千田基宏
1974年生まれ、愛知県出身。2005年、名古屋大学大学院泌尿器科卒業後、中部労災病院泌尿器科に赴任。メンズヘルス分野を小谷俊一氏に従事。11年、千田クリニック副院長を経て15年、院長に就任。
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INTERVIEW

女性と同じように、男性にも更年期障害があることをみなさんはご存じでしょうか。働き盛りで社会的にも責任ある立場となる40~50代の時期に、心身の様々な不調で本来のパフォーマンスを発揮できないのはつらいことです。
男性の更年期障害をもっと多くの人に知ってほしいですし、つらさを我慢せずに訴えたり、気軽に受診したりできる社会になってほしいですね。私がメンズヘルスケア外来を立ち上げた10年前と比べると患者さんはずいぶん増えましたが、今でも受診をためらう方や、どこに助けを求めればいいか分からず苦しんでいる方がまだいるはずです。今後も情報発信を続けていきたいと思います。

「男性の健康」にフォーカスする

千田基宏

開業医の父の姿を見て育ったので、私も自然と医師を目指し、父と同じ泌尿器科の道へ進みました。中部労災病院で勤務医として働いていた頃、泌尿器科部長でメンズヘルス分野の第一人者である小谷俊一先生と出会いました。男性更年期障害やED(勃起障害)など、男性ホルモンに関係する疾患を扱うこの分野はまだ新しく、医療従事者の間でもほとんど着目されていませんでした。私も小谷先生と出会うまでは、男性に更年期障害があることすら知らなかったのです。若かったので、EDに関しても「中高年になってもまだ遊びたいような男性が治療を希望するのだろう」と他人事のような認識しかありませんでした。
しかし小谷先生に従事する中で、EDの要因は加齢だけではなく、社会的なストレス、心因性のものなど様々で、20~30代の若い世代でも悩んでいる方がたくさんいることを知りました。しかもデリケートな問題ゆえに、誰にも相談できず一人で悩みを抱えている方が年齢を問わずたくさんいることが分かり、泌尿器科医としてそのような人を救いたいと考えるようになりました。
父のクリニックを継ぐ時、父が大切にしてきた地域医療を踏襲しつつ、メンズヘルスケアにも携わる決意をしました。新しく「メンズヘルスケア外来」を立ち上げたほか、皮膚科も新設し、AGA(男性型脱毛症)治療、医療レーザー脱毛などにも領域を広げました。私が新しい領域を勉強し成長することで、患者さんの多様な悩みやニーズに対応することができますし、それがクリニックの発展にもつながると考えたからです。時代とともに変化するニーズに対して、私が自信を持って提供できる治療があればその都度取り入れていくことが、クリニックを運営していく意義だと思っています。

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悩みを打ち明けるだけでも気持ちが軽くなる

患者さんは忙しい中わざわざ時間を作って、勇気を出して受診してくださるのですから、その気持ちに少しでも応えたいと思いながらいつも仕事に取り組んでいます。
EDも更年期障害も、改善にそれなりの時間がかかります。その間、患者さんが自分自身とどう向き合うのか、一緒に考えていきたいですね。抱えている悩みを打ち明けるだけでもずいぶん気持ちが軽くなるので、患者さんが本音を言いやすい雰囲気を作ることを大切にしています。
EDに悩む若い方が、結婚や恋愛に消極的になってしまうとか、子供を作ることができず離婚してしまったというような話を聞くと本当に辛い気持ちになりますし、何とかしてあげたいと心から思います。注射や投薬などいろんな治療法がありますが、まずは「大丈夫。あなただけじゃないですよ」と安心感を与えるような言葉をかけ、患者さんが自信を取り戻すまで気持ちに寄り添っていくことが大切だと思っています。
更年期障害についても、関節痛やほてり、動悸(どうき)などの身体的な不調は漢方薬やホルモン注射で比較的早い改善が期待できる一方、やる気や集中力の低下などのメンタル面の不調は少し時間が必要です。先が見えないと暗闇の中にいるような気持ちになりますが、「出口は必ずあります」ということを伝えて、少しでも前向きな気持ちになっていただきたいですね。

クリニックを成長させるには、私自身が成長し続けなければいけません。父が築き上げてきたものを守りながらも新しいものを取り入れて独自の色を出していく「守破離」を目指していますが、まだ道半ばです。地道に前向きに努力し続けていきたいですね。
若者のみなさんも、自分のやりたいことと社会が求めていることを熟考し、選択、決断していくための努力をしてください。つらいこともあるかもしれませんが、恵まれた日本に生まれたことに感謝の念を忘れず、自分の可能性を信じて、自分のため、社会のために活躍してほしいと思います。

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