中村真也
1991年に大阪府に生まれる。新卒で聖路加国際病院に入社し、3年間勤務。24歳で独立を決意し、訪問看護ステーションを開業。患者一人ひとりに寄り添い、「愛ある看護」を提供することを信念に、在宅での生活サポートに従事。現在では3施設まで拡大している。
https://www.brightlife.co.jp/

INTERVIEW

私たちは訪問看護ステーションの枠を超えた「ブライトライフ」という新たなポジションを確立したいと思っています。スタッフが仕事に使命感ややりがいを持ちながら、十分な報酬を得て理想のライフワークバランスを実現できる働き方を目指しています。それによって、かかわる患者さん、ケアマネジャーやソーシャルワーカー、地域の人、ひいては日本中のすべての人のQOL(生活の質)を上げる企業でありたいと考えています。

入院患者さんの「家に帰りたい」をかなえたくて

中村真也

学生の頃、リーマン・ショックの影響で不景気だったのもあり、手に職をつけなければと看護師を目指すようになりました。看護の仕事に特別な憧れがあったわけではありませんでしたが、勉強するうちに面白くなりのめりこんでいきました。老人保健施設と都内の大学病院で現場経験を積みましたが、どこへ行っても患者さんは一様に「家に帰りたい」と口にしていました。療養中でも住み慣れた地域や家庭で過ごしたいと思うのは当然のことです。そして多くの患者さんが自宅で過ごせる環境がないなら私が作ろうと考え、24時間365日対応の訪問看護ステーションを立ち上げました。24歳の時のことです。

看護には自信がありましたが、経営に関してはまったくの素人なので行き当たりばったりでした。いろんな企業と連携したり商品を作ってみたりして、肝心の訪問看護は現場に任せきりの時期もありました。業績は黒字でそれなりの結果を出せていたのですが、スタッフとのコミュニケーションや患者さんの情報共有は明らかに不足していたと思います。辞めてしまうスタッフもいました。このままでは良くないと危機感を覚え、新たに役員と株主を増やしました。経営の土台がしっかりできたことで収益も安定しましたし、私も訪問看護に集中できるようになりました。スタッフ一人ひとりと話す時間も増えました。コミュニケーションの際には、役員が提唱した「アクティブリスニング」を導入しています。「傾聴」よりもさらに積極的に相手の話を引き出しながら聴く手法で、最初は私も「こんなことで変わるのか」と半信半疑だったのですが、今はこれが一番大事なことだと実感しています。それまで、ちゃんと相手の話を聞いているつもりで聞けていなかったことにも気が付きました。

今は私や役員をはじめ、若い力が中心となってみんなで切磋琢磨しながら仕事に励んでいます。年齢や立場に関係なく、思ったことを率直に言い合える環境になったことで、辞める人はほとんどいなくなりました。訪問看護の自由度を生かして、自分のライフスタイルに合わせて勤務時間や日数を調整でき、妊娠・出産や育児のようなライフイベントと両立できるのも大きな利点だと思います。資格があればどこへ行っても働けるこの業界で低い離職率を維持できているのは喜ばしいことです。

  • 中村真也
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患者さん一人ひとりと丁寧に向き合う

訪問看護のことをよく知らない看護師がまだ多いと感じます。私も病棟勤務の頃は、恥ずかしながら「訪問看護は楽そうでいいな」などと見当違いなことを思っていました。

病棟勤務では患者さんの退院後のことまで知ることはできませんが、訪問看護は患者さんの日常生活に密接にかかわることができる素晴らしい仕事です。患者さんと一対一でじっくり向き合えるところにやりがいを感じるスタッフもたくさんいます。目先の売り上げのために訪問件数を増やすのではなく、一人ひとりの患者さんを大切にしたいというのが私たちの考えです。私たちがかかわることで患者さんの身体機能を維持、向上させて、健康で快適に過ごせるよう真摯に取り組んでいます。新型コロナウイルス禍で患者さんからキャンセルが相次いだこともありました。みんなで「本当に患者さんの満足いく看護を提供できていただろうか」と何度も話し合いました。非常時こそ頼られ必要とされるためにも、使命感を持ってより丁寧に患者さんとかかわっていきたいと思っています。近いうちに東京進出を予定しています。今はまだ3店舗ですが、5年で全国に100店舗まで増やし、社会を変えていくことが目標です。全国の看護師、患者さん、地域がブライトライフを待っていると信じて取り組んでいきます。

「失われた30年」だとか「日本は他国に後れを取っている」だとかネガティブなことばかり言われていますが、この国はもっと良くなるはずです。労働生産性の面でイノベーションを起こして日本に貢献したいと本気で考えています。世界トップの高齢社会の国の一企業として、ブライトライフの働き方が海外でもお手本となるようにさらにブラッシュアップしていきます。まずは、働いてくれているスタッフが誇りを持てる会社に。その延長として日本が良くなっていけばいいと思います。

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