古橋慶樹
1986年生まれ、福島県出身。学生時代は野球に専念。駒沢大学では野球部主将を経験。大手グループ会社に4年勤務し、人材業界に転職。18年に独立し、グランドバリューをはじめ複数の会社を経営している。また、2022年には介護業界への挑戦、海外での学校設立を進めている。
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※本サイトに掲載している情報は2021年12月 取材時点のものです。

INTERVIEW

今より成長するためには、トライ&エラーを繰り返すしかありません。私は特別な能力もありませんし賢いわけでもないので、数をこなして勝負していくしかないと思っています。「量より質」という人もいるかもしれませんが、質を上げるためにも量が必要です。野球部時代もそうでした。大して数をこなさなくても結果を出せる仲間もいましたが、不器用な私はとにかく誰よりも練習するしかなかったのです。結果が出るまでひたすら続けるのみです。

人を応援することが好き

古橋慶樹

両親は自営業で、兄は弁護士。自分で商売をして身を立てる大人が周りに多かったので、私も独立しようと学生の頃から決めていました。ただ、何がしたいのか分からないまま社会人4年目を迎えていました。そんな時、周囲には自分と同じような悩みを持つ人がたくさんいることに気付きました。人を応援することは好きだったので、それなら仕事のことで悩む人を支えたいと考え、人材業界に飛び込むことに決めたのです。数年で独立し、人材派遣会社を立ち上げました。

ある時、一人のモンゴル出身の青年に出会いました。母国の家族に仕送りをするために日本で頑張りたいと思っていることを打ち明けられ、彼を応援したいと心から思いました。この出会いがきっかけで、外国人をたくさん雇うようになりました。夢や目標を持って来日し、一生懸命働こうとしている彼らの力になれる会社にしていこうと考えました。起業して4年目ですが、人材を集めるための広告は打ったことがありません。日本在住の外国人は強力なネットワークを持っていることが多く、彼らが人を集めてくれるのです。おかげで、「明日、数十人集めてほしいんだけど」というような急な依頼にも応えることができます。彼らの力を借りながら、お客様にとってもスタッフにとっても使い勝手の良い会社でありたいと思っています。

外国人だからという理由で断られてしまうこともあります。残念ですが、気持ちは理解できます。私も以前は言葉も習慣も違う外国人に対して壁を感じていました。外国人スタッフに抵抗がある方には、一度試してもらっています。それで「やっぱり外国人はダメだ」と言われたことはありません。実績を重ねて、認めてもらうことが大事だと思っています。結婚して自分の子どもが生まれた時も「頑張らなくては」と腹をくくりましたが、スタッフが増えた時にも同じことを感じました。彼らにも大事な家族がいます。大変なものを背負ってしまいましたが、その分強くなれましたし会社も成長できていると思います。

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日本と外国の間にある壁を壊したい

もちろん現場でトラブルが起こることもありますし、経営が厳しくなって会社を畳もうと思ったこともありました。しかし、その度にいろんな人に手を差し伸べてもらいました。人には本当に恵まれています。今まで支えてくれた人たちに義を尽くしたい。その思いが私の原動力になっています。人のことも、自分が進む方向のことも、一度決めたらとことん信じ抜きたい。

先日、スタッフが帰国する際に、わざわざ手土産を持って私を訪ね、「社長にあえてよかった。ありがとう。今度は家族を連れてまた日本に来るから紹介させてください」とあいさつしてくれました。本当にありがたいことです。人に喜んでもらえることが何よりのご褒美だと思っています。近い将来、日本人だけでは働き手が不足することは明らかですが、外国人への偏見はまだ根強く残っています。それは日本にとっても良いことではありません。日本と外国の間にある壁を壊していきたいと思います。今後は介護や保育の事業にも参入したいと考えています。海外出身のスタッフたちが日本に気軽に故郷の家族を呼んだり、安心して子どもを育てたりできる環境を作りたいのです。スタッフたちの故郷と日本との距離を少しでも縮められたらいいと思います。やりたいことはまだたくさんあるのですが、私がしたいことはある程度させてもらっています。スタッフたちの夢や目標もどんどんかなえていきたい。起業を志す若者もたくさんいます。今後はそんな人たちのことも後押ししていきます。

私は若い人に意見できるような立場ではありません。ただ、7歳と5歳の娘が「早く大人になりたい」と言うので理由を尋ねると「パパとママが毎日楽しそうだから」と言っていました。振り返ってみれば、一昨年よりも昨年、昨年よりも今年と毎年人生が少しずつ楽しくなっていると感じます。今辛い状況にある人もいるかもしれませんが、それがいつまでも続くことはありません。過去は未来で笑い話にできるということを伝えたいです。

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