寺本潤
1971年生まれ、大阪府出身。アルバイトをきっかけに人材派遣会社に入社。15年務めたのち独立し、2002年に短期に特化した総合人材派遣業のエントリーを設立。業界として初めてスマートフォンで派遣先選択と給与申請をできるシステムを採用。登録人数は約85万人にも及ぶ。
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INTERVIEW

若い頃は、自分が何をやりたいか、何ができるかなんて全く考えていませんでした。しかし頑張って働いているうちに、自分に向いていることやできることが分かってきました。大切なことは何事もきちんと向き合うこと。そして頑張るということです。皆さんも何でもやれるという気持ちで頑張ってみてください。それが未来を開く可能性につながるはずです。

成り行きで始めたアルバイトが今の事業を生んだ

寺本潤

私は大阪府で生まれ育ち、母親が勤めに出ていたこともあり、おばあちゃん子でした。非常に引っ込み思案で、甘えた少年だったと思います。だから、こうして社長になるなんて思ってもいませんでした。高校卒業後はデザインの専門学校に通い、ショーウィンドウの飾り付けをする会社に就職しました。それなりに楽しかったのですが、漠然と本当にやりたいことではないと感じており、辞めてしまいました。その後は、広告代理店でイベントやキャンペーンのディレクターとしてアルバイトをして、そのまま社員になりました。しかし、阪神淡路大震災が発生し、イベント関連の仕事はないに等しい状態になってしまいました。退職し、転職活動をすることを余儀なくされたのです。

ところがなかなか再就職先が決まらず、転職活動に必要なお金も足りません。日払いのアルバイトで賄おうと思い、派遣会社に行きました。いざ登録してみたら、1カ月半程度の労働期間がある現場を進められ、断り切れずに行ってしまいました。そのうちに事務所内で仕事を割り振るコーディネイターとして働くようになりました。朝早く事務所に行き、終電を逃して泊り込み、昼休みに銭湯に行くような、今では信じられない働き方をしていました。それが評価されたのか、社員登用の話をいただきました。人材派遣会社は私が希望していた業界ではありません。しかし、社員もアルバイトも関係なく、みんなで一丸となって働くことが楽しくて、正社員として働く道を選びました。

あるとき、東京にある本社から創業者である社長が来て、みんなで食事に行くことになりました。そこで創業時のエピソード、トラブル、武勇伝など、さまざまな話を社長から聞いているうちに、胸が熱くなるのを感じたのです。ベンチャースピリッツにあふれる社長は、私の目にはとても格好良く映りました。それがきっかけで、この会社の社長になろうと決意を胸にしたのです。それ以降は、社長になることを常に意識して働くようになりました。逆算して「いつまでにこの役職に就く」とマイルストーンを置き、どのような成果を出す必要があるかを考えました。そのために睡眠時間を削り、がむしゃらに働きました。しかし、目標達成のためなので、苦しいとか辛いという気持ちはありませんでした。

  • 寺本潤
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ベンチャースピリッツに触れ、社長を目指す

入社から14年、手腕を買っていただいて、さまざまな役職を飛ばして社長に抜てきされました。ところが、時代はリーマン・ショックの直後。会社が行政処分を受けたり、リストラをしなければいけなかったりと、非常に厳しい状況でした。社長になったものの数字目標が必達という雰囲気で、憧れていたベンチャー時代の雰囲気はもうありませんでした。結局1年で退任し、理想の会社を作るために再出発したのです。

こうして立ち上げたのが株式会社エントリーです。当社には、他の派遣会社にはないフィールドディレクターという職種があります。現場でクライアントの指示を受けながら、派遣スタッフをサポートするという仕事です。この職種を作るきっかけには、自分の派遣スタッフとしての経験があります。初めての派遣先で初めて会う人と一緒に慣れない仕事をするのは緊張するし、孤独感もある。しかし、派遣先と私たちの間に立ってフォローをしてくれる人がいたら安心できるのです。派遣先も、フィールドディレクターがいれば、個々のスタッフに業務内容を説明する手間が省け、煩わしさが解消されるのです。

これまでは人材派遣事業を行っていましたが、現在は「シェアジョブ」というシェアリングエコノミー事業を展開しつつあります。これは、家の掃除や買い物代行といった個人間で労働力を提供するサービスです。また、人手不足が深刻な農業に目を向け、農家と個人の間のマッチングも始めました。このサービスは、少子高齢化による弊害を少しでも取り除きたいという願いから生まれました。今後の展望として、2024年あたりにはワークロボットを派遣する事業に取り組む予定です。ドローンによる空輸でクライアントにデリバリーができれば面白いのではないかと思うのです。また、東南アジア諸国やインド、そして30年にはアフリカ大陸の諸国で、シェアリングエコノミーのサービスを展開することが目下の目標です。

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