的な内容を教えてください。

太田:都心の厳選された好立地を中心に、当社が売り主の2つのオリジナルブランドを展開しています。新築分譲マンションの「ルジェンテ」シリーズと、新築投資用一棟不動産の「ウェルスクエア」シリーズです。

宇賀:開発されている物件はどのような特徴があり、どのようなお客様が購入しているのでしょうか。

太田:「ルジェンテ」は、都市部の利便性の高い立地で快適に高品質な生活を送れるような住宅をご提供しています。特に、都心部に通勤する、仕事もプライベートも充実させたいお客様にご評価いただいております。

「ウェルスクエア」のマンションは、賃貸需要の高い駅近のエリアに10~30戸程度の賃貸マンションを開発しています。戸建てを建て直すには広すぎるものの、大きなマンションを建てるほど広くない――そんな土地を最も有効活用できるのが特徴です。個人の富裕層の方や一般法人のお客様に資産保有目的でご購入いただいております。

宇賀:不動産仲介会社が不動産開発事業も展開する例は珍しいのではないでしょうか。なぜ不動産開発事業も手掛けていらっしゃるのか教えてください。

太田:当社は全国の主要都市・駅を中心に約200の店舗を展開し、お客様から日々様々な不動産にまつわるご相談をいただいております。経済・社会情勢、景気や金利の動向、税制改変など、不動産を取り巻く環境は日々複雑化し、単純な「売る」「買う」という方法だけではお客様のお悩みを解決しきれないケースが増えています。そこで単純な売買仲介では解決できないニーズに寄り添った課題解決方法の一つとして、「不動産開発事業」を手掛けており、当社が自らお客様の不動産を購入する、という第3の選択肢をご提案することができます。

宇賀:第3の選択肢のご提案について、具体的に教えてください。

太田:例えば、老朽化が進んでしまったご自宅に対して不安を感じているが、建て替えの資金がない。しかし先祖代々受け継いできたご自宅、土地を「売却」をして手放すことはしたくない。そんなお悩みに対して、「等価交換」の手法をご提案しています。地権者様がご所有の土地に、東急リバブルが建築費用を負担して、お客様と当社の共同事業として新築マンションを建設するスキームです。地権者様は、ご提供された土地と同評価の建物の区分所有権を取得できます。当社のこれまでの開発実績のノウハウと東急不動産ホールディングスのグループ力を活かし、既存建物の解体から、新築マンションの企画設計、施工管理、建物完成後のマンション管理まで、ワンストップでトータルサポートを行います。そのため、地権者様には煩わしい手続きや専門的な知識は一切必要ありません。また、建物の工事費用はすべて当社が負担するため、お客様に建て替え費用のご負担も一切ありません。このようにして当社だからこそ行える「第3の選択肢」によって、お客様のお悩みを解決に導くことができます。

東急リバブルの不動産開発棟数255棟 営業収益の推移とリバブルネットワーク拠点数
宇賀 なつみ氏
フリーアナウンサー
宇賀 なつみ

地域に根ざした不動産開発を

宇賀:お客様の多様なニーズに対応した様々な選択肢を提供されているわけですね。東急リバブルだからこその不動産開発事業の強みは何でしょうか。

太田:最大の強みは「情報力」です。当社の店舗は「地域に密着し、地元の方に親しまれる店づくり」を常に意識し、日々の接客の中で「住まい」に対する様々なニーズをキャッチしています。時代の移り変わりによって「住まい」に対して求められるものは日々変化しています。仲介業を通じてお客様の声に触れる機会が多い当社は、そうした時代の最先端のニーズをいち早くキャッチし、「不動産開発事業」のチャンネルを持っている当社だからこそ、キャッチした最先端のニーズをすぐに当社の開発する「住まい」に反映しご提供することができます。仲介(情報のキャッチ)―開発(住まいづくり)―販売(住まいの提供)をすべて自社で行っているからこそ、随所でニーズをキャッチし、常にアップデートを行うことができる「総合力」が当社の強みです。

例えば、「ウェルスクエア」の物件については、過去にご購入いただいたお客様が再び別の物件をご購入いただくケースも珍しくありません。1件目の物件の質や収益性の高さ、当社の総合力をご評価いただいているからこそだと思います。

宇賀:マンション以外の開発事業の取り組みについてもお聞かせください。

太田:「ウェルスクエア」シリーズでは、賃貸マンションのほかに、事業用オフィスの「ウェルスクエア オフィス」、事業用商業施設「ウェルスクエア プラザ」の開発も推進しています。

近年、特に力を入れているのが「クリニックビル」です。内科や耳鼻咽喉科、小児科など複数の診療科のクリニックと調剤薬局が1つのビル内に入居する形態の医療施設で、コロナ禍をきっかけに2021年以降、合計4棟のクリニックビルを開発しました。

宇賀:なぜクリニックビルに注力されているのでしょうか。

太田:当社の店舗開発の特徴として、銀座や青山のようないわゆるブランド立地での開発はあまり積極的に行っておらず、少し駅から離れた住宅地でもニーズがあるエリアで店舗開発を行っています。駅前や商業立地にはすでにクリニックビルが多数ありますが、実際に皆様がお住まいのご自宅のすぐ近くの「何かあった時にすぐに行ける」クリニックビルの数は少ないと考えています。当社が駅から少し離れた立地にクリニックビルを開発し、その近くにお住まいの方々のよりどころをご提供することで地域貢献ができるという社会的使命も果たしたいと考えております。地域に根ざした当社だからこそ、その地域の特性を把握し、必要とされているサービスを展開できる施設を開発できます。

宇賀:最後に、東急リバブルが目指す将来像についてお聞かせください。

太田:当社は不動産仲介事業を手掛けているからこそ、地域のお客様やお取引いただく企業様から“生”の情報が集まります。そうして川上からくみ上げた“生”の情報から、課題解決の最適解を導き出すのが当社のミッションです。不動産に新たな価値を付けて販売する開発事業も、そうした課題解決策の一つです。より多くのお客様にご提供・ご満足いただけるよう、これからも期待に応える物件づくりを継続していくと共に、さらなる事業の拡充を図っていきたいと思います。

同時に、「地域の創造」や「コミュニティーの形成」にお役に立てる企業でありたいです。地域に密着した不動産仲介事業を行っている当社が魅力的な開発事業を行うことで、そのエリアの居住者が増え、人の流れが変わり、そのエリアの価値が向上する――。不動産ビジネスを通じて、そうした地域の活性化に貢献していきたいです。

宇賀:本日はありがとうございました。

宇賀 なつみ氏、太田 陽一氏
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