加速するカーボンニュートラル
三菱自動車が目指す電動化の未来

~なぜ、今 PHEVなのか。~

OUTLANDER PHEV GOOD DESIGN AWARD 2021年度受賞

OUTLANDER PHEV インテリア

 10月から11月にかけて、英国・グラスゴーにおいて第26回気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)が開催された。各国が地球温暖化ガスの排出量削減目標を表明するなど、カーボンニュートラルに向けた世界の動きはさらに加速している。こうした中、三菱自動車は、新型プラグインハイブリッド車(PHEV)『アウトランダーPHEV』を発売。同社が見据える自動車電動化の未来について、話を聞いた。

黎明期から現在まで
55年にわたる電動化の歴史

 2021年12月16日に発売となった新型アウトランダーPHEVは、三菱自動車の電動化技術を結集した最新モデルだ。PHEVとはコンセントから直接充電できる機能を持つハイブリッド自動車(HV)で、状況に応じて、動力はエンジンとモーター、エネルギーはガソリンと電気を使い分ける。また、蓄電した電気を様々な用途に使用できる給電機能も特徴で、2013年に登場した初代アウトランダーPHEVは、その機能や環境性能から大ヒットを記録。以降、三菱自動車はプラグインハイブリッドのSUVで世界販売台数トップとなっている(※)。

 「当社の電動車の歴史は、1966年の電気自動車(EV)試作1号車まで遡ることができます。長年にわたり様々な試行錯誤を繰り返し、2009年にリチウムイオン電池を用いた世界初の量産EV『アイ・ミーブ(i-MiEV)』を発売。その後の継続的な進化が今回の新型アウトランダーPHEVへとつながりました」。そう語るのは、アイ・ミーブ開発に実験段階から携わり、現在はEV・パワートレイン技術開発本部 EV・パワートレイン先行開発部の担当部長として、同社の電動化技術の最先端にいる半田和功氏だ。
 1994年、入社直後の半田氏が配属されたのは、当時EVの開発を担当していた社員十数人の部署。重い鉛電池を搭載し、航続距離も短い実験車両を見た半田氏は、実用化への道のりは厳しいと感じていた。しかし、2003年リチウムイオン電池を載せたアイ・ミーブの試作車に試乗した際に「これならEVの未来はある」と考えが一気に変わった。その後、業界を超えたバッテリー開発から急速充電器開発などのインフラ整備までを手掛けながら、EV開発を続けていった。

三菱自動車 EV・パワートレイン技術開発本部 EV・パワートレイン先行開発部 担当部長 半田和功氏

三菱自動車
EV・パワートレイン技術開発本部
EV・パワートレイン先行開発部
担当部長
半田和功氏

1994年の入社以降、一貫して電動車開発に取り組む。三菱自動車ならではの走りの楽しさと走破性を備え、家族の笑顔が広がる電動車の開発を目指す。夢はランサーエボリューションとパジェロの電動化。

誰もが笑顔になるEVの魅力
PHEVでさらなる進化

 世界に先駆けて量産化を実現したアイ・ミーブは、EVならではのレスポンスやトルク感、排出ガスゼロで走行できる環境性能、車内空間を犠牲にしない優れたパッケージングなどにより、国内外から高い評価を獲得。以降、EV市場における成功例の1つとなってきた。
 「大きな期待をせずに試乗したお客さまが、コースを一回りしてくると、皆さん笑顔でクルマから降りてくる。EVならではの力強く滑らかな走りや静粛性に驚き、口々に〝もっと乗っていたい〟とおっしゃった。一方で、EVの良さを知った方からは、〝この走りを家族みんなで味わいたい〟〝もっと遠出がしたい〟との声もあった。そこからアウトランダーPHEVの開発がスタートしました」(以降「」内は半田氏)。

 どんな場所へも安心して行ける走破性と冒険心をかきたてるドライビングの楽しさを兼ね備えた三菱自動車のSUV。同社の代名詞ともいえるカテゴリーの電動化は、顧客ニーズに応えるだけでなく、新たなライフスタイルも実現することとなった。
 「大きなクルマの電動化は困難な挑戦でしたが、モーターとエンジンの良さを併せ持つPHEVによって課題を解決しました。EVの最大の不安であったバッテリー切れがなく、EVならではの走りや充電による環境貢献も気軽に体験できる。さらに、電気を持ち運び、取り出せる=給電機能は、キャンプや旅先で電化製品が使えたり、災害時の緊急電源になるなど想像を超えるメリットをもたらしました。今までクルマの基本概念は〝走る、曲がる、止まる〟でしたが、給電機能により〝停まっている時の価値〟という新しい概念が加えられたのです」

