小野寺力
1977年生まれ、北海道出身。高校を3カ月で退学後、大検を取得し工業専門学校に進学。リフティングマグネットの発電機メーカーとシールドマシンの油圧ユニットメーカーで経験を積み、実家の機械製作会社に入社。15年勤めた後、2016年にDie Kraftを設立
https://d-kraft.jp/

INTERVIEW

自分の評価は人がするものであり、自分がするものではありません。人の評価はあくまでも人の評価ですが、それが今の自分を映し出している鏡だとも言えます。つまり、人の意見は肯定や否定ではなく、なりたい自分に対しての課題だと考えてはどうでしょうか。人によって自分がどう映るかは異なりますし、「その人にはそんなふうに映るんだな」と思えばいいのです。自分がどう思われたいかではなく、自分がどうしていきたいかが大事です。人の評価に一喜一憂するのをやめた時、私は楽になりました。

実家の会社に入ったものの、孤立無援状態

小野寺力

両親が重機を扱う会社を経営していて、幼い頃から機械は身近なところにありました。もともと祖父が鍛冶屋だったのですが、親族はみんな何かしら独立して別々の商売をしています。家業を継いでいる者は一人もいません。
子供の頃、私はよくいじめられていて、抵抗するために暴力に走りました。高校は3カ月で中退。年齢をごまかしてバーテンや土方として働きました。途中で大検(大学入試資格検定)を取り、工業系の専門学校で勉強し、20歳で上京してリフティングマグネットの発電機メーカーとシールドマシンの油圧ユニットメーカーで働きました。どちらも親の紹介です。さんざん遊びましたが、仕事だけは文句を言われたくないので真剣にやりました。残業している人がいれば、手伝いながら技を見て盗みました。「どうせ親の会社に戻るくせに」と言って最初は仕事を教えることをしぶっていた上司も、私の熱意を認めてくれました。真面目にやれば、人は助けてくれるものだと思いました。
3年ほどで北海道に戻り、両親の会社に一社員として入社しました。ここで働く限り、息子ではなく一従業員として結果を出すつもりでいましたが、それでも40人近い従業員たちには「社長の倅(せがれ)」と疎まれ、膨大な量の仕事を課されました。父も今までずっと一緒にやってきた従業員の肩を持つので、私はすっかり孤立していました。精いっぱい虚勢を張っていましたが、周囲との距離は離れていくばかりで、もう辞めてやろうと思いました。
最後に一度こちらが折れてみて、それでもだめならすぐにでも辞めようと決めました。全員の前で今までの不遜な態度を謝り、姿勢を軟化させると、私の話を聞いてくれる人が少しずつ増えてきて、半年後には全員と関係が良くなったのです。
工場長を降りると営業の仕事をしました。売り上げの少ない中四国エリアの担当に回されましたが、3カ月で目標の数字を達成すると、父も文句を言わなくなりました。

  • 小野寺力
  • 小野寺力

お客様の声を聞いて、楽しく作りたい

今まで大抵のことは何とかなってきたので、これからも何とかやっていけるだろうという気持ちで独立しました。立派な志があったわけでもありません。ただ、実家の会社はお客様一人ひとりの細かい要望までかなえてあげられないことも多く、リピーターが少ないという現実がありました。そのことを心苦しく思っていても会社の方針に従うしかなく、そこにストレスを感じていたのです。私について来てくれた従業員3名もみんな同じ気持ちでした。
独立したことで、お客様の声を会社というフィルターを通さず直に聞くことができるようになりました。結果を出せば評価され、結果を出せなければボロクソに言われる。両極端ですが、お客様の話をよく聞き、お客様が望んでいるものにできるだけ近づけようというのが私たちのルールです。お客様が喜んで使ってくださってこその仕事だということを実感しています。
金物であればどんな形状のものでも作れるので、重機アタッチメントや特殊機械などワンオフ(専用品)製品を中心に設計、製造しています。最近は、空気清浄機の製造にも着手しました。量産品にはない、いろんな空間にマッチするおしゃれな空気清浄機をオーダーメイドで作っていきたいと思っています。一つのことに専念するよりも手広くいろんなことに挑戦したいタイプなので、空気清浄機が成功したらまた他のことも始めるかもしれません。

お客様が儲かるもの、私たちが誇りを持てるものを、楽しく作ることを心掛けています。お客様とああでもない、こうでもないと言い合いながら距離を縮めていく時が一番楽しいですね。会社を大きくしたいとは思いませんが、アップグレードは常に考えています。従業員たちが楽しく幸せに働けるためにも、プライベートの時間を十分に確保できるような会社を存続させたいと思います。そして、お客様に認めていただけるよう技術力を磨き、お客様にとって使い勝手のよい会社になれればうれしいですね。

ページの先頭へ