小林英健
1958年生まれ、大阪府出身。関西大学を卒業後、銀行員を経て整骨院で働きながら専門学校へ通い、柔道整復師の資格を取得。85年、小林整骨院を開業。グループ化し42院を展開する。98年「小林式背骨矯正法(現スポーツ活法)」を発案。全国の治療家に向け啓蒙活動を行う。スポーツトレーナーの育成の為に2008年、近畿医療専門学校を開校。リオデジャネイロ五輪、東京五輪では日本選手団のトレーナーを務めた。
https://www.kinkiisen.ac.jp/

INTERVIEW

学生時代、幸福論についての講義を受けた時に、「人は好きなことをしている時に幸せを感じるものだ。幸せな人生を送りたいなら生きがいを持つべきだ」という教えが心に響きました。そして、生きがいを感じられるような仕事に就こうと考えるようになりました。人生の中で長い時間を占める仕事に生きがいを感じられれば、幸せな一生を過ごせると考えたのです。

銀行員を辞めて柔道整復師の道へ

小林英健

様々な仕事を模索する中で、毎日定時に帰宅できる公務員のような仕事もいいと思いました。寝るまでの時間を好きなことに使えますし、自由な時間があれば生きがい探しができるはずです。そう思った私は、街の銀行が15時ちょうどにシャッターを下ろしているのを見て「これだ」と思い、地方銀行に就職しました。ところが実際に働いてみると毎日残業続きで自分の時間などありません。仕事内容も、生きがいと思えるほど夢中にはなれませんでした。外回りでいろんな職業のお客様と仕事の話をしていても、生きがいを持って働いているような人にはなかなか出会いませんでした。しかし、整骨院を営む方が「患者さんの役に立って喜んでもらえる素晴らしい仕事だよ」といきいきと話す姿を見て、「私もそんな仕事がしたい」と心から思うようになりました。興味があることを伝えると、柔道整復師の専門学校を紹介してくださいました。

銀行を1年で辞め、整骨院で働きながら専門学校に通いました。「あなたのおかげで痛みがなくなった」「腕が上がるようになった」と患者さんに感謝され、これこそ生きがいを感じられる仕事なのだと思いました。銀行員時代に比べると給料は激減し生活は大変でしたが、妻は出産ぎりぎりまで働いて家計を支えてくれました。妻と子供のためにも、一日も早く開業しようと意欲を燃やしていました。

2年で柔道整復師の資格を取り、27歳で小林整骨院を開業しました。それまでは自分の身についていること、ついていないことが半々ぐらいの割合で起こっていたような気がしますが、独立してからは出会いやチャンスに恵まれ、いいことずくめでした。自分のことを後回しにしてでも患者さん最優先の生活を送っていたからかもしれません。開業を急いだので、当初は技術面で未熟なところもあったと思います。それでも「この人の痛みを何としても取ってあげたい」という真摯な思いで施術をすれば、患者さんの体は応えてくれるものです。「小林先生に診てもらえれば安心だ」という患者さんの言葉は励みになりました。あのまま銀行員を続けていれば安泰だったのかもしれませんが、この道に進んで本当に良かったと思います。

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臨床の現場で勝負できる人材を育てたい

ある時、私の整骨院で働いていた学生が仕事を辞めると言うので理由を尋ねると、専門学校で「勉強に専念しないと国家試験に合格できない。整骨院は辞めなさい」と言われたというのです。ショックでした。試験勉強ばかりで現場経験の乏しい柔道整復師や鍼灸師が増えれば、業界の発展はありません。それならば臨床の現場で勝負できる人材を自分の手で育てたいと考え、近畿医療専門学校を立ち上げました。

現在、スポーツトレーナーの育成に力を入れています。私自身、2016年のリオ五輪、21年の東京五輪に日本選手団のスポーツトレーナーとして参加しました。アスリートが一番恐れているのは、けがや故障です。私たちの技術で、けがや故障からの早期復帰、予防、パフォーマンスの向上を実現し、アスリートの活躍に貢献できることが、何よりの喜びです。スポーツトレーナーはアスリートを治療とメンタルの両面から支えることができる尊い仕事であり、スポーツ経験のある多くの若者にとって憧れの職業です。しかし、この仕事に就くために必要な柔道整復師と鍼灸師の国家資格のことはあまり知られていません。スポーツにかかわる仕事がしたいと考える若者たちに、この資格の大切さやスポーツトレーナーの仕事の魅力を伝えていくことも私の役割だと考えています。昨年、ロサンゼルス五輪の水球日本代表監督で日本体育大学名誉教授の清原伸彦氏を校長として招へいしました。教育者としての半世紀以上の実績と、日本全国の教え子に慕われる人間力を生かして講師陣のレベルを向上し、高い技術と向上心を持つ柔道整復師・鍼灸師を輩出していきたいです。

若者のみなさんがこれから仕事を選ぶ時に、何のために、誰のためにその仕事をしたいのか、その仕事をすることでどんな自分になりたいのかをイメージしてみてください。それが明確になれば、あとは自分の可能性を信じて突き進むのみです。何かを成し遂げた人に成功の秘訣を聞くとみんな「諦めなかったから」と答えるそうです。夢を諦めずに、頑張りましょう。

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