小川佳一
1969年生まれ。96年、旭川医科大学を卒業。卒業後、札幌医科大学眼科学教室にて研修をし、経験を積む。また、旭川厚生病院、苫小牧市立総合病院、道立江差病院医長、札幌医科大学で、斜視弱視外来のスタッフとして勤務。斜視・弱視、先天性白内障などの小児眼科を担当。その後、「医療もまたサービス業である」という理念の元、患者様にとってより良い医療を提供するために、2006年に新川中央眼科を開院。
https://www.shinkawa-med.jp/
※本サイトに掲載している情報は2022年10月 取材時点のものです。

INTERVIEW

医療は接客業でありサービス業である、という思いで開業しました。医療は「人対人」です。どんなに最新の設備をそろえ良い医療を提供しても、患者さんが笑顔で帰られる努力をしなければ、次は来てもらえないかもしれません。悪いところが治って喜んでいただくことはもちろんですが、ずっと付き合っていかなければいけない難しい疾患を抱えている方にも「この病院で診てもらって良かった」と思っていただけるような診療を目指しています。

医療にもサービス業の視点を

小川佳一

子供の頃に出かけた万博で世界初のコンピューター占いを受けたところ、向いている職業の欄に「弁護士、政治家、医者」とありました。あまりピンときませんでしたが、この中なら医師がいいなと思ったのを覚えています。中学や高校の頃は宇宙飛行士や南極越冬隊の隊員のような科学者や研究職に憧れていました。医学部を目指したのも、医師になりたいというよりは研究の道に進みたかったからです。

大学時代は、旭川ライブジャムという野外コンサートの実行委員会の幹事を務めました。1万人規模の観客を動員する大きなイベントです。人が楽しむことを企画するのは面白く、こうした活動に夢中になりました。医療もサービス業であるという視点を持つようになったのは、イベント運営で医業以外の様々な業種の方に影響を受けたからかもしれません。また、医学部生であることはイベントの現場には何も関係がないので、肩書きで仕事をするのではなく、一人の人間として自分の力を発揮しななければいけないことを学びました。医学部では心臓移植や人工心肺の研究に興味がありましたが、4年生の頃に世に出回り始めたデジタルカメラを見て、目の構造と似ていることに気付きました。同じように、人工の目を電気信号で人体に接続することができれば失明した人を救うことができるかもしれないと考え、眼科を選ぶことにしました。

札幌医科大で8年間研究漬けの日々を過ごした後、最終的に開業を決意しました。研究で得た知識やアイデアを臨床の現場に生かしたいと考えたのです。以前から構想のあった、サービス業としての医療を実現するチャンスでもありました。クリニックを建てる時は、いかにも病院という印象にならないよう、サロンのように明るくリラックスした雰囲気にこだわりました。診察の時も、患者さんにはなるべく専門用語を使わず、瞳孔は「黒目」、網膜は「カメラで言うとフィルムの部分」というように、分かりやすく説明するように心掛けています。子どもの患者さんには恐怖心を植え付けないように、ゲームなどを取り入れながら診察を楽しんでくれるような仕掛けも取り入れました。

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疾患を治すだけではなく、QOL(生活の質)を上げる

医療はサービス業といっても、それは決して患者さんの言いなりになることではありません。例えば、患者さんに「薬を出してほしい」と頼まれても、薬はもう必要ない、やめたほうがいいと判断すれば、私は処方しません。薬をもらうことで安心したい患者さんは「せっかく来たのになぜ薬をくれないのか」と不満に思うでしょう。医師としても、「いつもの薬を出しておきます」と言って処方し続ける方が楽です。しかし、必要のない薬をいつまでも続けることが本当に患者さんの体のためでしょうか。バーの店長が、泥酔したお客さんにお酒をせがまれて好きなだけ飲ませるのか、「もうやめておきなさい」とたしなめるのかに例えると、私は後者だということです。反感を買ったこともありますが、患者さんのために正しいことをしているという信念があったので、今までブレることなく貫いてきました。理解してくださる患者さんも少しずつ増えていきました。

最近は、病気ではないけれども目の不調を訴える患者さんの来院が多くなっています。アイフレイルといって、加齢による目の機能低下であるケースが多いのですが、「年のせいだから仕方ない」と気休めで目薬を処方するのではなく、老化してもなるべく良い状態で過ごせる方法を一緒に考えることも眼科医の役割です。「この部分を改善すれば何とかなるかもしれない」と思うところがあれば、できるだけのことはするようにしています。患者さんの疾患を治すだけではなく、QOL(生活の質)を上げることが、サービス業としての医療の基本だと思っています。

子供の頃からいろんなことに興味を持ち、納得いくまで探求してきました。私が今追い求めているのは、患者さんの幸せかもしれません。若者のみなさんも、興味のあることを大切にしてください。それを追い求めることで、道が開けるはずです。

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