美しい地球を次の世代へ
電動化の最適解を
提案し続ける

 2013年の初代アウトランダーPHEVに続き、2020年にはエクリプス クロスPHEVを発売、そして今回、満を持して新型アウトランダーPHEVが登場した。欧州の自動車メーカーがEV開発に大きく舵を切る中、三菱自動車がPHEVを市場に投入するのはなぜだろうか。
 「クルマの未来は電動化にあるという信念は、我々も同じです。しかし、世界に先駆けてEVの実用化に取り組み、ノウハウを蓄積してきた当社だからこそ、お客様のニーズ、技術、エネルギー構成など全体を考えながら、柔軟に最適解を考えたい。資源採掘から製品の廃棄・リサイクルまでの環境負荷を評価するライフサイクルアセスメント(LCA)においては、EVよりPHEVのほうが二酸化炭素(CO2)排出量が少ないという試算もあります。もちろん再生可能エネルギーの利用が進む欧州と、火力発電の比率が高い日本との違いもある。少人数で短距離を走る軽自動車はEV、家族や仲間と遠くまで出かけるSUVはPHEVというように、現実的な視点で脱炭素の最適解を求め続け、適材適所の電動化を推進しています」
 三菱自動車が最適解として新たに提案する新型アウトランダーPHEVの魅力についても聞いた。

 「EVの良さを生かしながらエンジンで補助するという技術において、三菱自動車は一歩進んでいると自負しています。4輪の駆動力・制動力を最適に制御する三菱自動車独自の車両運動統合制御システム『S-AWC』と、フロントモーターと出力の大きなリヤモーターを配置した『ツインモーター4WD』の組み合わせは、非常に相性がいい。どんな道でも意のままに走り抜けます。また、大容量バッテリーと高出力モーターを採用したことで、EV走行での航続距離を大幅に増加し、加速性能も向上。日常生活を〝ずっとEVだけで走りたい〟というお客さまの声にもお応えしました。デザイン面では力強く頼もしいたたずまいと、上質感を目指しました。さらに、環境性能の高いクルマとして、お客さまに満足して乗っていただけるクルマにしたい。社員全員がこだわりを持ち、それが一気に注入されるとこんなにいいクルマになる。皆の思いが詰まった1台です」

 環境に対する意識が大きく変わり、カーボンニュートラルやサステナブルが世界中の人々が目指す目標の1つとなった今。「美しい地球を次の世代へ」つなぐ、三菱自動車の最適解に今後も注目したい。

美しい地球を次の世代へ電動化の最適解を提案し続ける

三菱自動車の電動車への
取り組みと代表的なモデル

世界初の技術や記録を生み出し続け、常に業界の最先端を走ってきたEVの歴史。国際的なラリーを幾度も制覇し、世界としのぎを削ってきた4WDの歴史。三菱自動車が誇る2つの技術の歴史が交わり、新たな未来を積み重ねてきた。

三菱自動車の電動車への取り組みと代表的なモデル

アイ・ミーブ(i-MiEV)

アイ・ミーブ(i-MiEV)

2021年3月に生産を終了した。アイ・ミーブで培ったノウハウは2022年に発売予定の軽自動車EVに継承される。

エクリプス クロスPHEV

エクリプス クロスPHEV

2020年12月にデザインを一新し、新たに先進のPHEVシステムを搭載したクロスオーバーSUV。新型アウトランダーPHEVと同様に、静かで力強く、意のままの走り、あらゆる場面で役立つ給電機能などを備える。サイズ的には一回り小さいSUVモデル。

積み重ねてきた
テクノロジーを凝縮
「威風堂堂」と圧倒的な進化

新型アウトランダーPHEV

新型アウトランダーPHEV

ツインモーター4WDシステムを軸とする「S-AWC」はあらゆる路面状況で安定した力強い走りを提供。三菱自動車独自の「PHEVシステム」の新世代化は、EVらしい力強い加速と滑らかな加速により一層磨きをかけた。また、駆動用バッテリーの大容量/高出力化は日常でのEV走行可能シーンを拡大。SUVとしての基本性能にもこだわりつつ、使いやすさや機能、インテリアの質感も大幅に向上させた。「BOLD STRIDE」をデザインコンセプトに力強さや頼もしさを表現。精悍で堂々としたプロポーションが際立つ。オーナーが自信を持って一歩を踏み出せる、「威風堂堂」とした圧倒的な進化を遂げている。

※2013年1月~2021年3月のSUVボディタイプのPHEV累計販売台数。IHS Markit社燃料タイプ・ボディタイプ別新車販売台数データ及びJATO Dynamics Limited社データに基づく三菱自動車調べ。*IHS Markit社におけるSUVタイプ規定:オフロード・スポーツ等で使用される目的で製造され、4WD駆動(2WD派生車も含む)を搭載し、車両総重量7,500㎏以下のクルマを指す。*JATO Dynamics Limited社におけるSUVタイプ規定:お客様輸送に設計されたオフロード車。セダン車やハッチバック車に対し、4WDを搭載し、車高が高いクルマを指す。

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