松栄遥
2012年、横浜国立大学工学部卒業後、キーエンスに就職。国内トップクラスの営業成績を残す。日本M&Aセンターへ転職し、年間新人賞を受賞するなど第一線で活躍。19年にM&Aコンサルティング(旧スパイラルコンサルティング)を設立し、代表取締役に就任。企業のM&A戦略にかかる顧問としても活躍の幅を広げている。
https://mmac.cc/

INTERVIEW

外の世界に出ると、自分の固定概念を打ち壊される思いがします。私にとって特に大きな転機となったのが、大学生の時にバックパック一つで発展途上国を旅した時のことです。現地の小さな子供が私の姿を見るなり流ちょうな日本語で商売を仕掛けてきたんです。何不自由なく生きてきた私にとって、目の覚めるような思いでした。今すぐ社会に出て勝負したい、自分の力で新しい世界を切り開きたいと強く思うようになりました。

薩長同盟を結んだ坂本龍馬のように

松栄遥

起業したいという気持ちは学生の頃からあったので、社会に出たらまず厳しい環境に身を置きたいと考えていました。どんなビジネスを始めるにしても「売る」という行為は基本だと思ったので、最も営業に強い会社の一つであるキーエンスに就職しました。
数年経って起業を本格的に考え出したのですが、営業ではそれなりに結果を出していたものの、経営の知識が何もなかったんです。そこで、経営者と距離が近い仕事を経験したいと思って16年に日本M&Aセンターに転職しました。M&Aは未知の業界でしたが、経営者が相手ですし、動かす金額も社会に与えるインパクトも大きいので、興味があったのです。M&A仲介業が2社を1社に結んで日本の社会経済に貢献するのを、私が好きな坂本龍馬が薩長同盟を結び新時代の幕開けのきっかけを作ったことになぞらえてわくわくしていました。
しかし、入社して半年ぐらいは思った以上に苦戦しました。ものを売るわけではないので、まずは自分を売り込まなければいけません。知識だけではなく、人間力もコミュニケーション能力も交渉力も高いレベルが求められます。相手は百戦錬磨の経営者ですから、中途半端な能力では見透かされますし、相手にしてもらえません。経営者と対等に話ができるステージに上がるまでが大変でしたね。1年目は、1件成約するだけで精いっぱいでした。2年目には経営者の考え方や悩みが理解できるようになってきて、年間6件成約し、新人賞を受賞できました。1年目の下積みは無駄ではなかったのです。

  • 松栄遥
  • 松栄遥

M&Aの準備段階から支援するコンサルタントに

30歳手前くらいで「起業するなら今だ」と感じるタイミングが訪れました。運良く仲間にも恵まれ、会社を立ち上げることができました。創業メンバーは、現在の役員4人です。みんなバックグラウンドも得意分野もバラバラですが、それぞれ意見を出し合って「こんなM&Aの世界を作りたいよね」と日々話し合ってきました。
従来、M&A仲介業は結婚相談所のように売り手と買い手を結ぶ役割を果たしてきましたが、M&A市場でもIT化が進んだことでマッチングが容易になり、コンサルタントが価値を提供できる余地が少なくなってきています。そこで、今までと同じようにただ仲介をするのではなく、ITにできないところで価値を発揮できないかと考えました。そこで私たちが編み出したのは、M&Aを検討する売り手様の売却準備の段階から関わり、どうすれば企業価値を高めてより良い条件で売却できるかをアドバイスするスケール型M&A(成長支援型M&A)という手法です。準備をきめ細かく支援することで買い手も評価しやすくなり、その後の交渉もスムーズに進みます。
成約に至ると、売り手様から感謝されるだけではなく、買い手企業様にも「良い会社を買えてよかった、ありがとう。これからさらに成長させていけそうだ」と喜んでいただけるのです。「三方よし」が実現するのは、コンサルタントとして何よりもうれしいものです。
企業の後継者不足が深刻化する中でM&Aは社会に浸透しつつありますが、M&Aそのものを目的とするコンサルタントが増えているように思います。私たちは、M&Aはあくまでも手段の一つだと考えます。売り手様にとってIPO(株式上場)や廃業のほうが幸せなケースもあるはずです。会社が置かれている状況を見て、何が適切かをじっくり考えることも私たちの役割です。
スケール型M&Aは手間が掛かりますしコンサルタントにも高いスキルが求められます。結果を出すのは簡単ではありませんが、創業時の「企業にとって本当にためになることをやりたい」という思いを貫いていきたいですね。

今は飲食・美容・IT・製造業を中心にスケール型M&Aの実績を重ねています。やみくもに業種を広げようとは思いません。得意とする分野の中でトップを目指し、日本全国で「M&Aコンサルティングに頼めば準備段階からしっかり支えてくれるし、企業価値を高めることもできるよね」と名前が挙がるようになることが今の目標です。
時代の流れが加速する中で、人も会社も変化していかなければいけません。変化は成長です。まだ創業2年ですが、成長を続けていきたいと思います。

ページの先頭へ