星利佳
1969年生まれ、山形県出身。91年東北薬科大学(現東北医科薬科大学)卒業後、薬局や病院での勤務を経て、98年に起業。ほし薬局を設立。現在、一般社団法人新庄最上調剤師会会長・一般社団法人山形県薬剤師会常務理事・日本プライマリケア連合学会東北ブロック理事兼山形支部副支部長兼他職種協働委員会委員兼薬剤師認定制度協力委員・J-HOP東北ブロック幹事・日本介護支援専門員協会最上地区支部理事。以上兼任。
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INTERVIEW

いくつになっても成長を続けられる大人でありたいです。一年前の自分と比べた時に、よりたくさんのことを知っていたり少しでもできることが増えていたりすればいいなと思います。年齢を言い訳にせず、これからもチャレンジを続けて成長していきたいです。

子供の頃にもらったたくさんの「大丈夫」をお返ししたい

星利佳

父が薬剤師だったので、私も何となく同じ道を目指すようになり、この仕事に就きました。薬局で働いていた時、お世話になった先生が「一緒に独立しよう」と誘ってくださいました。「星さんは一生懸命仕事をするよね」と評価してくださったこの先生についていこうと決意しました。今、ありがたいことに自分のしたいことを好きなようにさせてもらっています。一薬剤師のままではきっと無理だったでしょう。思い切って独立して本当に良かったです。

独立した時、私が生まれ育った地域に街の健康ステーションを目指し、開局しました。具合が悪い人に薬を処方するだけではなく、日頃の食事や栄養、健康のことまで誰でも気軽に相談でき、文字通りゆりかごから墓場まですべての時期の健康をサポートする役割を担っています。私は幼い頃、近所でも評判の泣き虫な子でした。私が泣くたびにいろんな方に「どうしたの」「大丈夫だよ」とやさしく声を掛けていただいたことを今でも覚えています。その方々が、今は患者さんとして薬局に来てくださって「あんなに泣き虫だったのにね」と当時の思い出話をします。この人たちにたくさんの「大丈夫」をもらって大人になったので、今度は私がこの人たちに「大丈夫」を返していきたい。毎日そんな気持ちで仕事に取り組んでいます。

東日本大震災の時は、仙台の避難所へ支援に出向きました。毎週末通ううちに避難所の方が私のことを覚えてくださって、体のことや不安に思っていることをどんどん話してくださるようになりました。「またあなたが来てくれてうれしい」と言っていただけた時、薬剤師は人の役に立つ仕事なのだと実感できて大きなやりがいを感じました。私自身もいつも周囲に支えられ、助けてもらっています。自分の力だけでできていることは何もありません。この気持ちを常に忘れないようにしています。

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患者さんと向き合うことは覚悟の連続

患者さんのご自宅に薬をお持ちして服薬と生活全般を見守る居宅療養管理指導という仕事に注力しています。患者さんと信頼関係を構築するために大切なのは、「あなたを気にかけています」「大切に思っています」という気持ちが伝わるように接することです。それが伝われば、たとえ相手の方が病気や認知症であってもコミュニケーションはそれほど難しくありません。昔話やパートナーの愚痴など、いろんなことを話してくれるようになります。患者さんの人となりや考えていることを知るにつれてどんどん好きになりますし、私が好きになればきっと相手もこちらを好きになってくれると思うのです。患者さん一人ひとりと向き合うことは、覚悟の連続でもあります。特に終末期の患者さんの場合、その方の人生の最期を一緒に過ごすことになるわけです。患者さんの状態を見ながら主治医の先生に「このお薬は止めましょう」「この状態ならこのお薬を追加しましょう」というような処方提案をすることがあります。私の判断一つで患者さんの状態が悪化したり副作用で苦しい思いをしたりしたら、と怖くなる時もあります。失敗は許されませんが、患者さんが少しでも穏やかに過ごせるように、自分にできることは何でもしたいと考えています。

今、私の住む地域は過疎化が進んでいます。地元を出た人たちが「帰ってきたい」と思うような町や村にしていきたいと思っています。私にできるのは、医療と福祉、患者さんと医療者をつなぐ架け橋になって、地域の人が安心して暮らせる環境を整えること。これは会社を作った当初からの目標でもあります。私ひとりが突っ走らなくても、同じ方向を向く人が何人か集まってくれれば、必ず実現できると思っています。今までもそうでした。これからもきっと「何とかなる」と思います。

若者のみなさん、人生の中で悩んだり選択を迷ったりすることがきっとあると思います。大切なのは、どの道を選んだかよりも、どう歩いたかだと私は思います。自分の歩き方次第で結果を変えることはできるはずです。どんな道であれ、自分の今いるところを存分に楽しんでください。

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