外井浩志
1955年生まれ。福岡県出身。83年、東京大学法学部卒業後、労働基準監督官を経て85年に弁護士登録。2006年に独立し外井法律事務所を開設。労働、労災問題の分野に特化した弁護士として活躍。労働法関係の著書多数。
http://toi-law.com/

INTERVIEW

生きていく中で選択や決断を迷うことが誰にでもあると思います。そんな時、私は積極策を選ぶことを心掛けています。消極的で失敗するよりも、積極策でできることをやって失敗するほうが悔いが残らないはずです。

サラリーマンは向いていないので弁護士に

外井浩志

学生の頃、のんびりと大学生活を送っていたらあっという間に4年生になってしまって、周りは就職活動に奔走していました。私は大きな組織の中でサラリーマンとして働くのは性に合わないだろうと考え、司法試験を受けて弁護士を目指すことにしたのです。
試験に合格すると、労働法を専門に扱う事務所に誘っていただきました。ここに入れば労働・労災関係の本を出すことができ、私より少し年上の先輩もすでに3冊出していると聞いて、就職を決めました。実務と学術、どちらに偏りすぎるのもよくありませんが、ここなら両方の力をつけることができそうだと魅力を感じたのです。
弁護士になって最初の数年は、通勤電車の中で判例集をひたすら読み漁りました。大して面白いわけでもなくどちらかというと辛いひとときでしたが、司法試験に合格したぐらいでは実務にはついていけないと思い、必死で勉強しました。勉強はいくつになっても続けなければいけません。学生の受験勉強の頃からそうですが、目を通すだけでは頭に入らないので、何度でも書き写しました。本当に自分のものにしたいのであれば、テキストを丸ごと頭に入れるぐらいの気持ちで注力すべきです。若いころには自信のあった記憶力も、年を重ねるごとに鈍くなってきて、新しく会った人の名前も忘れがちになってきます。今でも毎日、その日の出来事と一緒に人の名前も記録するようにしています。書くこと、メモを取ることは私にとって重要な作業です。

  • 外井浩志
  • 外井浩志

弁護士なのに飛び込み営業も

所属していた事務所は居心地がよく、20年以上も在籍してしまいました。21年でようやく独立したのですが、新しい事務所を構え、事務員を雇い必要な備品をそろえるところから始めるのは思った以上に手間でした。軌道に乗るまでは仕事がなくて暇だろうと予想していたのですが、以前からお付き合いのあった依頼者が訪ねて来てくださったりして、最初から忙しく仕事ができたのはありがたかったですね。
その後、弁護士を増員して5人体制にした頃から収入が心もとなくなってきて、営業活動を始めたんです。宣伝のためにテレビに出たりポスターを貼り出したりすることは考えられないので、事務所のパンフレットを作成し、地道に配って回りました。弁護士自ら営業するなんてと笑われましたが、気にしている場合ではありませんでした。事務所でふんぞり返って依頼者を待つのではなく、「お困りのことはありませんか」と自分たちから手を差し伸べる。そんな姿勢をアピールできたことが功を奏したのか、依頼は順調に増えていきました。
依頼者が訪ねてきた時は、とにかく話をじっくり聞くことを心がけています。何か困り事があって来ているのですから、誰かに聞いてもらいたいと思っているはずですし、話すだけで気持ちが軽くなる方もいらっしゃいます。何時間もかかる時もありますが、時間が許す限り話を聞くようにしていますね。
弁護士になって36年経ちます。ずっと労働や労災に特化した弁護士として活動してきましたが、実は独占禁止法やコンプライアンスの分野にも携わってみたいと思っています。残りの弁護士人生は、今までやったことがない新しい分野にも挑戦したいですね。

私は今まで本を数十冊書きましたが、一生のうちに100冊書きたいと思っているんです。それが人生の目標です。自分なりに何か目標を持つのは大切なことだと思います。実現が難しいと分かったら、次の目標を立てればいいのです。妥協と言われるかもしれませんが、何も目標を持たずに漫然と生きるよりもずっといいはずです。壮大な目標じゃなくても構いません。小さなことでいいので、若者の皆さんも、何か目標を持って、それにむかって努力してみてください。

ページの先頭へ