内田敬久
1968年生まれ、神奈川県出身。96年、富山大学医学部卒業後、99年横浜市立大学皮膚科入局。2006年、横浜保土ヶ谷中央病院医長。07年、横浜市立大学皮膚科医学博士取得。14年、横須賀共済病院皮膚科部長、18年、並木小磯診療所院長などを経て、20年10月、うちだ皮膚科クリニックを開院。現在に至る。
https://uchida-hifuka.com/
※本サイトに掲載している情報は2022年11月 取材時点のものです。

INTERVIEW

「一隅(いちぐう)を照らす」ということを人生の指針としています。仏教の教えで、自分が置かれた環境や与えられた仕事でベストを尽くすということです。皮膚科の治療は、地道な作業の繰り返しが少なくありません。それを漫然とこなすのではなく、大切に積み重ねることで、新しい発見があるものです。一流のアスリートもよく言っていることですが、何かを成し遂げるためには毎日の積み重ねしかありません。うさぎよりもカメのように、目標に向かってコツコツ進んでいきたいと思っています。

お医者さんを頼れないなら自分で

内田敬久

中学時代、放課後に友人たちと談笑していると、背後で野球選手のまねをしていたクラスメートのバットが私の後頭部を直撃して意識を失いました。幸い大事には至りませんでしたが頭重感が続き、ある病院では「脳が腫れている」、別の病院では「頸椎(けいつい)捻挫」と診断され、紹介を受けた大病院を受診すると「示談が成立していないと診られません」と突き放されてしまいました。レントゲンでは異常がありませんでしたが、結局治るのに1年以上かかったと思います。お医者さんはどんな病気でも治してくれるというイメージが崩れた出来事でした。医者を頼れないなら自分で治せるようになりたいと考え、医学部に進学しました。

当初は整形外科医を目指していましたが、皮膚科で研修を受けた時、皮膚疾患は表面的なものではなく内科の病気とも関連があることを知り、その奥深さに興味を持ちました。担当の先生が研修医の私に初診の診察や粉瘤(ふんりゅう)の手術などいろいろな経験を積ませてくださったこともあり、最終的に皮膚科の道を選びました。

乾癬(かんせん)という完治の難しい慢性疾患がありますが、有効な生物学的製剤が2010年に発売されたことで、改善するケースが増えました。私も乾癬患者の会の相談医として活動し、長年の苦しみから解放されて喜ぶ患者さんの姿を目の当たりにしました。医師として、患者さんが治ることは何よりもうれしいものです。この治療をもっと広めたいと思いましたが、生物学的製剤は基幹病院などの限られた医療機関でしか扱うことができません。大きな病院で最先端治療に携わるのか、クリニックで患者さん一人ひとりとじっくり向き合うのか、今後の身の振り方を悩んでいましたが、クリニックでも認可を受ければ生物学的製剤を導入できるようになったので、開業を決意しました。生物学的製剤を扱うクリニックはまだ少ないのが現状ですが、これまでの経験を生かし、大きな病院と協力しながら一人でも多くの患者さんを治したいと思っています。

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患者さんのモチベーションを上げる

患者さんが、そろそろなくなるはずの軟膏を「まだあるから要りません」と断る時、治療へのモチベーションが下がっているなと察します。慢性疾患などで通院が長くなるとモチベーションを維持するのは難しく、毎日の薬の塗布もおろそかになるものです。診察も通り一遍になりがちですが、毎回なるべく患者さんに希望を与えるようなポジティブな言葉を掛けるようにしています。「前よりも赤みが消えましたね」「手触りが良くなりましたね」というように、良くなっている根拠を具体的に伝えてあげることで、患者さんのモチベーションを上げるのです。学生時代、勉強をやらされている時よりも、自発的に取り組んだほうが良い結果が出た経験のある人もいるでしょう。それと同じで、医師に任せきりにするのではなく、患者さんが自分の体の状態に関心を持ちしっかり向き合うことで、慢性疾患も悪化しにくくなります。患者さんの心情をくみ取り、モチベーションを上げることも医師の大切な役割なのです。

皮膚疾患の治療のほか、美容診療にも取り組んでいます。横浜には美容クリニックやエステがたくさんありますから、競うように最新機器や技術を導入することは考えていません。皮膚科医として、治療に論文的根拠があること、コストパフォーマンスがよいこと、肌に負担をかけないことに重点を置いて、続けやすく財布と肌に優しい診療を提供したいと思います。

「こんなささいなことですみません」と申し訳なさそうに受診する患者さんがいらっしゃいますが、ちょっとした気がかりが診断や治療のヒントになるかもしれません。少しでも気になることがあればいつでも相談に来ていただきたいです。私だけではなく、スタッフも患者さんと積極的にコミュニケーションを取るようにしています。皮膚のことばかりではなく、ニュースのこと、近所にオープンしたお店のこと、何でも話します。そんな他愛のない会話から患者さんに親しみを持っていただき、信頼につながればいいと思います。これからも患者さんが気軽に立ち寄ることができる地域に根差したクリニックを目指します。

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