余平
1968年、中国湖北省生まれ。上海交通大学コンピュータ学部卒。慶応義塾大学EMBA5期卒。吉林省松和電脳有限公司、北京中訊計算機有限公司開発部長、日本中訊株式会社開発部長、北京中訊計算機有限公司事業部長、同事業本部長、サイノコム・ジャパン株式会社取締役事業本部長を経て、2012年、六元素グループを創業し、六元素情報システム株式会社代表取締役社長就任。21年、子会社としてラクモン株式会社を設立し代表取締役CEOを兼任、教育支援ネットビジネスに進出。
https://rakumon.com/

INTERVIEW

中国の農村に生まれた私は、本を通して外の世界に興味をもち、大学進学によって立身出世の道を切り開きました。大学を卒業すると中国と日本に拠点を置くIT企業に勤め、やはり本を通して生き方や、企業の道徳的なあり方を学びました。そして六元素グループを起業して9年目の2021年に子会社のラクモン株式会社を設立し、6月にリリースしたのが、子どもたちや大学生を支援する、学習専用質問アプリの「Rakumon」です。また、当グループには日本人と中国人の社員がいますが、日本人の社員には欲がありません。生活の向上も社会の進歩も、欲があってこそかないます。是非もっと欲をもち、社会の発展に貢献してください。

良書が外の世界への窓口や、人生の師に

余平

私は文化大革命中の1968年に、中国湖北省の貧しく閉鎖的な農村に生まれ、学校から帰ると家の農作業を手伝う子ども時代を過ごしました。幸い父は田舎では知識人で、農村の識字率が低い時代に家に書物があり、私は読書を通して村の外の世界に興味をもつようになりました。文化大革命が終わると、市場経済の導入とともに大学入試が再開され、私は勉強に励んで、上海交通大学のコンピュータ学部に進学しました。中国には農村戸籍と都市戸籍があり、農村戸籍をもつ人が都市に移動するのは制限されています。その中で、農村の子どもが都市戸籍を得て出世への糸口をつかむ唯一の道が大学進学なのです。
青春時代の中国は日中友好ムードで、私はテレビなどを通して垣間見る日本に行ってみたいと思いました。そこで大学を卒業すると中国と日本の合弁会社に就職し、日本語と日本向けのITシステム開発を学びました。その後、両国に拠点をもつIT企業に転職しました。そんなサラリーマン時代の私を成長させてくれたのは、良い本との出会いです。たとえばデール・カーネギーの『人を動かす』からは、コミュニケーションやマネジメント、人間関係の構築の仕方などを学びました。稲盛和夫や松下幸之助の著作からは、企業の使命は人類や社会の発展に貢献し社員の幸せを実現することといった経営哲学を学びました。

当時、日本のお客様から「日本人より日本的」と言われるほど会社人間だった私ですが、社長が突然会社を売却してしまい、会社は資本家だけのものなのかと、ショックを受けました。熟慮の末自分で会社を設立することにし、企業の生命(=元素)は、顧客、従業員、株主、社会、パートナー、ライバルの6つであると考えて、2012年、六元素グループを創業しました。当グループの主な事業は、システム・ソフトウエア受託開発、業務自動化支援、クラウド型ビジネスアプリケーション製品の導入支援などで、WEBシステムテストの高度自動化ソリューションなどの自社製品も提供しています。ほかに、日本のIT業界の多重下請け構造を少しでも解消するために、IT企業と個人の技術者をマッチングする案件情報共有サービスを無料提供しています。

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勉強が分からない生徒、苦学生双方の課題を解決

同社は受託業務が中心ですが、2019年末からのコロナ禍で、当社の社員は、顧客企業の考え方や環境によってテレワークの可否が分かれました。社員の命に関わることを自社で決断できないのは、社長として辛かったですね。このことをきっかけに、創業時からの目標であった、当社独自のサービス開発の重要性を再認識し、学習専門アプリ「Rakumon」の開発を決めて、子会社としてラクモン株式会社を設立しました。「Rakumon」は、対象は小学生から大学受験生までで、ユーザーが問題の画像や文字と質問を送ると、時間がある講師が、チャットですぐに、分かるまで回答してくれるサービスです。

勉強が分からず困っているお子さんは多いですが、居住する地域や経済状況などによって、誰もが塾に行き、誰かから勉強を教えてもらえるわけではありません。しかし疑問を残したまま落ちこぼれてしまえば、将来の可能性も狭まります。「Rakumon」は、そんなお子さんの力になることができるアプリです。お子さんが小中学生なら、保護者が「Rakumon」を使って解き方を知り、お子さんに教えることもできます。一方、コロナ禍でアルバイトがなくなり経済的に困窮する大学生が増えていますが、「Rakumon」は、そうした学生に仕事を提供することができます。回答する大学生等については、学歴や本人確認をした上で、面接や学力試験を行って、質を担保しています。また、答えではなく解き方を教えるといったガイドラインを用意するなど、ユーザーの学力向上につながる仕組みを整えています。アプリは6月1日にリリースして間がないですが、回答者もユーザーも順調に伸びており、社会から必要とされているという手応えを感じています。今後は、シンプルな問題にはAIが回答できるようにするなどして料金を下げ、より多くの方に利用していただけるようにしたいですね。

現在六元素グループでは、多くの中国人と日本人の社員が働いています。両者を見て感じるのは、日本人社員には欲がないということです。欲がない人を動機づけるのは難しく、このままでは、日本は世界の競争から置いていかれてしまうと危惧しています。ファーウェイに関する本などを読むと、現在の中国企業の活気がわかります。日本の若者はもっと意欲をもって、社会の発展に貢献していってください。

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