
私はあまり先のことは考えないようにしています。今までの人生色々なことがありましたし、今も落ち込むこともありますが、先々のことを恐れていたら何もできません。うまく行かなくても、すぐに立ち直るんです。これからも失敗を恐れずに挑戦を続けて、後悔しないように生きていきたいですね。
入れ歯に悩む父のために歯科医師を目指す

MYDENTALCLINICは、私が長年扱ってきた「矯正治療」と「インプラント治療」を得意としています。矯正治療では透明なマウスピースを使っていること、院内にインプラント専用の個室のオペ室があることが特長で、口内の状況を総合的に判断して「矯正」と「インプラント」を並行できることが強みです。開業してまだ半年ですが、インプラントは既に他院の平均の倍の件数を扱っています。日本口腔インプラント学会には令和3年4月27日現在で15,669人の会員がいますが、私はそのうち237人しかいない「指導医」に認定されています。しかも、愛知県にこの指導医は12人しかいません。わざわざ都心部に行かなくても、この名古屋市名東区で質の高い歯科治療が受けられることは、このエリアの皆さんにとってメリットだと思っています。
当クリニックでは、まず患者さんに口内の状態をきちんと説明し、理解してもらった上で治療を始めることを徹底しています。また、先を見据え、考えられる治療法を全てご提案しています。高度で高額な治療は今すぐ受けられなくても、貯金をすればいずれ受けられるかもしれませんが、そもそもその治療法の存在を知らなければ、選択肢として検討すらできないからです。歯科に関する知識を増やしてあげることは、歯科医師の義務だと考えています。そして、当クリニックが提供しているのは「対症療法」ではなく「原因療法」です。トラブルの原因を追究し、それを患者さんに理解してもらった上で治療をすることで、同じトラブルが繰り返されることを防ぎたいからです。仮にそれで最初の治療費が高くついても、長い目で見たら結果的に少ないコストで済みますし、歯を長期的に温存できる可能性が高くなります。
私が歯科医師を目指したのは、糖尿病の父がきっかけです。歯が抜けて無歯顎だったので総入れ歯をしていたのですが、何個つくってもぴったり合う入れ歯に出会えず、とても苦労していました。そこで、「自分が歯科医師になって入れ歯をつくってあげよう」と考え、大学は歯学部で学び、卒業後は歯科医院で矯正治療と一般治療を学びました。残念ながら父は私が20歳のときに他界したので、最高の入れ歯を贈ることはできませんでしたが、父のように入れ歯で苦労している人たちを救いたいと、本格的にインプラントを扱うことにしたのです。国内はもちろん、ハーバード大学でも本場の技術を学びました。日本で有名なインプラントのエキスパートに出会い共に働く中で、最高の技術や知識、指導医としての心構えも学んでいきました。
経営者になっても医療人の思いを貫く
長年の勤務医生活を経て、2021年、地元名古屋に当クリニックを開院しました。55歳にして初めて経営者の立場になりましたが、そこで感じるのは診療報酬の数字と向き合うことの難しさです。勤務医時代は医療人として患者さんに向き合っていればよかったですが、経営者になった今は営業マンにもならなくてはなりません。経営者と歯科医師二つの立場に葛藤しながらも、患者さんを思う気持ちは変わらず持ち続けているつもりです。長年の勤務医経験からスタッフの気持ちもよく分かるので、できるだけスタッフとコミュニケーションを取り、皆が気持ちよく働けるクリニックを目指しています。毎日誰よりも早く出勤してエアコンを入れ、元気なあいさつで迎えるようにしています。
医療は日進月歩。歯科も例外ではありません。これからも質の高い歯科治療を提供できるように、常に海外にも目を向けて情報収集し、最新のトレンドやそのエビデンスを調べています。治療法はワンパターンしかないことはありえませんし、正解はありませんから、いくつかの選択肢を持ち、その中で最善と思えるものを選ぶことが大切です。選択肢をなるべく多く持つためにも、一人の考えに固執せず、頭を柔軟にして色々な人の考えを聞くようにしています。これからの人生では、後進の育成に力を入れたいですね。インプラントは10年以上持つと言われているので、私がインプラントを施した患者さんを引き継いでメンテナンスできる医師を育成することは、私の責任だからです。引き続き、当クリニックを地域に根付かせることにも注力し、この地に骨を埋める覚悟で頑張っていきたいと思います。
若者の皆さんには、常に前を向いて行動してほしいと思います。研修医たちにも「学びたいことがあるならやってみれば良いし、海外で学びたければ行けば良い。とりあえずやってみて、違うと思ったらやめれば良い」と伝えています。私も何かを学びたいと思ったら臆せず海外の学会やシンポジウムに参加してきましたし、その積み重ねが今の私をつくっています。失敗を恐れていたら何もできませんし、ダメになったらそのとき考えれば良いのです。まずは一歩進んでみましょう。