鈴木素邦
1980年生まれ、千葉県出身。薬剤師国家試験予備校講師として15年勤務し、2万人を超える薬剤師を輩出。退職後、薬剤師として大手薬局、地域に根付いた薬局、スタートアップ薬局で勤務。不動産管理会社の鈴木ウエアハウスを事業継承し、財務管理、自社管理物件の開発を手掛ける。2022年から薬局経営コンサルティングを開始。
https://kuraya-s.jp/
※本サイトに掲載している情報は2022年12月 取材時点のものです。

INTERVIEW

数多くのコンサルティング会社がありますが、その中でも薬局経営コンサルというニッチな領域で事業を展開しています。これまで薬剤師として大手薬局、地元密着型薬局、スタートアップ薬局で経験を積み、経営にも携わりました。現場のオペレーションから経営戦略まで網羅しているのが私の強みです。すべてのクライアント様に、私自身が関わるようにしているので、皆様のニーズに応え、結果が出るようお客様に寄り添い、伴走していきます。

予備校講師として、2万人を超える薬剤師を輩出

鈴木素邦

薬学生の頃、私は勉強が得意ではなく、国家試験に自信がありませんでした。しかし良い講師との出会いが私を変えました。国家試験にも難なく合格することができました。その経験から、私も勉強を教える側になりたいと思い、薬剤師にはならず国家試験対策予備校の講師として働き始めました。当時は、学生からの評判は今ひとつでした。中には私の講義中に教室のあちこちで携帯をいじったり居眠りをしたりする姿があり、講義後のアンケートには、耳の痛くなることばかり書かれていました。それでも情熱を持って学生と真摯に向き合い、一つひとつ応えていくことで徐々に周りの私を見る目は変わりました。初めから優れたスキルがなくても、強い思いを持って努力を続ければ必ず形になります。これは今も肝に銘じていることです。

管理職になった時、初めは苦戦しました。「自分ができるんだから、みんなもできるだろう」という身勝手な考え方だったので、人がついてこなかったのです。上からは叱られ、もう辞めようかとも思いましたが、自己投資のつもりで夜間の大学院に通い、マネジメントを学びました。自ら学ぶことで成果の出し方が身につき、私がリーダーを務めたチームの生徒の合格率は全校トップになりました。チームをまとめるために、特別なことをしたわけではありません。チームのメンバーに、ささいなことでも「ありがとう」と感謝をし、労をねぎらい、「ちゃんと気にかけているよ」ということを表現する。そんな小さな工夫を積み重ねました。

予備校の仕事はとても好きで充実していましたが、15年目に退職して千葉の実家に戻りました。実家は祖父の代から不動産業を営んでいて、高齢の父に代わってそろそろ私が継がなければいけなかったのです。せっかく薬剤師の資格を持っているので、不動産会社の役員として働きながら、合間に薬局でも働くようになりました。予備校時代の教え子と再会し、仕事を手取り足取り教えてもらったこともありました。

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薬局に関わるすべての人の力になりたい

家業の不動産事業が安定するにつれて、薬剤師の仕事に比重を移していきました。様々な形態、規模の薬局で経験を積む中で、「もっとこう動けばうまくいくのに」と思うことが度々ありました。それを店長やマネジャーに進言し、実践すると確実に良い結果が出ました。従業員がいきいきと働ける環境があれば必ず利益につながります。従業員を認め、モチベーションを上げてあげれば、みんなが当事者意識を持ち、求められた以上の成果を出してくれるのです。予備校の管理職時代に学んだことが、全く異なる業界でも通じることを実感しました。

いずれ薬局を経営したいと思っていましたが、それよりも薬局経営者の声を聞いてサポートする方が自分の強みを生かせると思い、薬局コンサルタントの道を選びました。周囲には「薬局をやるんじゃなかったのか」と言われることもありましたが、薬局で経験を積んだからこそ自分のやりたいことが明確になりましたし、薬局が変わるための勝ち筋もつかむことができたと思っています。お世話になった薬局に挨拶と報告に伺うと、「サポートをお願いしたい」と口々に言っていただくこともありました。しかし様々な薬局から話を聞くにつれて、この業界ではコンサルティングが根付いていないことを痛感しました。今は「必ず成果を出します」と約束し、試しやすい価格からスタートして地道にコツコツと広げているところです。起業から約11年ですが、口コミや紹介でのお客様も増えてきました。数を増やすよりも、一人ひとりのお客様に寄り添って深くお付き合いしていきたいです。

私は、人の役に立つことが実感できるこの仕事が好きですし、天職だと思っています。経営が比較的安定している状態で「さらに成果を上げたい」というお客様が今は多いのですが、今後は苦境にあるお客様を救う事業再生の領域にも切り込んでいきたい。どの薬局も、理念や地域への思いがあって成り立っているはずです。それが立ち行かなくなっているなら、同じ薬剤師として力になりたい。困っている人を自分のノウハウで助けることができれば、すてきなことだと思います。

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