
10代の頃は調理師を目指していました。居酒屋やラーメン屋で修行しましたが、「多くの人がゆっくり休む週末になぜ自分は厨房で忙しく働かないといけないのか」と思うようになって辞めてしまいました。その後、出会ったのが建設業界でした。様々な職種間で協力して一つのものを作り上げることは面白く、自分の行動力や営業力次第でいくらでも仕事の領域を広げることができるのがこの仕事の魅力だと思います。
求められるのは「体力」と「最新知識」

建設業で独立して2年後、25歳の時にある現場で大きな損失を出してしまいました。若いうちにうまくいっていたので、「お金なんて簡単に稼げる」と仕事を舐めていたところもあったと思います。社会はそんなに甘くないと痛感しましたし、従業員のためにもここから立て直さなければと腹をくくりました。会社には痛手でしたが、必要な経験だったと思います。
私たちは、健康被害の原因となるアスベストの除去やダイオキシン対策に特化した建設会社です。有害な粉じんが飛散しないように、真夏でも風通しの悪い閉め切った場所で防護服とマスクを身に着けて作業するので、なかなか過酷です。しかし、それも次第に体が慣れていきます。むしろ一番大変なのは、年々変わるアスベスト工事に関する法律や行政への届け出などの煩雑なルールを網羅しなくてはならないことかもしれません。聞かれたことに完璧に答えられるぐらい知識をつけておかなくては専門業者として信頼が得られないので、会社全体で定期的に勉強会を開催して知識を常にアップデートしています。建設業でありながら「力仕事」「体育会系」のようなイメージとは少し異なった側面もあるのです。
私も社員たちも年齢が近く、みんな友達のような感覚で接しています。普段は終日それぞれの現場に出ていてあまり会えないので、週に1度は顔を合わせる機会を設けてコミュニケーションを取っています。つかず離れずの程よい距離感です。私はあまり口うるさいことを言うタイプの社長ではないので、社員たちは無言のプレッシャーを感じているかもしれません。社員たちには自立した立派な職人に成長してほしいと考えているので、基本的に仕事はすべて本人たちの裁量に任せています。以前は私が深夜まで残って一人でこなしていた業務も社員たちに少しずつ振るようになったのですが、「できるようになったな」と成長を感じる度にうれしくなります。今でも私一人でやっていたらと思うとゾッとしますし、社員たちの存在を本当に頼もしく思います。このまま少しずつ退いて、私の代わりに指揮を取ってくれる人が育ったら、新しい事業に挑戦したいと思っています。
建設事業を土台に、新規事業も
せっかく自分で立ち上げた会社ですから、可能な限り挑戦を続けたいと思っています。やってみたいことはたくさんありますし、若い頃から常に「次は何をしようかな」と考えてきました。社員たちも、やりたいことがあるなら挑戦してほしいと思います。建設関連でなくても、自動車販売でも飲食店でも何でも好きなことでいいのです。うちの一事業として立ち上げてもいいですし、独立したいなら応援するつもりです。私が今考えているのは、全国で眠っている別荘やコテージを買い取り、きれいにリフォームして、新型コロナウイルス禍でも人混みを気にせず楽しめる少人数向けのアウトドアやレジャー施設を作ることです。リフォームの際には建設のノウハウも生かすことができます。私自身、旅行やアウトドアが好きなので、このような発想に至ったのかもしれません。成功するかどうかはやってみないと分かりませんが、私が率先して行動しないと従業員たちも後に続くことができないので、ためらうことなく常に新しいことに挑戦し続けたいですね。建設という土台がしっかりしていれば、多少失敗してもすぐに立て直せるはずです。
まだ創業5年目の小さな会社ですが、土台を安定させるためにもまずは新栄建設を「聞いたことあるな」「アスベスト除去の会社だよね」と地域のみなさんに認識されるようになるところから目指したいと思います。新型コロナウイルス禍が収束したら、全国どこにでも足を運び、たくさんの人に出会ってさらにチャンスを広げていきたいですね。
先行きが見えない時代ですから守りに入る人が増えていますが、若者のみなさんにはどうかいろんなことに挑戦してほしいと思います。「自分ならできる」と思い込むことで、力がわいてきます。自分を信じなければ、何事もうまくいきません。成功するためには、失敗の経験も必要です。失敗することを恐れずに一緒にチャレンジしていきましょう。