森雄太
1979年生まれ。福島県出身。地元の専門学校を卒業後、2000年に内装工事会社であるサンアクト東北へ入社。その後、27歳の時に同社が倒産。07年、株式会社トラストワンを設立。代表取締役に就任。2020年から飲食店向けサービス「ミセカタ」を開始。さらなる事業拡大を目指す。
https://trust-one.net/

INTERVIEW

当社は内装工事の下請けとして創業し、店舗什器の製作・販売などを手掛けてきました。それから10年を経て、現在は設計やデザインなど、様々な内装に関わるプロデュース事業を行っています。私自身もこの業界に入って約20年。これまで多くの経験を積んできましたが、辛い時も苦しい時も常に一緒に働く仲間の存在があったからこそ日々成長を続けることができました。仕事は一人ではできないものですから、仲間と働くことの喜びや大切さを忘れることなく、これからも世の中に不可欠となれるようなサービスを発信し続けていきたいです。

好きなことに出会い、没頭していく仕事人生

森雄太

両親がともに公務員だったこともあり、「学ぶ」ということに対してはとても熱心な家庭環境で育ちました。中学生時代は学業の傍ら剣道に没頭し、高校時代は地元の進学校に進学。それだけ聞くと文武両道を絵に描いたような学生とも言えますが、将来の夢や目標はとくに描けていませんでした。そんな矢先に出会ったのが建築家という職業だったのです。当時から大好きだった木村拓哉さん主演のドラマを観た時に、その主人公の職業だった建築家の魅力に一気に取りつかれました。何か新しいものを一から創作していく面白みを感じたのと同時に、創った建築物が時代を超えて残っていくことにかっこよさを感じたのです。
とはいえ私が高校を卒業した当時は、時代は建築不況の真っただ中。大学卒業後の就職率が低下していたこともあり、建築の専門学校への道を選びました。しかし専門学校卒業後、20社以上を受けても一向に就職先がみつからない状況。そんな時にたどりついたのが内装工事の会社でした。
内装工事会社は建物自体を作るわけではありませんが、内装や家具などのプロダクトを作っていくという意味では魅力は同じです。入社してからはとにかく無我夢中で働き、仕事を任されていくたびに自分のタスクも増え、最終的には営業から制作管理、現場監督に至るまで、様々な仕事に携わっていきました。大手ではできないような、一人で様々な役割をこなす経験も数多くさせてもらい、その原体験は現在の仕事の礎にもなっています。
しかし、当時27歳だった私の身に大きな誤算が起こりました。未入金の物件が重なり、会社の資金繰りが悪化、それが引き金となり倒産に追い込まれたのです。
思い入れのあった会社を失った私はひどく落ち込みましたが、感傷に浸る間もなく取引業者やクライアントへの謝罪を繰り返す日々。そんな中で同僚と今後の話し合いの場を設け、皆で一緒に会社を作ろうという結論に至りました。それがトラストワン設立のきっかけとなっています。

  • 森雄太
  • 森雄太

苦難を乗り越えた先にあるもの

これまでも幾つか苦難はありましたが、中でも印象に残っているのはリーマン・ショックと東日本大震災での出来事です。創業の翌年にはリーマン・ショックが起こり、スタッフは半年間の休暇を強いられましたが、私は給料を払い続けるために一人で営業活動に専念。やっとの思いで業績が上向いたかと思えば、すぐに東日本大震災という一大事に見舞われたのです。福島原発の20km圏内に工場拠点を置いていた当社は、社員とその家族を岩手県に一時避難させ、新たに工場を借りて工事を続けました。営業活動から資材の調達までを一人でこなし、精神的な疲労は溜まる一方でした。しかし、「なんとしても皆でまた仕事をするんだ」という一心で仕事に打ち込み、仲間とともに苦難を乗り越えていきました。そうした経験を共にした創業メンバーは今も4人ほど在籍していますが、大切な存在だということは言うまでもありません。だからこそ今後も雇用を維持し続けていくことが、私の使命だと思っています。
現在は業績も安定し、創業時4億円規模だった売り上げは10億円規模まで成長。社会人としてキャリアをスタートさせてからというもの、常に人と人との信頼関係を大切にしてきたことが私の道しるべとなっています。
そして2020年からは「ミセカタ」という新たな飲食店向けサービスを開始。取引先も含め、たくさんの方々とさらに連携を深めながら挑戦を続けていきたいと考えているところです。
昨今は飲食店の内装工事を手がけることが多いのですが、とくにコロナの影響下で多くの事業者が苦境に立たされています。「居抜きで内装を譲渡したい」「厨房機器や家具を売りたい」「不動産屋との交渉を円滑に進めたい」など、課題は山積みです。その一つひとつを解決していくことで、新たに出店される事業者や退店される事業者の負担(コスト)を少しでも減らしていきたいという思いが事業立ち上げのきっかけでもありました。現在は空きテナント情報などを店舗様にお届けし、不動産仲介なども積極的に手掛けているところです。
私が21歳で内装業界で飛び込んでからの約20年間、その工事や業務フローに大きな変化はありませんでした。これだけデジタル化が進んだ世の中であるにも関わらず、内装業界はいまだアナログ思考から抜けられていないように思います。
そこに問題意識を持ち、当社のサービスでコスト削減や効率性をアップさせていくことに貢献できれば、新たに出店される飲食店さんや内装工事を検討される企業様にお役に立っていけるかもしれない。現在は「ツボタン」というITを応用した自動見積もりサービスを導入するなど、さらにデジタル化を加速させていきたいと考えているところです。
若い方々もすてきな人生を送るためにも、ぜひ自分の好きなことややりたいことを見つけ、新たな挑戦を恐れずに続けてみてください。私もそんな仲間ともに、新しい何かを生み出す日が来ることをいつも心待ちにしています。

ページの先頭へ