- 原祐介
- 1976年生まれ、神奈川県出身。95年に鳶(とび)職として就業し、仕事がない時期もあり収入はバラバラではありましたが、すてきな先輩方との出会いもあり、社会の楽しさを学ぶ。その後2000年に転職しALC施工の技術を学んだ後、自分自身が決めた道を進みたいという思いや、もっと多くのことを経験し楽しく人生を送りたいということもあり、07年に金成として個人で開業をする。そして、09年に遂に法人化を果たす。
- http://kinsei-yokohama.com/
18歳で建設現場に飛び込みました。いろんな人がいますが、私はなるべく敵を作らず笑顔で人に接するように心掛けてきました。仕事ができなくても、一生懸命やれば必ず認めてもらえます。人一倍大きな声であいさつし、みんなが一服している間に分からないことを質問し、誰よりも遅くまで現場に残り、休日返上で技術の腕を磨きました。少しでも早く一人前になって稼げるようになりたかったので、辛くはありませんでした。上達することが楽しくて仕方なかったです。
子供の頃は両親と弟と4人で団地暮らし。あまり裕福ではなかったですが、それなりに幸せだったと思います。中学校は不良が多く、影響を受けてとがっていた時期もありましたが、高校は母の強い勧めで商業科に進学し、真面目に勉強しました。バイクや機械いじりが好きだったので本当は工業科に行きかったのですが、母は私にホワイトカラーになってほしかったそうです。結果的にホワイトカラーとはかけ離れた鳶職の会社に入ったのですが、商業科で学んだことは後の経営にとても役に立っています。
鳶職を志したのは、近くの建設現場を通りかかった時に、高所を軽やかに歩き回る作業員の姿を見てかっこいいなと思ったからです。憧れだけで飛び込みましたが、やはり危険を伴う仕事です。だからこそ、それなりのお給料がもらえるのだと実感しました。それでも、頑張って働いた分だけお金を稼げることが楽しく、夜勤も苦になりませんでした。体が鍛え上げられていくこともうれしかったです。上下関係がシビアで礼儀や社会人としてのルールはしっかり叩き込まれましたが、先輩たちには可愛がってもらい、よく食事に連れて行ってもらいました。
数年働きましたが、仕事がある時期にばらつきがあり、雨で作業が中止になることもしばしばでした。より安定した収入を得るため、先輩の紹介でALC(ネル状の外壁材)施工の会社に転職しました。工事の最後にシートや足場を撤去すると、自分たちが貼った外壁を一面に見渡すことができます。その瞬間はいつも大きな達成感と感動があります。自分が作ったものがずっと形に残ることの喜びを知りました。
7年経験を積み、独立しました。もともと言われた通りに動くよりも自分の裁量で仕事をする方が好きだったので、独立することはずっと頭の中にありました。いろんな人とコミュニケーションを取るのが得意だったおかげか、独立後もお仕事をいただく機会に恵まれました。現場は常に危険と隣り合わせですが、この仕事に携わる者はみんな、いかに良いものを安全に効率良く作り上げるかを追求しながら日々働いています。力仕事ですが、実はこの「追求する」部分が建設業の醍醐味であり、ものづくりの楽しみかもしれません。完成した時やお客様に感謝された時の充実感も味わうことができますし、一つひとつの現場にストーリーを感じられる素晴らしい仕事だと思います。
法人化から13年、私の思いに共感してくれて、思ったことを言い合える貴重な仲間たちに支えられてきました。従業員全員の力で会社が成り立っていると感じています。特に、過酷な現場で汗を流してくれる職人たちには本当に感謝しています。従業員はみんな、恋人や家族を超えうるかけがえのない存在です。良い組織は時間をかけて育むものです。大切なのは人を大切に思う気持ちではないでしょうか。人を思う気持ちがあれば、良いものを作ることができますし、その気持ちを持つ人が集まれば、お互いを思いやれる良い組織になるはずです。そんな仲間を集めて、最強の工事屋集団を作っていきたいと思います。私は積極的にトイレ掃除をします。次の人に気持ちよく使ってほしいからです。そうすると、みんながきれいに使ってくれるのです。ささいなことでも「人のために」と思ってやったことは、広がっていきます。一人ひとりが「ごみを減らそう」とか「人に親切にしよう」と少し心掛けることで、社会はもっと良くなると信じています。私たちの会社からその輪を広げていくことができればいいですね。
便利な時代になって若い人の娯楽や楽しみ方も昔と比べるとずいぶん多様化していますが、できなかったことができるようになる楽しみはいつの時代も変わりません。目的や目標を達成していくのは、楽しいことです。頑張っていれば、神様は必ず見ています。若い人たちには、自分の人生を豊かにしてくれる大切な仲間をたくさん作ることをおすすめします。そして、未来にビジョンを掲げて生きてほしいと思います。共に頑張りましょう。