小関賢次
1975年生まれ、新潟県出身。県立高田高校卒業後、日本大学理工学部航空宇宙工学科に入学。98年NTTデータクリエイション入社(NTTデータアイに社名変更)。国土交通省の航空管制システム開発に18年間従事。前職では航空機の軌道推定アルゴリズムを開発し、航空管制業務の自動化を大きく推進した実績をもつ。ドローンやエアモビリティの社会実装を推進するため、18年3月にトラジェクトリーを創業。
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INTERVIEW

ドローンは人の生活を助け、人の命を救うことができます。それを実現するためには安心・安全に誰もが空を利用できる社会にする必要があります。ドローンと人が共存する社会の姿やドローンの利便性や活用する仕組みを具体的に見てもらい、住民の皆さん、自治体や企業の皆さんなどの人とのつながりや対話を大切にして、熱意を持って取り組んでいれば結果につながるはずです。前職での経験から、「プログラム一つで世界を変えることができる」と確信しています。困っていることやできないことがあれば、私たちのプログラムでなんとかして解決したい。そして、一人一人の力は小さくとも、会社全体が生み出す力は大きく世の中を変えられる。そんな信念を持って、大きな役割を果たしていきたいです。

プログラミングに没頭した大学時代

小関賢次

子どもの頃はとにかく走るのが大好きで、小学校4年生から高校生まで陸上部で短距離を専門にしていました。いつもトップを争う位置にはいたのですが、高校に上がってすぐ大腿骨を剥離骨折をしました。そのシーズンはすべてリハビリに費やすことになり当時は目標を失い絶望していましたが、高校生ハードルで日本一だった先輩から、リハビリ期間中にハードルへの転向を勧められ、基礎から指導していただいたことがきっかけで、翌シーズンにデビューし、シーズン後半には市内トップ選手になりました。インターハイにはほんの少し届きませんでしたが北信越大会決勝を経験できました。「人から素直に学ぶこと」そして「ピンチはチャンスにつながること」を学びました。社会人になってからも、この教訓を生かしています。

大学では推定アルゴリズムを開発した教授の研究室に入ることができ、軌道推定アルゴリズムの研究に没頭しました。宇宙を飛ぶ飛行船をシミュレーションするためにコンピュータープログラミングにのめり込むようになりました。当時はまだコンピューターが普及していなかったので、初めてコンピューターに触れた時の感動は今でも覚えています。家業が施工会社だったこともあり、幼い頃からものづくりの現場を目にしていたのですが、私自身は物理的なものづくりは苦手だったので、コンピューターを使ったものづくりを体験し、「これなら自分の頭の中の世界を具現化できる」と確信しました。当時は、今のような便利な開発ツールはないですから、プログラム一つひとつが手作りです。ゼロから何かを作り上げる、ということがとにかく楽しくて充実感に満ちあふれていました。何カ月もかけてプログラムを改善し、最終的にシミュレーションが動いたときの感動はいまでも忘れることができません。

大学の先輩とのご縁で、株式会社NTTデータの中でも国土交通省の航空管制システム開発を専門とする部署に配属されました。大学時代からのプログラミングスキルが評価され、3年目には次世代航空管制システムの基幹プログラムの開発を任されました。当時の上司から、当時稼働していたプログラムを使うのではなく、ゼロからまったく新しいアルゴリズムを考えることからスタートしてほしいというミッションを受けました。そもそも航空管制がどのように行われているのかも知らなかった私にとって分からないことだらけでしたが、当時のシステムを作られた上司や航空管制官など、とにかく色んな人に話を聞きに行きました。多くの期待と課題がありましたが絶対に解決してみせるという気持ちで、悪戦苦闘しながらも、ゼロからアルゴリズムを完成させることができました。自分のアイデアとプログラムが空の安全を守っていること、多くの仲間達と連携して協力し合いながら国のとても重要なインフラを作り上げた経験は代えがたいものになりました。この時に、プログラム一つで世の中の仕組みを変えることができるということを実感しました。

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AI(人工知能)との共生が新しいものを生み出す鍵となる

たくさんのドローンをAI(人工知能)が管制する新しい空のインフラの実現を目指し、トラジェクトリーを創業しました。ドローンが日本で普及し始めた頃、ドローンを悪意で使う事件が続き、「ドローンは危険」というイメージがついてしまった時期がありました。ドローンを事業としている者にとって、とても苦しい時代が来ると悲観されている人もいましたが、私は事業的に大きなチャンスだと考えました。きちんとルールを整備し、管制する仕組みを作ることによって安全に、そして安心して飛ばせることが証明できるからです。現在では日本中の様々な地域で私たちの管制システムが活用されており、様々な用途でのドローンの活用が始まっています。自分がNTT時代に航空管制に関わっていたこともあり、国や自治体からも信頼を得ることができたのは創業後に大きな助けとなりました。

振り返ると、人に導かれ転機を迎えることが多かったと思います。話を聞いて回ったり自分の考えを相手にぶつけたり、解決することに熱意を持って諦めずに取り組んでいたので、自然と周りも応えてくれていたのかもしれません。私自身、一人で何か成し遂げたことはありません。必ず誰かに助けられてきました。一人で生み出せるアイデアやプログラムは一つでも、人とつながっていくことで世の中を変えるほどの力になる。スタートアップ企業は人数が少なくても、その分スピーディーに動けますし、それぞれのアイデアを組み合わせれば大きな力になります。これからの日本にとってスタートアップ企業の動きがとても大切になってくるのではないでしょうか。

ドローンも含め今後はAI(人工知能)やロボットに仕事を奪われると言われますが、AI(人工知能)やロボットだけですべてを解決することは絶対にできません。プログラミングのアルゴリズムを生み出すのは人間しかいないからです。確かに奪われてしまう仕事はありますが、他のことにチャレンジするチャンスにもなります。同じことをやっているだけでは人間は成長しません。一つの場所でうまくいかなかったとしても、必ず輝ける場所があるはずです。AI(人工知能)に勝つとか負けるとかを心配するのではなく、活用することで効率性が上がり、その結果生まれた時間で新しいものを作り上げることが大切だと思います。若い人たちには、とにかくなんでも挑戦してほしいです。そして、甘え上手になる。できない時は助けを求めていいし、やりたいことはどんどんやってみる。色々な人からたくさん話を聞いて、アイデアをどんどん発信して、失敗を恐れずに考えを生み出すことを楽しんでください。

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