関根純
1947年生まれ。東京都出身。早稲田大学商学部卒業後、株式会社伊勢丹 (現三越伊勢丹)に入社。常務執行役員新宿本店長などを経て、05年に丸井今井(現札幌丸井三越)の専務執行役員営業本部長として札幌に出向。09年には同社社長に就任。その後、11年にスターバックスコーヒージャパン代表取締役最高経営責任者に就任。
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INTERVIEW

若い人たちに言いたいのは、自分ひとりでなく、仲間を巻き込んで仕事をしてほしいということです。仕事において一番必要なのは「リーダーシップ」だと私は思っています。周囲の人をまとめ、チームで成果を挙げるリーダーとしての力を養うことを意識して仕事をしてほしいです。これはどんな仕事においても同じです。まだ駆け出しの時でも「このチームにおいて自分に求められている役割は何だろう」と常に意識しながら仕事をすることで、大きな力が養われるはずです。

自分に求められる「役割」は何か

関根純

幼い頃から一人でいることが嫌いで、いつも人の輪の中にいました。今もそういうところがあります。周りに誰かがいないと楽しくないんですよね。高校卒業後は早稲田大学に進学しました。高い志を持って上京してきた地方出身者のバイタリティに圧倒され、東京で生まれ育った自分が軟弱者のように思えたものです。いわゆる「都会人コンプレックス」ですよね。

これを打ち破るために、晴海埠頭で肉体労働のアルバイトに明け暮れました。社会に出る前にいろんな経験を積むことができたのはとても大きな意味があったと思います。給料も良かったので、休日には貯金を使って北海道までヒッチハイクをしたり、東京湾から沖縄まで船旅をしたりずいぶん冒険しました。大学卒業後は大手百貨店伊勢丹に就職しました。

前身の呉服店の頃から「帯と模様の伊勢丹」とうたわれたように、独自のファッション性にこだわる社風に共感していたので入社できてラッキーだったと思います。二年目には伊勢丹の花形でもある婦人服売り場に配属され、バイヤーの仕事もしました。この時に痛感したのは、一人では何もできないということ。バイヤーの仕事はデザイナーや現場で売る人がいて初めて成り立つんです。この仕事はチームでやるから楽しいんですよね。百貨店の仕事は、従業員、お客様、取引先すべて含めて「人」が要です。だから人が好きじゃないと仕事が成り立ちませんよね。これは伊勢丹に40年勤めた上で得た大きな学びの一つです。

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百貨店からカフェの世界へ

伊勢丹で充分に勤め上げたので、そろそろ引退後の人生プランを思い描くようになっていました。自分なりにもっと楽しいことを模索して悠々自適に過ごしたい。そんなことを考えていた時、サザビーリーグの森正督取締役社長に「スターバックス コーヒー ジャパンの社長をやらないか」と打診されました。最初は「もう若くもないのに勘弁してくれ」というのが正直な気持ちでしたが、私に信頼を寄せてくれていることがうれしくてお受けすることにしました。やるからには顧問として週に何度かだけ顔を出すようなスタンスではなく、きちんと仕事と向き合いたいと考えました。

百貨店出身の私がカフェという不慣れな業界で大きな組織をリードしていけるのかと不安を感じたこともあります。しかし実際に入社してみると、百貨店以上に人のかかわりが密な企業でした。従業員も皆熱い気持ちを持っていて、スターバックスが大好きな人ばかりが集まっています。従業員は私のことを「純さん」と呼んでくれますし、パートナーのような感じです。今はスターバックスを通じてどれだけ地域社会やお客さまに貢献することができるか、また若い従業員たちのキャリア形成や人生設計にどれだけ貢献できるかを日々意識しながら仕事をしています。

スターバックスは日本に上陸して十数年の非常に若い会社です。青年期に差し掛かったばかりのこの会社を大人に成長させることが私の使命だと思っています。この先、会社の成長とともに出てくる課題に対処していくことはもちろんですが、会社としての夢を打ち出して、それを現場のパートナーたちと共有したいですね。これが私の経営者としての責任でもあり、自分のモチベーションにもなると思いますから、それを一生懸命考えているところです。夢がないところには進歩はありません。一人ひとりが自分の強み、良さを自身で見つけて整理して、自分には何ができるかということを考えていけば、チームの構成要員になれるんじゃないかなと考えて毎日過ごしています。皆さんもがんばってください。

掲載内容は2012年11月当時のものです。

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