金本博明
1973年生まれ、大阪府出身。明治東洋医学院専門学校卒業。日本福祉大学卒業。叔父の鍼灸整骨院での修業を経て、99年かねもと鍼灸整骨院を開業。2003年日本セラピー株式会社を設立、代表取締役となる。現在は大阪、兵庫、東京で15の鍼灸整骨院を経営するほか、個人・法人への訪問治療、デイサービス事業なども手がけている。
https://nihon-therapy.co.jp/

INTERVIEW

「売り手良し、買い手良し、世間良し」という近江商人の考えを表した「三方良し」という言葉がありますが、自分の社員だけ良くなるとか、患者さんだけ良くなるとか、社会だけ良くなるというのではなく、すべてを良くしていけるのが「仕事」だと考えています。関わった人たちが皆、幸せになれるような仕事をしていきたいという思いが私の原動力であり、やりがいにもなっています。体の痛みや不調で困っている方を治療して喜んでもらって、「ありがとう」って言ってもらえることが、この仕事の一番の魅力だと思っています。

叔父の影響から「治療家」を志す

金本博明

子どもの頃からずっと少年野球をやっていまして、よく肩とか肘などを痛めていたんです。自宅の近くにある病院に行ってもなかなか症状が改善されなかったのですが、家から少し離れたところで叔父が整骨院をやっておりまして、そこに通うようになってからはみるみる症状が改善されていったんです。治療中は早く試合に出たいというもどかしさがずっとあった。当時は野球がすべてみたいなところがあったので、ケガが治って試合に出られるようになったのは僕にとってとても大きなことでした。叔父のように人を治すことのできる「治療家」になって、スポーツをする人をサポートしたいと強く思いました。

高校を卒業する時に叔父に進路相談をしたところ、この仕事に就くことを後押しされ、それで決意が固まりました。専門学校、福祉大学を経て国家資格を取得後、叔父の接骨院で修業を積ませてもらい、その後、1999年に独立し、鍼灸整骨院を開業しました。当時はいろいろなことが重なっていたためか、僕自身が少し不定愁訴といいますか、体調を崩してしまったことがあって。ちょうどその頃、岩盤浴というものがブームになっていて、自分でも実際にやってみたところ、とても気持ちがよくて体が楽になったように感じたんですね。また、私も若かったので、この事業をすると、本業の鍼灸の方でももっと早く多店舗展開ができるのではないかと考え、岩盤浴事業に参入したのです。最初の頃はよかったのですが、だんだん人気が下火になってきて、お客様の足が遠のいてしまった。しかし、岩盤浴自体は良いものだと思っていたので、なんとかそのまま経営を続けようとしたのですが、続ければ続けるほど赤字がかさんでしまい、その負債が1億円近くにまでなってしまいました。

今まで整骨院事業でちゃんと利益も出してやっていたのに、流行に手を出してしまって、貯金もなくなって、一体何をしているんだと。整骨院の仕事でやって行こうと思っていたのに、しょうもないことに手を出してしまった。そこで改めて、私のやるべきことは鍼灸整骨の仕事であり、この仕事を突き詰めていこうと決心しました。鍼灸や整骨の仕事や技術は過去の先輩たちが築いてくれたものなのですが、それを自分たちがもっといいものにしていこうという発想が、その当時はまだ持てていなかった。しかしこれからは岩盤浴のような新しい業態に取り組むよりも、歴史ある鍼灸柔整の方を自分たちでもっとよくしていって、今以上に患者さんに喜んでもらい、今以上にいろんな症状を改善できるようにして、その上で、後輩たち、後世の方々に残していこうと思いました。

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顧客データの活用で社員の成長を促進

私にとって社員は家族と仲間を足したような存在です。会社の中で彼らがどれだけ成長できるか、そして私もどれだけ彼らの成長を助けてあげることができるか、その点に注力しています。今、一緒に働いてくれている社員、これから来てくれるだろう社員の「物心両面の幸福」をずっと追求していきたい。そのために今、私ができることを、しっかりと責任をもってやっていこうと思っています。社員一人ひとりが成長をすれば、いずれは一つの店舗を任せられるようになり、事業の拡大につながっていくと考えています。

現在取り組んでいるのは、CRM(顧客関係管理システム)によるデータの活用です。例えば今月にA先生が診た初診の患者は何人、再診は何人というように記録をしてそれを蓄積していくと、患者さんの継続率を測ることができます。その確率が高いと患者さんに喜んでもらっているということであり、売り上げにもつながっているということ。データがすべてではありませんが、社員の教育がちゃんとできているかどうかの指標にもなり、成長を測ることができます。そのデータをもとにして各院の院長やマネジャーたちがアドバイスをするのですが、教えるというよりは自分で気づいてもらえるような形をとっています。人から言われてやるのではなく、自分で気づいて取り組んだ方が、より早く成長できると考えるからです。

現在、大阪、兵庫、東京に16店舗を展開していますが、2030年には100店舗にすることを目指しています。そのためにも社員一人ひとりの成長は欠かせません。いちばん大切なのは患者さんに満足していただくこと。患者さんのニーズを的確にとらえ、それに応えるだけではなく、患者さんが思っている以上の提案をして、さらに喜んでもらう。そして今、自分が身につけている技術をもっとブラッシュアップしていけば、必ず患者さんの満足度の向上にもつながっていくと思います。日々自分たちも成長しながら、一人でも多くの患者さんの役に立ち、誰もが幸せになれるような会社に、世の中にしていきたいと思っています。

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