杉山喜乃
1970年生まれ、静岡県出身。93年、父が立ちあげたトーセイコーポレーション入社。2020年、代表取締役就任。元々は違う業界にて勤務していたが、創業者である父が亡くなったことがきっかけで警備業に戻る事を決意。社長就任後には同業他社とは違った採用方式や新部署設立など新しいアイデアで従業員や顧客が幸せでいられる環境作りに専念している。日々時代が変化する中で取り残されるのではなく今後も進化し続け、業界をさらに活性化させていく。
http://www.tohsei-corp.co.jp/

INTERVIEW

父が警備業の会社を立ち上げて今年で30年。最初は「どうして警備なんだろう」というのが私の正直な気持ちでした。でもある時、うちの社員が工事現場で警備をしている姿を見て「かっこいいな」と思ったんです。警備服を着て一生懸命働く社員たちの姿を見て、警備に対するイメージがどんどん変わっていきました。今は、亡き父と同じ熱量を持って経営に全力で向き合う日々です。

どんな状況でも決して動じなかった父

杉山喜乃

子供の頃はいかにも末っ子らしくのびのびと自由に育ちました。父は私の誕生日には仕事を休んで、家に招待した私の友人たちをもてなしてくれるような人でした。負けん気が強く、泣いたり笑ったり怒ったりと感情豊かな性格の私を両親は大らかに見守ってくれていたと思います。そのおかげで、他人がどう思うかに左右されず、まずは自分がどうしたいかを考えて動くことを第一に考えてきました。現在も大事にしてることのひとつです。

父は50歳になった時、長く勤めた大手食品メーカーを早期退職し、警備会社を立ち上げました。母は最初戸惑っていましたが、仕事熱心な父ならきっとうまくやるだろうと思ったそうです。その頃の私は色々な仕事に携わっていましたが、特にやりたいものが見つけられない時期だったので、自然に父と仕事をするようになりました。数名の社員と一緒に貸事務所からのスタートです。初めから順調だったわけではありません。社員に支払う給料が足りず、経理担当の私がお客様に前払いを頼み込んだこともあります。しかし、そんな時も父は決して動じる様子を見せませんでした。その頃の私は、経営のことを何も解っておらず、父に反発ばかりしていた記憶があります。経営者の立場になった今、あの頃の父の気持ちが理解できますし、言動も父に似てきた気がします。もうかなわぬことではありますが、今の志で元気な頃の父に会って話がしたいです。

事業が軌道に乗ると、3人の子供を育てるためにしばらく会社から離れていました。脳梗塞で倒れ体が不自由になった父に代わり、夫が代表を務めてくれました。しかし夫の経営方針は、父や私の考え方とはまるで違いました。既存顧客中心の考え方、新規の依頼は断ってしまう、今できることのみをやる。進化する。という言葉からはかけ離れた状態でした。父亡き後、かなり悩み迷いましたが、父の意向や周りのサポートもあり、代表になることを決断致しました。同時に、夫を含め役員や幹部達には辞任してもらいました。かなり悩みましたが、父の会社への思いを守っていくための決断でした。この先どんな危機が訪れたとしても、かつての父のように全力でやればいい。そう覚悟を決めました。

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進化し続ける会社でありたい

代表に就任すると、お客様の依頼は決して断らないこと、休眠顧客の堀り起こしをすることをまず社員たちに宣言しました。警備会社は24時間365日休みがなく、現場も内勤も疲弊していきます。彼らの負担を減らすために人員を増やし、安定した収益を得るために新しい案件も次々に受注しました。日々忙しく駆け回り、大変でしたが、仕事とはそういうものなのだと思います。自分がやると腹を括るまでは悩んだ日々でしたが、勇気を出して行動して本当に良かったと思っています。「やらぬ後悔よりやる後悔」という言葉がありますが、考え抜いて勇気を出してやったことは絶対に後悔など無いのです。

現在、幅広い年齢層の社員がおります。現在は特に若者の採用に注力しています。昨年、「未来を担う者たちへ」というコンセプトで「MIRAI」部として設置致しました。会社の周辺の飲食店が限られておりますので、ワンコインから食べられるサラダ・ご飯・おかず・お弁当システムを導入致しました。会社敷地内および周辺で誰でも利用できるカフェを造って発信し、老若男女集まれる仕組みも検討しています。警備会社という概念にとらわれない自由な発想で、若い人たちが楽しめる場所を作っていきたいですね。このような取り組みができるのも、警備業という強固な軸があるからです。様々な分野で業務のAI(人工知能)化や自動化が加速するのにともない、警備の仕事も変わっていくでしょう。ドローンを使うような警備もあるかもしれません。しかし、どんなにテクノロジーが進化しても人の力は不可欠です。人を大切にしながら、時代に合わせて進化を続けていきたいと思います。何かを変えるのは勇気がいることですが、間違えたらまた戻ればいいのです。創業30年の歴史が守ってくれます。

日々の生活の中で自分の喜怒哀楽の声に耳を傾けながらいろいろなことを感じるのはとても大切なことです。それが創造力や発信力につながります。そして、迷った時に自分なりにじっくり考えて出した結論は決して間違いではありません。若者のみなさん、自信と勇気と志を持って、見て聴いて、自分の気持ちに正直に真っすぐ感じて動いて下さい。

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